【発表会】スクエニ時田氏「雰囲気はスーファミ後期のRPG」、エイリム高橋氏「焼き増しにはしない」…『FF』新作アプリが見出す“次のスタイル”


スクウェア・エニックスは、2014年11月18日(火)に秋葉原UDXで『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)のスマートフォン向け新作タイトルを発表した。

発表会の冒頭では、スクウェア・エニックスの『FF』シリーズ統括プロデューサー・橋本真司氏より、同シリーズとスマートフォンアプリの関連性について振り返った。

現在『FF』関連のスマートフォンアプリは、過去作の移植をはじめ、パズルや端末に沿ったRPGなど、様々なスタイルのタイトルが生まれ、家庭用ゲーム機とは異なる形を提示してきたことをコメント。2015年に向けては、「また新たな形の『FF』シリーズを世に送り出せる」と意気込んだ。

さて、今回発表された新作タイトルは、『ファイナルファンタジーレジェンズ 時空ノ水晶(ときのすいしょう)』ならびに『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』の2タイトル、さらに『ファイナルファンタジー』シリーズの最新情報や本編のゲームアプリが配信されるスマートフォン向け情報アプリ『ファイナルファンタジー ポータルアプリ』である。

ここからは、各タイトルに携わる開発陣より、ゲーム概要について説明してくれた。

 

■『ファイナルファンタジー ポータルアプリ』



はじめに、『FF』関連の最新情報やアプリが配信されるスマートフォン用情報アプリ『ファイナルファンタジー ポータルアプリ』。本作の開発ディレクターを務めるスクウェア・エニックスの大津安徳氏が登壇し、サービス概要や今後の取り組みについて説明してくれた。

『FF』の総合情報サイトを担う本作は、ゲーム・出版・音楽・グッズ・イベントなど、あらゆるジャンルの『FF』最新情報を発信するという。そのほか、各タイトルにおける細かいキャンペーン情報なども定期的に届けていくとのこと。また、独自に攻略サイトの立ち上げやインタビュー記事、キャラクター人気投票なども構想しているようだ。もちろん『FFポータルアプリ』から既存のFFアプリを迅速にアクセスできるような導線も確保している。

そのほか、スクウェア・エニックスIDでログインすることでポイントが貯まり、グッズの応募券や各種デジタルコンテンツと交換できるポイント機能を搭載している。ポイントは、最新記事やゲーム動画を閲覧することで貯まっていく。なお、交換商品は毎月更新する予定。
 
 



そして、シリーズファンにはたまらない、『ファイナルファンタジーVIII』で好評を得たカードゲーム『Triple Triad』が、無料内包アプリとして楽しめる。スマートフォン用にUI(ユーザーインターフェイス)をアレンジしており、横画面と縦画面にも対応。そのほか、Bluetooth対戦ができたり、カードでは歴代キャラクターたちが登場したりと、細かい改良が加えられている。

また、『Triple Triad』を毎日遊ぶことで、先ほどのポイントも貯まるようだ。「シンプルでわかりやすいゲームのため、毎日遊んでポイント貯めてください」と大津氏。さらに、『Triple Triad』は『ファイナルファンタジーXIV』のゲーム内でも開発しており、将来的には『Triple Triad』のカードを『FFポータルアプリ』と連動することも計画しているとのこと。
 
 

<商品概要>
タイトル:ファイナルファンタジー ポータルアプリ
対応機種:iOS/Android
ジャンル:情報アプリ
配信予定日:今冬配信開始予定
プレイ料金:無料(一部有料コンテンツあり)
 

 

■『ファイナルファンタジーレジェンズ 時空ノ水晶』



 
続いて発表された『ファイナルファンタジーレジェンズ 時空ノ水晶』は、シリーズの遺伝子を受け継ぐ完全新作のスマートフォン向けRPG。登壇したのは、本作のゼネラルディレクターを務める時田貴司氏(代表作:『FFIV』、『クロノ・トリガー』)、サウンドコンポーザー・水田直志氏(代表作:『FFXI』、『FFXIII-2』)、キャラクターデザインとイメージイラストを手掛けるCyDesignationの相場良祐氏の3名。橋本真司氏も交わり、トークセッション形式で本作のゲーム概要を説明してくれた。

そもそも本作は、過去にモバイルアプリとして配信されていた、『ファイナルファンタジーレジェンズ 光と闇の戦士』の続編にあたる作品。こちらもプロデューサーは時田氏(写真)、音楽は水田氏が担当していた。また、当時は序章が無料で、その後の物語のシナリオをポイントで購入するマネタイズ形式をとっており話題を呼んだ。

さて、これまで20数年近く『FF』シリーズに携わっている時田氏は、“時を駆ける物語”の本作について、「コンセプトとしては『クロノ・トリガー』に近いです」と言及

また、グラフィックをはじめとするゲームの雰囲気は、「スーパーファミコン後期のように、昔懐かしい形に仕上げている」と述べた。しかし、その懐かしい雰囲気とスマートフォンならではの良さを共存させるのが、現状の課題であることにも触れた。
 

