アプリマーケティング研究(12) 事前予約サービスによる初期プロモーション手法の変化と事前予約の効果の最大化のために

■はじめに


事前予約サービス市場の急激な拡大によって、昨年の後半から初期プロモーションセオリーは大きく変化しています。

今週は昨年下半期にリリースされたアプリと現段階のアプリのリリース後のランキング推移から初期プロモーションの変化を追います。

また事前予約サービスが急拡大する中でより事前予約サービスの効果を最大化するためのプロモーションの課題も見えてきています。

 

■初期プロモーションセオリーの変化とランキング推移比較

 

上記は2013年7月および2014年4月リリースされたあるアプリの新着ゲームランキングの日別推移を比較したものとなります。ランキングの推移が大きく変わっており、これは初期のプロモーションセオリーが「事前予約」の登場によって大きく変化したと言えると思います。

 

■初期プロモーションの変化

 

2013年後半にかけてアプリのアンインストール率の上昇によるリジェクトのリスクを避けるために、リリース後の1週間から10日にブースト開始する会社が目立ちました。

しかし事前予約によってリリース直後に質の高いユーザを一定の規模で獲得することが可能となり、リジェクトリスクも減ったためブースト施策をリリース翌日または翌々日から開始するアプリが増えています。

 

■事前予約サービスの効果を最大化するために


事前予約サービスが急拡大する中でより事前予約サービスの効果を最大化するためのプロモーションの課題も見えてきています。

事前予約とブースト施策によってGooglePlayゲームランキングであればリリース直後に売上150位圏内まで上昇するアプリは多いですがその後売上ランキング下降するアプリが増えています。

その理由として主に2点考えられます。

①事前予約インセンティブとゲームバランスの調整
最近導入事例の多いリリース前にガチャを引かせる施策ですが、もともとはリセットマラソン(リセマラ)をユーザにゲーム外で行わせることを目的とした施策となっています。そのためリリース後のゲームバランスの調整は難しく、売上ランキングも苦戦しているアプリが多いようにも見受けられます。

②事前予約ユーザ獲得後のプロモーション
事前予約と同様に質の高いユーザを継続的に獲得するという長期的な集客施策は市場全体の課題ともなっておりリリース前から施策を考えておく必要があります。

 

■まとめ


事前予約サービス市場の急拡大とともにプロモーションセオリーの変化や課題も生まれてきています。

事前予約サービス経由のユーザの継続率や課金率は他の広告経由のユーザと比較しても良いなどプロモーション手法としては優れた施策となっていますが、事前予約サービスによってより大きな効果を得るためにはその後のプロモーションや運営も重要となってきており、包括的な戦略が求められています。


 

■執筆者紹介


森山 晃義

国内初のネイティブソーシャルゲームに特化した集客スタジオ、株式会社AppBroadCast アプリマーケティングラボラトリー ラボ長。モバイル広告の黎明期からモバイル広告業務に携わる。プラットフォーム系SAPのプロモーションマネージャーを経て、ネイティブアプリのデベロッパーではGoogleトップデベロッパーの認定に尽力。2013年8月より現職にてゲーム集客戦略の支援を手掛ける。