【インタビュー】「パズルでもクイズでもない“本当のRPG”を作る」…コロプラ新作『白猫プロジェクト』はスマホRPGが行き着くひとつの答え


コロプラ<3668>は、スマートフォン向け新作ワンフィンガーRPG『白猫プロジェクト』のリリースを予定している。

本作は、新たに開発した次世代インターフェースにより、3Dアクションを指一本(ワンフィンガー)で快適に操作できる本格3DアクションRPG。コロプラ初となるネイティブオンラインアプリ『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』(以下、『黒猫のウィズ』)を開発し、1年以上運営してきたチームがその経験やノウハウ、技術力を結集した「まさに王道」なRPGとなっている。

今回「Social Game Info」では、『白猫プロジェクト』を特集した連載記事を3回に渡って掲載。第1弾では、同作のプロデューサーらを迎えて、『白猫プロジェクト』の開発経緯や“こだわり”などを聞いてきたインタビュー記事をお届け。

 

■「パズルでも、クイズでもない“本当のRPG”を作る」



株式会社コロプラ
『白猫プロジェクト』プロデューサー・浅井大樹(写真左)
『白猫プロジェクト』プロジェクトマネージャー(写真右)


――:よろしくお願いします。本作は『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』チームの最新作とお聞きしています。まずおふたりのこれまでの経歴を、簡単にお聞きしてもよろしいでしょうか。

浅井氏:コロプラにはいまから2年ほど前にジョインし、Kuma the Bearブランドのライトゲームを3本と『黒猫のウィズ』を手掛けてきました。

プロジェクトマネージャー(以下、PM):私も約2年前に3Dデザイナーとして入社し、ライトゲームを手掛けてきました。入社したときから浅井とは同じチームで、そのチームメンバーがそのまま『黒猫のウィズ』を開発することになりました。


――:なるほど。そして『白猫プロジェクト』ですが、どういった経緯で開発がスタートしたのでしょうか。

PM:企画自体は、いまから1年ほど前に始まりました。当初は、業界として主流だったカードバトル系や、戦術を盛り込んだリアルタイムストラテジー系のゲームを作ろうとしていました。しかし、開発を始めてリリースまでには、結局のところ時代やニーズも進化してしまうため、1年後を見据えたゲームの開発を考える必要があります

そこで本作では、大胆にもフル3Dでありながら、フィールド上を自由に歩き回れるようなゲーム開発にシフトしていきました。そうしてクオリティの高いアクション要素と壮大なRPG要素を、「どうにかしてライトに落とし込めないか……」という開発意図が、そもそもの『白猫プロジェクト』の出発点になります。
 


――:公式サイトには「コロプラは新しいゲームを作りたいんだ」「まさに王道」など、熱のこもったキャッチコピーが提示されていますが、何か明確なコンセプトはあるのでしょうか。

浅井氏:コンセプトというか、これまで弊社のネイティブオンラインアプリには、クイズRPGやひっぱりアクションRPGなど、タイトルに○○RPGという文言が付いていました。いずれも面白い仕上がりではありますが、今回の『白猫プロジェクト』では、その○○RPGを付けるのをやめるようにしたのです。いわゆるパズルでも、クイズでもない“本当のRPG”を作るということ

PM:これまでの作品は、あくまでも“RPG風”でフックとなるゲーム性を活かすため、他の要素をシンプルにしています。例えば、どこかフィールドを“進行している風”な画面があり、そこで敵とエンカウントする形となっています。しかし、『白猫プロジェクト』では、RPG風でイメージしていた部分を全て細かく手掛けていき、スマートフォンのなかで本格的な王道RPGを実現させるということを明確なコンセプトに据えています。


――:はじめからアクションRPGだったのでしょうか。

PM:やはり当初から移動などはプレイヤー自身にさせたかったという思いがありました。ただ、フィールドを歩き回ることはできたのですが、はじめは敵の前に立つと自動的に攻撃するオートバトルを採用していました。カジュアルゲームとしては良いかもしれませんが、当然遊んでいる感覚は乏しいわけで……。フィールドを歩き回れるところまで開発したのであれば、きちんとユーザーさんがゲームに没入できるように、タップ操作などの操作性を深めていくところで、必然的にアクション要素が高まっていきました。


――:そして操作と言えば「ぷにコン」ですよね。実際に遊ばせていただきましたが、片手でスムーズに派手なアクションが楽しめるなど操作性も良好で驚きました。こちらの導入までは、恐らく様々なご苦労があったかと思います。
 

