【年始企画】アナリスト・市場関係者に聞く「2014年、15年のソーシャルゲーム市場」 2014年MVPはやはり「ミクシィ」 2015年の期待は…

2015年も明けて4日目を迎え、明日5日からは多くの企業が仕事始めとなる。そしてもちろん日本の株式市場も年末年始の休みを終え、明日5日から始動する。

そこで、弊社では、年始の特別企画として、アナリストや市場関係者の方々へのアンケート企画を実施した。2015年の株式市場におけるソーシャルゲーム関連市場の動向を占う上で、大いに参考になるのではないか。

なお、今回紹介するのは、12月29日12時現在でご回答いただいた分から抜粋したものとなる。年末年始の休みを挟む時期ということもあり、年明け後にご回答をいただくことも考えられるため、それも考慮した内容は、後日あらためて紹介する機会を設けられればと思っている。

さて、今年のことを考える上で、まずは2014年の状況をまとめてみたいということで、以下の4つの質問をうかがってみた。
 

①2014年のゲーム(ソーシャルゲーム)市場を振り返った感想は?


【予想より良かった】…ソーシャルゲーム、ネイティブアプリゲームのユーザーが増え、ジャンルも増え、裾野が広がり、幅広い年代が参加できる遊びとしての地位が確立した1年だったと思います。(楽天証券経済研究所アナリスト 今中氏)

【予想通りだった】…順調な伸びだった。ブラウザゲームの縮小が思ったほど加速しなかったことも要因ではないか。

【予想通りだった】…ゲームジャンルの広がりが出ることで市場規模の拡大が着実に進んだ印象。一方で、コンセプトのパクりが早いことや、現地化対応の遅れなどもあり、海外市場での成功事例が少なかったことも残念ながら想定どおり。

 

②上場ゲーム(ソーシャルゲーム)関連企業で2014年に最も活躍した企業(MVP)を選ぶとしたら?


【ミクシィ】…パズドラの1強体制に終止符を打った「モンスターストライク」を開発したミクシィがMVPだと思います。同時接続プレイのトレンドを作ったことも素晴らしいですし、パズドラを凌駕するタイトルがまさかミクシィから出るとは!といった驚きも印象深いです。

【ミクシィ】…2014年の代表ゲームはやはり「モンスト」。

【ミクシィ】…モンストの大ヒット。

【ミクシィ】…「モンスターストライク」の大ヒットで、不振企業だったミクシィがわずか1年で業界有数の優良企業、成長企業に生まれ変わった。(楽天証券経済研究所アナリスト 今中氏)

 

③上場ゲーム(ソーシャルゲーム)関連企業で2014年に予想を超えた活躍をした企業や、期待に応えた企業を選ぶとしたら?(複数回答可)


【マーベラス】…日本で馴染みの薄いMMOというジャンルを開拓したこと、そして、高いARPPUを継続していること、の2点はタイトルロンチ後の予想を大きく裏切ってくれました。

【ミクシィ、コロプラ】…ミクシィは「モンスターストライク」の大ヒットで大きく成長した。コロプラは「白猫プロジェクト」でネイティブアプリの中にRPGを定着させた功績は大きい。(楽天証券経済研究所アナリスト 今中氏)

【ミクシィ、マーベラス、コロプラ、KLab】…月商10億規模以上の大ヒットタイトルを創出した。

【マーベラス】…MMORPG「ログレス」のようにパッケージ、PCゲーム時代からのノウハウをうまくアプリに生かせているという点で、一種の業態転換を着実に進められている印象。

 

④上場ゲーム(ソーシャルゲーム)関連企業で2014年に予想を下回った企業や、期待を裏切った企業を選ぶとしたら?(複数回答可)


【クルーズ】…事業環境変化への対応の遅れによって資金繰りが厳しくなる様子が明確に分かる。株式市場をいつでも資金調達が出来る場という間違った認識を与えそうな調達手法を披露したという点でもワーストの印象。

【クルーズ】…ブラウザからネイティブシフトがスムーズに進まなかったことに加え、年末の変則的なファイナンスは業界に対する投資家の不信感を煽る結果になっていると考えています。

【グリー、DeNA】…特に期待していませんでしたが、今年も回復は難しかった。(楽天証券経済研究所アナリスト 今中氏)

