「新生バタフライ」の羽ばたく先にあるものとは?

サミーネットワークス、ディー・エヌ・エー、コーエーテクモと名だたるゲームメーカーから出資を受けているバタフライ。モバイルを中心にエンターテインメントコンテンツの開発を行い、制作実績も数多い。そんな同社だが、「この春から新生バタフライになった」という言葉がインタビュー中に出てきたように、これまで以上に活発的な動きを見せはじめている。「新生」の意味は何なのか、そしてその先に見据えている未来はどのようなものなのか。取締役副社長を務める、北川敦司氏に話を聞いた。

 

■プロフィール

・株式会社バタフライ

2007年設立。老舗のゲーム制作会社のモバイルコンテンツ部門がスピンアウトする形で立ち上がり、現在はソーシャルゲームの開発をメインに事業を展開。「頭文字D」などの人気タイトルの他、会員数約700万人を誇るパチンコ・パチスロ総合ポータルサイト「モバ7」「パチ&スロタウン」(以下「モバ7」という)などの看板サービスも併せ持つ。

 

──:現在、多くのSAPがソーシャルゲームをリリースしています。その中で御社の独自性はどういったところにあるのでしょうか。

分かりやすいところで挙げると、「モバ7」というサービスを持っていることです。これはパチンコ・パチスロ総合サイトで、ディー・エヌ・エーと協業で展開しています。リリースしてから約3年が経ち、会員数は約700万人となりました。

 

 

──:「モバ7」とはどのようなサービスですか?

人気のパチンコやパチスロが遊べるモバイルゲーム(フィーチャーフォン(携帯電話)版、スマートフォン版/PC版:「パチ&スロタウン」)です。一人で楽しむだけでなく他のユーザーとも遊べるいわゆるソーシャルゲームのジャンルに位置しておりますが、他のソーシャルゲームとは異なる特徴がありまして、イベントや機能追加の他に毎月新しい機種(パチンコ、パチスロ)が追加されます。なので、様々な種類の機種を取り揃えることによって、幅広いユーザーを抱えることが可能となっております。Mobageのプラットフォーム上に、さらにもうひとつ別のプラットフォームがあるとお考えください。現在は約30社のメーカーと提携しています。言わば、実際のパチンコ店のホールのような存在ですね。

──:一つひとつの機種から会員を集めることで、約700万人という数字が形成されているわけですか?

そうです。どの機種で遊ぶにしても、「モバ7」に登録する必要がありますから。ソーシャルゲームをリリースするにあたっては、「いかにしてユーザーを集客するか」というポイントは大きなカギを握ります。その点、私たちは潤沢な「モバ7」会員を蓄積していますので、たとえば他のゲームをリリースするときにもそこからリーチできるように、ひとつのサービスだけに留まらない優位性が生まれているのです。

──:確かに約700万人の会員数を有しているのはかなりのメリットですね。

しかもその純度が高いんですよ。と言うのも、「ソーシャルゲームでもっともお金を使っている世代は30代の男性である」というのは、この業界ではよく言われていること。「モバ7」に登録しているのはまさにこの層なので、この会員数をより有効に活用できるのです。

それにパチンコやパチスロは、昔から幅広く日本人に愛されているエンターテインメント。そこには、いろいろな本質が潜んでいます。たとえば数字が揃うまでのプロセスにしても、ユーザーの心理状況を細かく押さえているように。そういった演出のノウハウなどは、別のジャンルのタイトルに対しても組み込めると思っています。

 

 

■この春に向けて、準備を重ねてきた。

──:ただ、御社は決してパチンコやパチスロに特化しているわけではありません。「頭文字D」などの版権モノに強いというイメージもあるのですが。

その通りで、私たちはゲームのジャンルを限定していません。今後は「モバ7」で得た資源を活かしながら、新規タイトルもどんどん開発していく予定です。特に今はフィーチャーフォン(携帯電話)からスマートフォンへの移行期であり、それに伴ってソーシャルゲーム市場でもユーザーの動きが活性化しています。私たちはこのタイミングを見計らい、前々から入念に準備を重ねてきました。2月から株主にサミーネットワークスが新たに参画したのも、その動きのひとつ。この春から、新生バタフライになったと言っても過言ではないでしょう。