PM:そうですね。これまでのスマートフォンにおけるアクションゲームやRPGは、おもにバーチャルパッドを採用した横画面が多かったと思います。

じつは『白猫プロジェクト』も「横でもいいんじゃないか」という意見がありましたが、我々としては縦画面にこだわり貫きました。やはりスマートフォンでゲームを出す以上は、人間のライフスタイルに寄り添うような作品にする必要があると思っていたからです。

浅井氏:初期の段階では、どこを触っても移動できるような形に加え、スキルを発動できるボタンなどがありました。

ただUI(ユーザーインターフェイス)的に見辛くなるなど、様々な紆余曲折があった末、「もうボタンいらなくない?」という話に着地しました(笑)。画面もスッキリしていき、あとは試行錯誤を繰り返しながら完成させました。
 
 
▲「ぷにコン」の操作画面。移動や攻撃、スキルが一本指で操作可能。
 
 
▲スキルは画面を長押しして、そのままフリックすることで発動できる。
 
 
▲ド派手な演出や強大なボスの登場など、本格RPGを手の平で実現。


――:分かりました。そういえば『白猫プロジェクト』というタイトル、当初発表されたときは仮題と思ったのですが、これが正式タイトルなんですね(笑)。一風変わったタイトルですが、命名された理由についてお聞かせください。

浅井氏:もともとは『黒猫』チームとしての新作であり、対義的に『白猫』というキーワードを加えたいという想いがあったため、『白猫プロジェクト』と呼んでいました。

本編に白猫を出すことも決めていたのですが、正式タイトルを決める段階で白猫にどのような言葉を組み合わせるかで悩んでいました。ただ、最終的には語感も含め「『白猫プロジェクト』でいいんじゃないか」という形に落ち着いて。その後何日間か寝かしてから改めて見ても、やはりこのタイトルが一番しっくりくると思い、決めました。


――:ちなみに、そのほかのタイトル候補は。

浅井氏:候補はかなりありました。当初考えていたのは『七国物語』というタイトルです。世界観と絡めて壮大なファンタジー要素をイメージできるような “七国”という言葉がポイントになります。


――:なるほど。ただ『白猫プロジェクト』は“プロジェクト”という文言が、コロプラとしての新たな計画・挑戦的な意味合も含まれていそうですね。

PM:はい。もちろん世界観的なところでも絡んでいきますが、チームとしての「スマートフォンで新しいRPGを作る」という方針や気持ちも含めて、“プロジェクト”は相応しいですね。

浅井氏:なかなか他のゲームにはないタイトルですし、恐らくみなさん『白猫プロジェクト』というタイトルを見たときに「どういうこと?」と驚くことでしょう。ただタイトルに関しては、遊んでいくうちに腑に落ちていただければ、それでいいと思っています。

 

■スタミナ消費は無し! 「もう好きなだけ遊んでもらおうかと」


――:浅井さんは、『黒猫のウィズ』では世界観設定や物語を手掛けられたと聞いていますが、今回の『白猫プロジェクト』でもご担当されたのでしょうか。

浅井氏:はい。ただ、自分ひとりで決めたものではありません。……どこで決めたんでしたっけ? 

PM:たしか原宿にあるファミリーレストランで決めました(笑)。

浅井氏:そうだ、映像会社さんにムービーをご依頼したときの帰り道でした。というのもムービーを手掛けてもらうために、細かい世界観の設定や物語を伝える必要があり、そこで「白猫」や「宙に浮いた島」などのキーワードが出てきて、世界観の原型を決めていきました。世界観や物語については、突飛な感じにしようとはせずに“王道ファンタジー”をイメージして詰めていきました。
 




――:そして本作では声優さんも起用されていますよね。メインクエストの会話劇はもちろん、戦闘中も喋るなどの賑わいを見せています。

PM:声優の方はチームのなかで熱い想いを持ったメンバーに話を聞いて、選定させていただきました。実際にそのメンバーがキャラクターデザインを担当しており、声と登場人物のマッチングは良いと思っています。人気のある声優さんを起用させていただいてはいますが、まずはキャラクターのイメージと声が合っていて、ユーザーさんが違和感なくゲームに入り込めるということを最優先に置いています。