【グリー、DeNA】…開発人員数をかけたわりにはヒット作を生み出せなかった。



以上のような状況だ。やはり2014年のMVPは「ミクシィ」という意見が大半だった。これは衆目一致するところなのだろう。ちなみに活躍した企業としては現時点でマーベラスが最も多くの票を集めている。MMORPGというジャンルで成功を収めたこと、これが高く評価されているようだ。

逆にネガティブな意見を集めたのは、クルーズやグリー、DeNA。クルーズは年末に実施したファイナンスも悪い印象につながっている模様だ。

それでは続いて今年、2015年についてうかがってみた、以下の2つの質問を紹介したい。

 

⑤2015年のゲーム(ソーシャルゲーム)市場の展望は


【2014年より良くなる】…アクション、スポーツ、RPGなど様々なジャンルが出てソーシャルゲーム、ネイティブアプリの世界がより一層多様化して、ユーザーにとっても企業にとっても面白い年になると思われる。メーカーの淘汰も進むと思われるが、各種の優良ゲームが出てくると思われる。また、日本製ゲームによる海外市場の開拓の成否が注目される。(楽天証券経済研究所アナリスト 今中氏)

【2014年と同等】…市場規模は一桁の伸びになるのでは。大ヒットタイトルが生まれれば別かもしれないが、メインシナリオとしては伸び率は鈍化すると思う。スマホの普及率はすでに高く追加の伸びしろは小さい。一方、ゲーム開発費の高騰により、上位開発会社の寡占化の流れが強まる傾向は続くと考える。

【2014年と同等】…市場全体は緩やかな拡大基調が続く一方、開発期間の長期化(費用増大)、広告宣伝費の膨張によって大手企業の優位性が増すと見ている。中小企業で生き残れるのは、腐女子系などのマニアックジャンルに特化した企業(コンテンツ使いまわし(開発費軽い)や広告費が軽い(口コミで十分)ため)など、どこかを割り切った戦略を採った企業になるのではないか。

【2014年より悪くなる】…優勝劣敗が鮮明になる一年になると考えています。開発費の高騰、広告宣伝の費用対効果の逓減、人件費の上昇で失敗したときのダメージが跳ね上がると見ています。既存タイトルでアセットを築いたユーザーが新規タイトルにシフトするハードルはどんどん上がっており、お金を掛けて開発やプロモーションをやっても、物足りないリターンになるケースが増加していくでしょう。技術力、人的リソース、資金力に劣後する中小ディベロッパーの資金調達や撤退が増える可能性が高いと考えています。一方で、国内で一定の地位を築いたディベロッパーは成長市場である海外にフォーカスし、トップラインの拡大が続くと見ています。

 

⑥上場ゲーム(ソーシャルゲーム)関連企業で2015年に活躍・飛躍が期待される企業を選ぶとしたら?(複数回答可)


【KLab】…海外IP + 日本の課金ノウハウのコラボがグローバルでどこまで通用するか見てみたい。マーベラスより海外IP取得のセンスはあると思う。日本のIPは大部分消費されてしまっているので、おもしろくない。

【カヤック】…既存メディアでの広告効果が薄れていく中、ディベロッパーにとってゲームに特化し、動画投稿も可能なコミュニティサイトの価値は上昇していくと考えています。

【カヤック】…TVCMなど従来型広告媒体の費用対効果の低下の流れの中で、ユーザー、メーカー双方から見たLobiのようなソーシャルコミュニティの情報ソース&媒体の価値上昇が見込まれるとみている。

【ミクシィ、コロプラ、エイチーム】…ミクシィはいつ頃ガンホーを抜くか、中国で成功するかが注目点。コロプラは新作ソフトのラインナップが多いので注目したい。エイチームは新作RPG「ユニゾンリーグ」をどう育てていくかに注目したい。(楽天証券経済研究所アナリスト 今中氏)



2015年市場の見方は大きく割れているが、総じて意見が一致しているのは、市場の淘汰が進んでいくだろうという部分だろう。また、活躍・飛躍が期待される銘柄としてカヤックの名前が上がっているのが印象的だ。「Lobi」というコミュニティを持つことの強みが生きてくるというのが期待されるシナリオということなのだろう。12月25日に東証マザーズへの上場を果たしたばかりの同社だが、今後どのような活躍をしていくのか、さらに注目してみたいと思う。

以上、今回実施したアンケートの内容をいろいろと紹介してきた。ご一読いただいた皆様のお役に立てれば幸いだ。

また、この場を借りてご協力いただたいた皆様へのお礼申し上げたい。ご協力誠にありがとうございます。