▲『FF』シリーズでお馴染みのコマンドバトルは本作でも引き継がれ、召喚獣の力を宿したクリスタルを装備し、様々なアビリティや召喚魔法を駆使して戦っていく。
 

▲魅力的なキャラクターたちが織りなす、時空を超えた壮大なストーリーが展開される。


キャラクターデザインを務める相場氏(写真)は、主人公・トゥモロについて「これまでは世界の苦しみを両肩に背負うような主人公が多かったですが、時田さんから“本作では元気に世界を冒険するぞ!”という設定をいただいたので、現在の明るく元気な少年になりました」とコメント。

一方、未来からきたヒロインのエモは「どんな未来からきたのか分からなかったため、ここは開発陣とよく話し合いながらデザインしていきました。とはいえ、ミステリアスな雰囲気がありつつも、とても爽やかな形に仕上がったと思います」と語った。

【物語】 「二人の出会いが、すべての始まり」
東の大陸アジマ、西の大陸ウェスタ。人間の過ちによって引き起こされた事件で世界は東西に分かれ、長い歴史の中で、争いを繰り返していた。中央に位置する小島ナバルで穏やかに暮らす少年トゥモロは、ある日、未来からやってきた不思議な少女エモと出会う。現在、過去、未来、そして時間から切り離された幻獣界。様々な時代でたくさんの仲間と出会い、別れ、紡がれていく「未来の約束」の物語…
 
 
▲トゥモロ(主人公)、エモ(ヒロイン)
 

▲イメージイラストは、毎月のシナリオアップデートで新しいものを描いていくという。ゲーム中に登場するキャラクターや幻獣などは、社内外問わず多くのイラストレーターたちが関わっている。


そして、前作『ファイナルファンタジーレジェンズ 光と闇の戦士』から引き続き音楽を担当する水田氏(写真)。ちなみに時田氏とは、プレイステーション用ソフト『パラサイト・イヴ2』(発売:1999年)で音楽を担当してからの付き合い。

『ファイナルファンタジーXI』など、大型タイトルの楽曲も担当している水田氏だが、本作における音楽について「とにかく曲数がすごいです。現在50曲ぐらいですが、なかなかスマホタイトルでは見ないボリュームで、コンシューマにもひきを取らない」と、当の本人は苦しいがユーザーには朗報とも言うべき秘話を話してくれた。

楽曲が多い理由としては、時代を駆け巡る物語のため、その世界(時代)毎にワールドマップやダンジョン、バトルなどの楽曲も変えているからだ。時田氏は「新しい世界に来たことを実感してもらうために、楽曲を変えるようにしています。そのため使い回しは0です!」と、音楽に関しても並々ならぬこだわりがあることをコメント。

また、ゲーム中ではテーマソングも収録。その歌詞には、物語の確信に迫るようなメッセージ性が込められているとか…。こちらの歌手含めての追加情報は、今後発表されていくようだ。
 




<商品概要>
タイトル:ファイナルファンタジーレジェンズ 時空ノ水晶
対応機種:iOS/Android
ジャンル:時を駆けるRPG
配信予定日:今冬配信開始予定
プレイ料金:アイテム課金型(基本プレイ無料)
 
 
 

■『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』



最後に発表された『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』は、全世界で1700万ダウンロードを突破中の『ブレイブ フロンティア』を生んだ株式会社エイリムが開発を務めるスマートフォン向け新作RPGだ。登壇したのは、本作のプロデューサーを務めるスクウェア・エニックスの広野啓氏、そしてエイリムからはエグゼクティブ・ディレクターの早貸久敏氏、制作プロデューサーの高橋英士氏。
 

▲左から高橋英士氏、早貸久敏氏、広野啓氏

はじめに広野氏より、本作の開発経緯について説明してくれた。そもそものきかっけは、スクウェア・エニックスの『エンペラーズ サガ』と『ブレイブ フロンティア』とのコラボ企画(関連記事)の際に両社が知り合い、その後の飲み会の席において、エイリム側の熱心な『FF』シリーズ愛に心打たれた広野氏が、今回の企画を立ち上げたとのことだ。

発表会で早貸氏は、「まさか自分が関わるとは」と謙遜する一面も見せてくれた。また、なかでも同氏は中学生のときに『FFIV』を夢中になって遊んだこともあり、「今日はそれに携わった時田さんとご一緒できるのが嬉しいです」と言葉を続けた。当時のプレイヤーが、現在共にシリーズ最新作の開発に携わっていることに、筆者も感慨深い気持ちになったものだ。
 
 
▲爽快感に満ちた熱いバトルシーンには歴代「FF」キャラも参戦。

 
高橋氏は『FF』シリーズの最新作に携わることに関して、「緊張している」とコメント。これは発表会の場についてではなく、あくまでもシリーズ最新作を開発するという、プレッシャーに対する緊張として口にしたのだろう。そして、公開中のゲーム画面を見て誰しもが抱くであろう想いに、「決して焼き増しには出来ない」と頼もしいコメントで切り替えした。