――:実際のアフレコ現場にも行かれたと思いますが、細かい演技指導もされたのでしょうか。

浅井氏:はい、やらせていただきました。やはりゲーム内に組み込まれたときに、どのように表現されるかは開発側が持っているイメージであるため、必ず現場には担当メンバーが居るようにしました。それこそ「ここでは声のトーンを高くしてください」など、細かいところまで声優の方には伝えていきました。


――:育成要素もボリュームがあり、やり応えありそうですね。特定のアイテムを用いてステータスを部分的に強化していくソウルボードなども面白いです。

PM:当初ソウルボードは、武器の進化系統として始まりましたが、やはり武器だと進化に限りが生じるため、キャラクターの成長要素にシフトしました。ソウルボードがあることで、ユーザーさんはキャラクターを自由に強化していくことができます。

『黒猫のウィズ』の成長要素と比べてしまうと、どうしてもシステム的にコアユーザー向けにはなってしまいますが、もう今ではスマートフォンのゲームで遊ばれているライトユーザーさんもコア化が進んできている印象があります。恐らく1~2年前では複雑すぎて分からないという懸念もあったと思いますが、いまのタイミングであればパラメータに対する理解も前よりかは軽減されて、自然と入り込めるだろうと考えています。


――:施設を建てて自分だけの街作りが楽しめるタウンパートもありますよね。 

PM:はい。弊社のタイトル『蒼の三国志』にも街作りパートがあるのですが、そもそもの導入経緯としては、テクニックや集中力が要されるアクションパートをユーザーさんができない状況のとき、気軽に遊べるコンテンツとして手掛けたのが始まりです。たとえば、満員電車で集中してプレイできないときに、このタウンパートであればじっくりと手軽に遊べるようになっています。そうしたふたつのコンテンツを、ユーザーさんの状況に合わせて切り替えながら遊んでいただければと思っています。
 
 
▲自分だけの街を作れるタウンパート。


――:またタウンパートには、仲間になったキャラクターたちも歩いていますよね。なかなかコミカルで、不思議とたくさんの仲間を迎え入れたい…という気持ちにもなります。 そして、その街のなかを実際にフィールドのように歩き回れる点も驚きました。

PM:現在は歩けるだけのビューモードのようですが、今後は歩くことによるゲーム性も加えていきたいと思っています。また、フレンド同士の街を見られるような機能も検討しています。タウンパートも徐々に機能追加をしていきますので、お楽しみください。


――:そういえば、クエストにはスタミナ消費が見受けられませんでしたが、これは……。

浅井氏: RPGにおいて、クエストをプレイするのに「スタミナ消費ってなんだ?」という結論にいたりました。もう好きなだけ遊んでいただこうと思っています(笑)


――:たしかに! それにもう“RPG風”のタイトルではありませんからね。思えばスタミナ消費って運営側による都合的なシステムですね。

浅井氏:ゲームシステムによるとは思いますが、基本的に回数制限を設けて、“何か遊べないところが出てくる”というのは、少なくなっていくのではないでしょうか。

 

■まだまだ拡張要素あり 「テーマパークのような規模感に」


――:開発を振り返ってみて、なにか苦労された点などはありますか。

PM:もう、すべてですね(笑)。なかでも敵が意思を持って動いて攻撃するといった、AI部分には苦労しました。パラメータの数値を設定すれば済んでいたカードバトルから、実際に挙動して攻撃してくるというアクションゲームの難しさを新ためて感じました。ここのバトルパートがきちんと完成していないと、恐らく『白猫プロジェクト』は面白くなくなってしまいます。そのため、バトルパートや敵の挙動に関しては相当な時間をかけて開発・調整していきました。


――:そうですね。アクションRPGでいえば、きちんとした敵の挙動がゲームの面白さや難易度も決定付けてしまうものです。浅井さんはいかがですか。

浅井氏:まったく同じですね。PMとプロデューサー目線でゲームを作るときは、トータルの開発期間でスケジュールの見通しを立てていきます。それが、まさかゲームが面白いと感じるコアな部分が固まるまでに、こんなにも時間がかかるとは思いませんでした。ただ、時間をかけただけのクオリティに仕上がっています。

――:恐らく社内レビューなどもやられたと思います。実際に遊ばれた方のなかで、どのような意見が寄せられましたか。

PM:驚いたのは、「こういう機能をいれて欲しい」という要望が凄まじく多かったことです。幸いにもゲームがさらなる広がりを見せるだろうという、可能性を感じとっていただけたようです。要望は精査して施していく必要がありますが、さらにゲームを拡張できると手ごたえを感じました。


