【寄稿】2014年スマホゲーム市場は3,000億円規模へ。戦略の最適化に執着し市場チャンスを獲得せよ。

2013年はネイティブモバイルゲーム市場が定着した年になったと、どなたも感じたことではないでしょうか?

そこで当寄稿では、2014年のスマホゲーム市場予測・戦い方についてまとめさせて頂きたいと思います。

まず、市場の結論を申し上げますと、2014年モバイルゲーム市場は、1999年1月にiモードゲームが始まって以来の過去15年の歴史の中でもっとも大きな市場になると思われます。その市場規模は3,000億円を超えるものになるでしょう。

その理由は極めて明快です。
・2013年9月時点で日本スマホ市場規模200億円/月になっている。 ※1
・スマホ普及率がまだ伸びる。全体契約者の約60%に伸長する ※2
・スマホゲームTVCMが鉄板化し、GRPが増加する ※3

以上の3つの背景を考えると、スマホ市場規模は250~300億円/月規模となり、つまり、3,000億円~3,600億円になることが類推されます。

このインパクトはどの程度になるのでしょうか。

ズバリ、
「スマホゲームがゲーム業界の主流になる。そして、ゲーム業界全体が伸びる」
ということになります。

また、申し添えますと、スマホゲームと家庭用ゲームは対立関係ではなく、協調関係です。

それはパズドラZが表しているとともに(※4)、今後のPS4,・Xbox Oneの家庭用プラットフォームが、PCベース開発であることから、スマホへの展開が非常に容易になり、日本人もスマホでリッチなゲームを行い始める文化ができはじめるのも2014年であると考えます。

つまり、2014年は「スマホゲーム文化元年」となることでしょう。

では次に戦い方について整理させて頂きます。

このように拡大した市場では大資本の参入が本格化し、戦い方は大資本・中資本・小資本と、タイトル規模毎に三者三様することを理解し、実践する必要があると思います。

結論を申し上げますと、

大資本=メガ×海外展開
中資本=ポートフォリオで中産中死×カテゴリドミナント
小資本=ゲリラ×コホート

という戦略が適切だと考えます。その戦略の上で、ゲーム単位の基礎要件として、

・プロダクト:初動でクリティカルなバグを出さない。サーバを落とさない。
・集客:市場トレンドをウォッチし、良いものは柔軟に導入。

ということが掛け合わされるとゲームビジネスとしての成功確率は高まると言えると思います。

具体イメージを持って頂くために、最近の代表例を3つ上げさせて頂きます。

-ブレイブフロンティア
-フルボッコヒーローズ
-ドラゴンファング

の3つです。

ブレイブフロンティアはまずその切り口の良さを基にゲリラ的にファミ通をはじめとするレビュー媒体を巻き込み、早期にファン層を確保し、売上が高まる手前から海外展開、そして、TVCMへの道に昇華していきました。その人気ゆえにサーバは落ちてしまいましたが一度惹きつけられたファンは離れることはありませんでした。

フルボッコヒーローズについては、プロダクトチームとマーケティングチームが掛け合わされ、今の市場でやるべき集客施策の理想像を総力を挙げて実現したことで、集客コストを最小化することに成功させ、また、リリース直後から売上もついてきています。

ドラゴンファングについては、事前予約ユーザが増大したことにより、先日リリース延期が発表されたタイトルとなりますが、ローグ系という他プラットフォームでは人気ジャンルのものを、スマホで解釈したという熱意や意外性がファミ通・4Gamerの編集部に到達し、ゲームユーザに支持を得始めたタイトルです。

こちらも集客コストはほとんどかけていないと言われます。

リリース前タイトルのため売上はまだ未知数ですが、自社のタイトルの着想点を一貫して訴求し、パブリシティする執念があれば、序盤戦で勝つことができるということを体現したと言えるでしょう。

前述の市場予測から鑑みますと、スマホゲーム市場は今年が本番です。切り口が面白いタイトル・魅力的なタイトルなど多数出てくる模様です。結果、成功事例の情報もあふれるでしょう。しかし、焦る必要はありません。

なぜならば市場はまだ未成熟だからです。それを裏付けるように、ストア売上ランキングを見ますと、プレイヤーには変化があります。(1位は変わりませんが!すごい・・) つまり、勝つプレイヤーが次々に出てきており、市場にチャンスがあふれているということです。

自分たちのリソースから適切な戦略を決め、不必要な施策はカットし、成功させるという熱意を基にプロダクトとマーケティングの力を併せれば、課金ユーザの絶対数が増えている市場で、一定以上の結果を出すことができるでしょう。

あるゲーム会社の経営者の方がおっしゃっていました。

「売上は変わっていないのに売上順位は落ちている。」

つまり、市場は日々拡大しているということです。

この記事を見ていらっしゃる方の新規タイトル、既存タイトル、それぞれの戦い方の参考になりますと幸いです。



▼当記事の参考pptとなります。こちらのほうが見やすいかもしれません。




※1 日経新聞『スマホゲーム、黄金時代に成長支える日本の流儀』新 清士 DISTIMOのデータから

※2 MM総研『スマートフォン市場規模の推移・予測(2013年10月)』

※3 AppBroadCast調べ。2013年にTVCMを実施した主なスマホゲームタイトルは18本。

※4 電撃オンライン 【週間ソフト販売ランキング】3DS『パズドラZ』が発売4週目でミリオンヒットを達成! 


■執筆者紹介    
小原 聖誉    
国内初のネイティブソーシャルゲームに特化した集客スタジオ、株式会社AppBroadCast代表。2001年からモバイルゲーム業界に携わり、ゲームポータルの立ち上げを経て、ゲームを中心としたモバイルコンテンツ企業の集客支援ビジネスを手掛けている。
AppBroadCastコーポレートWEB:http://appbroadcast.jp
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