東証がスマホアプリの開発・企画コンテスト開催中 プロデューサーの菊地氏が語る「株」×「アプリ」の狙い



 
東京証券取引所は現在、株式市場への関心を高めるために「ソーシャルかぶコン2013」というスマートフォン向けアプリケーションの開発・企画コンテストを開催している。株式投資をプロモーションできるものが対象で、賞金は最大30万円。審査員はヤフー執行役員の村上臣氏、ゲームクリエイターの水口哲也氏、WEBアプリ開発コンテスト「Mashup Awards」運営事務局長の伴野智樹氏など。コンテストではゼンリンデータコムの地図データなど本来有償のAPIを無償で扱えるという。

10月初めに東証で開催したハッカソンでは、株価に連動してキャラクターが成長するゲームや、株の個別銘柄を組み合わせた「ポートフォリオ」を作って対戦するゲームなどのアイデアも出てきたという。なぜ今、このコンテストを開催するのか。プロデューサーをつとめる東証マーケット営業部調査役の菊地和宏氏に話を聞いた。株価の上げ下げというよりは、株式市場をより身近に感じさせるようなアプリを募集しているという。


 
――今回のコンテストの狙いは何でしょうか。
「東証が課題として認識しているのは、10代後半から30代のいわゆる若年層の株離れの度合いが大きいことです。そもそも株式市場が何かを知らない人も多い状況です。投資家層を増やそうと、いろいろな施策を打ってきましたが、投資の未経験者には効果が薄かった。そこで、まず株式市場の『存在』とその『意義』を知ってもらおうと考えました。まずは認知をしてもらう、ということです」

――そのためにアプリですか?
「アプリに限ったわけではありません。『Social Good!な株式市場』のプロモーションにつながるような作品であれば何でもOKです。アプリ開発部門やアプリアイデア企画部門のほか、写真や画像1枚からでも応募できるプロモーション部門があります」

――『Social Good!』ということですが、東証が伝えたい株式市場の意義とは何でしょう。
「株式市場を簡単に説明するならば、成長を希望する『企業』(チャレンジャー)と、その企業を応援したい『投資家』(サポーター)のニーズを『株式』という形で結びつける場所です。ビジネスアイデアや技術を形にしたい企業が必要とする資金を、投資家が投資という形で提供する。その対価として投資家は株式を受け取り、市場で売買する。これが株式市場です」

 


「株式市場がなければ生まれなかった製品やサービス、成長できなかった企業もあるはずです。こうした社会的意義があるということ、それが『Social Good!』な株式市場ということです」

――エンジニアと株式市場には距離がありそうです。
「エンジニアにとって魅力的なコンテストになるよう考えた部分もあります。ドワンゴやNTTドコモ、トヨタIT開発センター(TOYOTA ITC)からはMashup Awards向けに用意された特別なAPIを提供してもらい、地図データのゼンリンデータコムからも本来有償のAPIを無償で提供してもらっています」

「審査員として、ヤフーの執行役員CMOの村上臣氏、『セガラリー』など有名ゲームを多数プロデュースした水口哲也氏、Mashup Awards運営事務局長の伴野智樹氏、企業価値検索サービスUllet開発者(メディネットグローバル代表)の西野嘉之氏など、第一線で活躍されている方々が参加します。いずれも多忙な方ですが、最終審査ではこの方々の前でプレゼンができます」
 

左から村上臣氏、水口哲也氏、伴野智樹氏、西野嘉之氏


――どのような応募作品を望んでいますか。
「10月5日に東証で開いたハッカソンでは、株の個別銘柄を組み合わせたポートフォリオを作って対戦するアプリなどゲーム的なアプリも出てきました。従来の株式の枠におさまらないような斬新なアプリや、株式市場をより身近に感じさせてくれるアプリの応募が増えることを望んでいます」

「作品募集期間は10月末まで、一次審査の結果発表は11月中旬としていますが、作品募集の締め切りは柔軟に対応しようかと調整しています。東証ソーシャルかぶコン製作委員会(kabucon@tse.or.jp)までご連絡いただければと思います。エンジニアの方にとって、やりがいのある環境を整えていますので、ソーシャルゲーム業界の方々のアイデアを、コンテストを通じて教えていただければと考えています」


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