――:ちなみに、おふたりから見た『白猫プロジェクト』の魅力は。 

PM:「ぷにコン」を用いたアクション要素はもちろんですが、本作ではキャラクター1体1体を3Dモデルで起こしていることもあり、これまでのカードゲームとは異なって、よりキャラクターに感情移入しやすい点が魅力となっています。また、たとえ汎用キャラクターでも個性付けにはこだわりを持っています。

さらに、クエストにキャラクターを連れて行くと親密度が深まり、一定値を超えると「思い出」としてキャラクター同士の掛け合いも楽しめます。ローンチ時には、50体を超えるキャラクターが登場するなか、すべてにおいて会話劇を用意しているなどのボリュームがあります。ぜひ、キャラクターとの絡みをお楽しみください。

浅井氏:やはり、きちんとしたRPGをスマートフォンで実現したことにあります。これまでもキャラクターを動かして攻撃するなどのゲームはいくつもありましたが、そのなかでスマートフォンに特化したという意味では、『白猫プロジェクト』は本当に良い出来だと自負しています。それこそスマートフォン向けの本物のRPGとして、ひとつの解答が出せたのではないかと。ユーザーさんには、そこを確かめていただければと思います。


――:実際にリリースされた後は、どのような運営方針を考えていますか。

PM:“王道RPG”をコンセプトに持っているため、定期的に物語を追加していくことです。メインクエストはもちろんのこと、イベントや協力バトルに関連する物語など、常に遊ぶところを絶やさないようにしていきます。また、タウンパートもさらなる可能性を秘めているため、こちらも随時アップデートしていきます。

アイディアベースですが、モンスターを捕まえて育てることも技術的には可能だったりします。ゲーム自体が拡張しやすいように作られているため、運営しながらも様々なコンテンツを増やしていき、テーマパークのような規模感にしていきたいです。
 
 
▲個性豊かなキャラクターたちの存在も見逃せない
 
浅井氏:根幹となるRPG要素のなかで、いかに多彩なバリエーションで遊んでいただくかが大事だと思っています。遊べることを絶やさないよう注意して手掛けていくほか、スマートフォンのRPGという形を追求して、端末ならではの新しい要素や楽しみを提示できればと思っています。そのほか、ボスの動きによって遊び方がガラッと変わることもあり、そうした要素をどんどん追加していくことも視野に入れています。


――:わかりました。では、最後にリリースを心待ちにしている方々にメッセージをお願いします。

PM:「ぷにコン」の操作性はもとより、ゲームらしいゲームをスマートフォンで実現するという部分で、かなり挑戦的に開発できたタイトルとなっています。ぜひ、手にとっていただいて、我々が提示した新しいスマートフォンRPGの形を触って楽しんでください

浅井氏:我々が所属している「Kuma the Bear開発本部」では、これまでパズルや格闘ゲーム、シューティングなど、多種多様なライトゲームを手掛けてきました。また、『黒猫のウィズ』や『スリングショットブレイブズ』といった、ネイティブオンラインアプリも開発してきて、本当にたくさんのトライ&エラーを繰り返してきました。そうしたノウハウが積み重なって、今回の『白猫プロジェクト』があると思っています

「スマートフォンRPGとは何か……」というひとつの答えを見ていただければ幸いです。


――:本日はありがとうございます。
 

■現在、事前登録を受付中!

現在『白猫プロジェクト』の配信に先立ち、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』と連動した事前登録キャンペーンを受付中。事前登録は、Android版から先行スタートし、後日iOS版でも開始する予定だ。事前登録を行うと、正式サービス開始時に、魔法使いと旅する異界の『黒猫』の杖など豪華アイテムが特典としてプレゼントされる。

<『白猫プロジェクト』事前登録キャンペーンの概要 >
① 『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』を事前にインストール
② 『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』のチュートリアル(ステージ3-4)までプレイ
③ 『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』内の「お知らせ」に事前登録ページが出現
④ 事前登録ページ内の「登録する」ボタン選択で完了
※事前登録はAndroidのみ。iOS版は準備ができ次第告知される。

 

■『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』

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※ゲーム画面のキャプチャは開発中のものです

© 2014 COLOPL, Inc.
株式会社コロプラ
https://colopl.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社コロプラ
設立
2008年10月
代表者
代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
決算期
9月
直近業績
売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3668
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