──:御社は大手とのパイプも強固ですね。取引先や株主を見ても、ビッグネームがズラリと並んでいます。

Mobageのプラットフォームであるディー・エヌ・エーを始めとし、弊社の株主はシナジー効果を生み出せるお相手ばかりですので、タッグを組むにあたっては心強いですよ。この度のサミーネットワークスの参画を受けて、より強力なタッグを組むことができましたので、これまで以上にユーザーに愛される魅力的なコンテンツを提供していきたいと考えています。

 

 

──:こういったゲームをつくりたいというビジョンはお持ちですか?

新しいソーシャルゲームにチャレンジしたいと思っていますが、世の中のトレンドと真逆なものをつくるつもりはありません。「こんなゲームは見たことない」と思わせるのではなく、時代の潮流をしっかりと捉えたい。そこにバタフライならではエッセンスを加えていきながら、他とは一味違う独自のカラーに仕上げていきたいと思っています。

──:となると、いかにしてトレンドを察知するかという部分も重要ですね。

そこでも「モバ7」での会員数は有効になってくるわけです。先ほど「頭文字D」の名前を挙げていただきましたが、これはまさに30~40代のターゲットを狙って開発したもの。この層の方たちは、10代に比べると目移りするスピードが速くなく、一度ハマると継続して遊んでもらえる傾向にあります。

──:もうすぐで私も30代に突入するのですが、言われてみればそうかもしれません。

ドラマもそうですよね。アラサーやアラフォー世代をターゲットにしたものは、大きく外れることはありません。食事にしてもヘルシー志向が高まっているのは、この層の方たちのニーズを反映している面もあるでしょう。テクノロジーにしてもそうで、新製品への感度も高い。ちょうど世代的にファミコン、携帯、パソコンといったあらゆる機器を触ってきたので、新しいものに順応する特性を持っているのでしょうね。

 

■東新宿での羽ばたきで、世界に影響を与えたい。

──:御社が掲げているビジョンを教えてください。

グローバル展開ですね。水面下でリサーチは進めていますが、今は我慢の時期。国内で地盤を固めた上で、満を持して切り込んでいきたいと思っています。

 

 

──:参入していくエリアに目星はつけているでしょうか?

まだ具体的には決めていません。近々で言えば、インドネシアやタイ、ベトナムなどの東南アジアが狙い目ですが、数年後のマーケットの状況はまだまだ不確定ですから。スマートフォンの普及度合いによっては、ブラジルやロシアあたりも面白いかもしれません。今はじっくりと作戦を練って、的確な場所にリソースを配分できるように準備しているところです。

──:世界に向けて発信していくことには変わりないのですね。

バタフライという社名は、「バタフライエフェクト」という単語が由来です。これは、「北京で蝶が羽ばたくとニューヨークで嵐が起こる」といった例が挙げられるように、小さな現象がやがて大きな出来事となっていくことを意味します。ですから、この社名をつけた2010年当時から世界進出は視野に入れているわけです。東新宿でつくったものが世界中に影響を与えていく。そんな未来を夢見ていますね。

──:世界で受け入れられるために、今後必要なものとは何でしょう?

たゆまぬ技術の向上でしょうね。新しい技術の導入は、新しいゲーム性に直結していきますから。過去の前例に捉われず、まだ見ぬ領域にチャレンジを仕掛けていくスタンスは欠かせないと思っています。

 

 

──:求めているのも、そういったマインドを持った人材ですか?

そうですね。既成概念に捉われることなく、豊かな創造性を持った人材にお越しいただきたいと思っています。そして、新技術がふんだんに使われたゲームをたくさんリリースしていきたいですね。

──:好奇心旺盛な人なら、楽しめそうな環境ですね。

そう思います。学びたいことにあふれている毎日の方が、きっと楽しいはず。人生、ずっと勉強ですよ。

 

 

(イーキャリア求人コーナー)

株式会社バタフライ

会社情報

会社名
株式会社バタフライ
設立
2007年2月
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