とはいえ、本作では『FF』の要素を十二分に詰め込まなければいけない。これについて早貸氏は、「モンスターや魔法が同じという記号的なものではなくて、シリーズで共通する要素や雰囲気を感じられるタイトルにしていきたい。完全新作のため、『ブレフロ』とは違う面白さで作っている」と語った。

また、バトルの爽快感はそのままに、本作ではダンジョンのなかを歩けることにも触れた。昨今のスマートフォン向けRPGでは、端末の操作面や煩わしさを考慮して移動要素を取り除くことも多いが、「かつての『FF』の楽しさを表現するため」としている。それに付随して、イベントシーンにも没頭できるような人形劇的な仕掛けを考えているとのこと。最後に広野氏からは「世界No.1を取る気概で開発しています」という力強いコメントで、本作の紹介を終えた。


▲オリジナルの世界設定、新規キャラクター達による新たなストーリーが展開する。
 
▲天野喜孝氏描き下ろしによる大迫力のイメージイラスト。本作の主人公レイン、そのライバル的存在のラスウェル、そしてヒロインのフィーナがベヒーモスと対峙する姿が描かれている。クリスタルの大地に眠る勇者たちの影は…!?

<商品概要>
タイトル:ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス
対応機種:iOS/Android
ジャンル:RPG
配信予定日:今冬配信開始予定
プレイ料金:アイテム課金型(基本プレイ無料)
 


 

■「巨大クリスタルツリー」の点灯式…秋葉原がファンタジーの世界に


発表会後には、場所を秋葉原UDXの広場に移して、人気タレントとして活躍する吉澤ひとみさん、そして『FF』好きとして知られる高橋愛さん、真野恵里菜さんの3名が登壇し、過去のタイトルに関する思い出や名場面などについて語っていくトークショーが行われた。
 

▲左から吉澤ひとみさん、高橋愛さん、真野恵里菜さん


前述しているように、今回は人気RPG『FF』シリーズの新作発表会なのだが、なんと吉澤ひとみさんだけ同シリーズを遊んだことがないようだ。ご自身も「何で私がキャスティングされたのでしょうか?」と疑問を口にしたところ、なんと『ファイナルファンタジーレジェンズ 時空ノ水晶』のゼネラルディレクターである時田氏が、単純に吉澤さんの大ファンということで今回オファーしていたことが判明。

吉澤さんも笑いながら「こういうのでお仕事いただけるんですね」と切り替えしたものだが、そんな吉澤さんも『FF』シリーズ未体験ならではの目線と、何より今回のトークセッションで『FF』の魅力を知る絶好の機会であることには違いない。「今日は『FF』F(ファン)になります!」と、突然の造語を口にして会場を沸かせた。
 


そして高橋愛さん、真野恵里菜さんの2名は、『FF』との出会いについて話してくれた。

高橋さんは、「小さい頃から親が『FF』を遊んでいたのですが、当時はセーブを上書きされるかもしれないという理由で、なかなかやらせてもらえなかった。やっと出来るようになったのが『FF9』です。そこから過去作に戻って『FF6』にもハマりました! 音楽も好きだし、ティナやロックといったキャラクターも好きだし…」と、さすがに大好きなゲームだけあり、堰を切ったように語りだし、もう話は止まらない、止まらない。

一方真野さんは、父親と5つ上の兄が遊んでいるのを横目で見ていて興味を持ったのが最初とのこと。「当時は幼稚園児でやらせてもらえませんでしたが、見ていたからアイテムや魔法・召喚獣の名前を全部覚えちゃったんですよ。そして絶対大きくなったらやろうと思って最初にやったのが私も『FF9』でした。ストーリーも良いんですけど、チョコボクエストやカードバトルとかのミニゲームにハマってしまい、なかなかストーリーが進まずにプレイ時間がすごいことになりました」と、夢中になって遊んだエピソードを語ってくれた。
 


そして、トークショーの最後には、なんと『ファイナルファンタジー』の世界観にあわせて氷で作られたブルーの巨大クリスタルツリーと、イルミネーションを合わせた点灯式を実施。さらに当日は、トヨタCMのピアノ演奏でお馴染みのまらしぃさんによる生演奏(曲目:「プレリュード」)が行われた。
 

▲シルエットのみの登場となったまらしぃさん。




▲『FF』シリーズの名曲「プレリュード」が生演奏で流れるなか、
ゲスト3名が手を当てるクリスタルは色彩豊かな輝きを発した。


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Character Design & Image Illustration : CyDesignation
Developed by Alim Co., Ltd.
Illustration/(C)2014 YOSHITAKA AMANO
株式会社スクウェア・エニックス
https://www.jp.square-enix.com/

会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス
設立
2008年10月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高2428億2400万円、営業利益275億4800万円、経常利益389億4300万円、最終利益280億9600万円(2023年3月期)
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