enish決算説明会 業績計画達成に向けて「今後のネイティブタイトルで追い上げ」…既存タイトルは『ガルショ☆』が過去最高売上と好調

enish<3667>は5月1日、都内で決算説明会を開催した。前日に発表した2014年12月期第1四半期(1~3月)の売上高は前四半期比0.6%減の17.63億円、営業利益は3.5倍の2.2億円だった。既存タイトル、とりわけリリース後3年を経過した『ガルショ☆』が過去最高売上高を更新するなど好調で、売上はほぼ横ばいを維持。費用が減少したため、利益も改善した。

安徳孝平社長は期初に発表した業績計画の達成に向けて「今後リリース予定のネイティブタイトルで追い上げていく」と、新作への期待を語った。なお説明会は、会場からの質問もなく、十数分の短時間で終わった。(以下、カギ括弧内は安徳社長の発言)
 
 

 

■『ガルショ☆』が健闘、『ぼくのレストランⅡ』と逆転間近?


説明会で同社の安徳社長はブラウザゲームの環境が厳しいと指摘する一方、『ガルショ☆』の堅調さを取り上げた。下のグラフからわかるとおり、看板タイトルである『ぼくのレストランⅡ』の売上を上回りそうだ。『ぼくのレストランⅡ』の売上減少が続くようだと、『ガルショ☆』が同社の稼ぎ頭となる日も近いだろう。
 


■広告宣伝費を圧縮…前期リリースのアプリについては宣伝費用の投入を停止


四半期の営業利益は前四半期比で大きく改善。前期リリースのアプリについて、費用対効果が見込めないため広告宣伝費の投入を停止。費用が減少したことが利益改善につながったという。
 

ただ、営業利益は前年同期比でみると、46%減少。約4億円の利益を創出していた前年同期と比べると、外注費、労務費、支払手数料、人件費、採用費と様々な費用が増加している。ネイティブアプリに軸足を移す中、モバイルゲーム企業は開発費用の増加に苦しんでいるが、enishも例外ではない。

なお、東証1部への上場と、六本木ヒルズへのオフィス移転の影響で、採用では質の高い応募者を多く獲得できたという。ネイティブアプリ開発に向けて採用を強化したことが、人件費や採用費の増加につながったとのこと。現在、開発に関わる従業員のうち、60%がネイティブ開発に従事している。
 
 

■ネイティブ新作投入で業績計画達成に追い上げ

 
第1四半期時点の売上と会社の業績予想を見比べると、上半期の計画達成率が5割弱、通期の達成率が2割程度で、やや進捗が鈍いと感じる市場関係者もいるかもしれない。この点について安徳社長は「今後リリース予定のネイティブタイトルで予想達成に向けて追い上げる」との方針を語った。

そのネイティブタイトルは現在7本を開発中。『ぼくのレストラン3』は5月中旬にiOSでリリース予定という。現在、事前登録者は3万人を突破しているが、「事前登録には広告かけていない。この手の女性向けカジュアルゲームでは、まあまあ悪くない数字」と話していた。

そのほか6本のうち、上期にリリース予定の2本(下記図表ではProject2、Project3)は、品質向上のため1、2カ月程度の遅延が起こりそうだという。「ネイティブはブラウザのように、リリースした後に直すことがやりにくい。リリース前に品質を高める」という考えとのこと。
 

また、7本のうち2本は韓国のソウル、1本を中国・上海で、現地企業と共同開発を進めているという。いずれもネイティブ開発経験がある企業とのこと。また開発中の7本すべてで、アジア市場への展開を考えており、ローカライズを同時に進めている。

アジアでの配信・運用は「基本的には自社でやりたい」という考えだが、「7本のゲームで自社運営を始めるということになるので、状況を見ながら、現地企業との協力も検討していきたい」とのこと。アジアで実績を出したのちに、北米などへの展開も視野に入れているという。


■関連リンク

決算説明資料
 
株式会社enish
http://www.enish.jp/

会社情報

会社名
株式会社enish
設立
2009年2月
代表者
代表取締役社長 安徳 孝平
決算期
12月
直近業績
売上高35億800万円、営業損益12億600万円の赤字、経常損益12億6500万円の赤字、最終損益13億7400万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3667
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