日本一ソフトウェア、中期の成長戦略を作成…「発売サイクルの見直し」や「2D技術の向上」で開発力向上目指す

日本一ソフトウェア<3851>は、本日(6月26日)、中期の成長戦略を作成したことを明らかにした。ただ、戦略の要ともいえる売上高や利益などの数値目標が開示されていないため、どうしても物足りなさが感じられる。「成長戦略」として、市場関係者からどのような評価を受けるかは未知数だ。

事業展開に関しては、コンシューマゲームが中核事業として堅持しつつも、スマートフォンやタブレット端末向けなどプラットフォームにかぎらず良質なコンテンツを作っていく方針だ。

同社では、これまでコンシューマゲームを中心に事業展開を行ってきたが、モバイル向けのソーシャルゲームやネイティブアプリへの対応が遅れ、業績にも少なからず影響があったことを認めた。しかし、事業環境は良好という認識だ。スマートフォンやタブレット端末の大型化・高機能化により、高度なゲーム開発力が求められており、同社のようなコンシューマーゲームで培った実績と開発力は競争優位を生むという考えだ。

今後は、「開発力の向上:コンシューマビジネスの改善」と「会社基盤の強化」を引き続き行っていくことにより、安定した成長を目指していく。施策は以下のとおり。


(1) 発売サイクルの見直し 
これまで年度の主力タイトルに注力し、人的・資金的資源を投入してきたが、本作の販売状況により業績への影響が顕著に現れていた。これからは中長期的に発売のサイクルを構築することで、ユーザーに対して発売のリズムによる期待感を構築し、ブランド価値の向上を図っていくとともに、開発のリズムを作ることで人的・資金的資源の最適化を図る。 

(2) 開発力の向上 
ゲーム市場ではゲーム機の高性能化、ゲームの大型化に伴い、各社開発費の高騰が進んでおり、同社でも同様に開発規模が拡大、人員増にもつながった。今後、開発の規模や手法を見直し、仕様の決定、作業項目の洗い出しを実施し、開発を最適化していく。また、現在のコンシューマ市場は特定タイトルによる市場の寡占化が進んでいるが、同社は常に新規タイトルに挑戦し、業界を活性化させていく。そのため「日本一ソフトウェア NEW BRAND」を立ち上げ、今後も新しい挑戦を続けていく。

(3) 2D 技術の向上 
これまで同社は2D技術に定評があり、2D表現を用いた商品を多く制作してきた。今後は当社の得意とする2D技術をさらに向上させるべく、アジアでの生産拠点を検討し、日本と連携をしながら品質の向上と最適化に取り組んでいく。

(4) 「人材育成」 
中期目標を達成していくための成長戦略として、今後のグループを担う経営幹部および若手リーダーをさらに充実させていくために、人材育成に注力していく。

(5) 会社基盤の強化
このほか、グループの意思統一を強固にするため、新しく「グループ中長期策定委員会」を設置し、各社の中長期計画を本社の意思統一のもと計画、管理していくとともに、経営・財務に精通したスタッフの育成を行う。また、社内外での研修を強化し、創業理念に基づいた経営幹部の意思統一を強化し、一般社員には仕事を通じて社会人としての基本を徹底して強化していく。 さらに、仕事を通じてプロフェッショナルとしての考え方と仕事の仕方を後進に伝えていき、チャンスとチャレンジのサイクルを構築する。
 
▼日本一ソフトウェアの連結売上高の推移(計画含む)

 
▼日本一ソフトウェアの直近1年間の株価推移(単位:円)

 
株式会社日本一ソフトウェア
https://nippon1.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社日本一ソフトウェア
設立
1993年7月
代表者
代表取締役会長 北角 浩一/代表取締役社長 世古 哲久
決算期
3月
直近業績
売上高48億3300万円、営業利益7億4500万円、経常利益9億4100万円、最終利益6億7200万円(2023年3月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3851
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