【インタビュー】ポケラボ『戦乱のサムライキングダム』の1年を振り返る 「短期的な数字よりも長期運用を志向」「5000人の相互送客を実現」



ポケラボ『戦乱のサムライキングダム』が運営開始から1年を経過した。今回、『戦乱のサムライキングダム』のプロデューサーの山田崇之氏(上写真右)と、三浦拓也氏(写真左)にプロジェクトのスタートから現在までを簡単に振り返ってもらった。話によると、リリース直前に戦国を題材にしたリアルタイムバトルゲームが出てしまい、大幅に作り直しを行ったことや、最近取り組んでいるクロスプロモーションの状況などについても話してもらった。



■一度開発が完了したが、大幅に直してリリース

―――:本日はよろしくお願い致します。まず、簡単に自己紹介をお願い致します。

山田氏:プランナーとしてプロジェクトの立ち上げ当初から携わっておりますが、プロジェクトマネージャーになったのは2014年8月からとなります。

三浦氏:グラフィック全般を担当するチームのリーダーを務めています。当初は『戦国幻想曲』を担当していたのですが、『戦乱のサムライキングダム』にも関わることになりました。
 
―――:『戦乱のサムライキングダム』の運営開始から1年が経過しましたが、振り返っての感想を聞かせてください。

山田氏:まず、リリース前ですが、プロジェクトの立ち上げ時は、戦国を題材にしたGvG(Guild vs Guild)のゲームアプリがなく、『栄光のガーディアンバトル 』をベースとして、これまで培ったノウハウを活かしたタイトルとして出そうとしていました。

ただ、開発途中に、他社さんから同じモチーフのゲームがリリースされ、従来のカードゲームではなく、ゲーム性の豊かなゲームも多くリリースされました。2013年の夏にはリリースする予定でしたが、いったん完成したタイトルを大幅に作り変えました。事実上の作り直しです。

ここで大きく変えたのは、クエストに相当する「進軍」のシステムです。当初はタップゲームだったのですが、軍団の仲間や戦友などとクエストを一緒に進めていく「共闘」を導入し、ゲーム性とソーシャル性を高めました。マルチプレイが可能なクエスト機能は、当時としては珍しく、非常に評判が良かったです。

また、当社のリアルタイムバトルが抱えていた課題を解決する必要もありました。既存のリアルタイムバトルでは、気絶したまま放置し、相手のコンボが切れるのを待って最後に総攻撃して逆転する、といった戦術を取ることが多く、またステータス勝負になりがちでした。スキルの内容に幅を持たせ、起死回生が狙える奥義を導入して、多様な戦術で遊べるようにしました。また、前衛と後衛という役割だけでなく、後衛の中でも役割を分担するようなシステムにもしました。イメージしたのは、RPGのパーティでの役割分担で、前衛が戦士、後衛にも僧侶や魔法使いといった役割の違う後衛がいる、という感じです。また、攻城戦モードなど、他の戦国ゲームにはない仕様も入れました。

大規模な改修を行った結果、リリースができたのは、2013年12月となりました。当初は、『栄光のガーディアンバトル』や『運命のクランバトル』など既存タイトルで遊んでいたお客様が多かったように思います。




■安定したランキング推移に

―――:運営を開始してからはいかがだったんでしょうか。

山田氏:長期の継続率は非常に良好です。ゲームを始めてからハマるまでがハードルが高いですが、ギルドに入ったり、合戦を理解できたりすると継続的に遊んでいただけるようです。先日、戦国武将に関するアンケートをとったことがあったのですが、全くインセンティブがないにも関わらず、6000件もの回答がありました。非常に熱量の高いお客様が多いですね。

また、アプリストアの売上ランキングの動きも50位近辺で安定しています。これまでは、課金施策によって順位が乱高下する傾向にあり、当社としても課題でした。具体的な取り組みとしては、イベントのときに特攻カードなど一時的に役立つカードを入れるといった施策は行っていません。また以前のアプリと比べるとガチャによるSSRの出現割合を上げたり、新しく追加した武将を手に入りやすくしたり、といった取り組みも行いました。あくまで長期的な安定運用を目指しました。


 
【売上ランキングの推移(App Store、ゲーム)】
出所:App Annie
 

―――:先日、1周年記念も行いましたね。

山田氏:1周年記念にあわせて、新システム「瞬決戦」を導入しました。これまで1日4回の決まった時間に開催されていたリアルタイムバトルをいつでも少人数でプレイできるもので、ちょっと高かったリアルタイムバトルのハードルを下げる目的がありました。1人でも参加可能で、しばらく遊んでいなかったお客様にとっても遊ぶきっかけになったようです。SSRガチャ券などがもらえるログインボーナスや、ゲリライベントを毎日行ったほか、10円で可能なガチャ、毎日ガチャ券の配布、天下統一戦での優勝チームと運営チームのバトルなども行いました。



■世界観も変更 恋人や両親に見せられるキャラクターに

―――:三浦さんにお聞きしたいのですが、グラフィックや世界観についても御社の既存タイトルとは違っていますよね。

三浦氏:大きく変わっています。『戦国幻想曲』などでは、いわゆる萌系の女の子や、露出の多いお色気系のカードイラストが多かったです。これはこれでお客様からも好評でしたが、、『戦乱のサムライキングダム』では、同じ方針でやっても仕方ありませんよね。萌系やお色気系などいわゆる姫武将を控えめにして、やや本格的な戦国モノを志向しました。

―――:やや本格的とはどういうことでしょう?

三浦氏:はい。あまり本格的な戦国モノにすると、女性キャラの登場する余地が少なくなってしまいますから(笑)。キャラクターの分布も男女比で半々になるようにしました。採用可否の基準は、恋人や親に見せられるイラスト、あるいはゴールデンタイムのテレビに出せるイラストを判断基準に設定しました。

―――:いわゆる美麗系やリアル系といった感じでしょうか。

三浦氏:はい。イラストの基準は、イラスト制作会社の方やイラストレーターの方に説明するのが難しかったです。実際お願いすると、男性キャラだといわゆる女性向け向けの「イケメンキャラ」の納品が多かったです(笑)。イラスト制作会社のラインは、いわゆる男性向けの萌え系と、女性向けのイケメンキャラの両極端に分かれるケースが多く、当社の求めるような「男からみて格好いいと思える男性キャラ」を描ける作家さんは多くありませんでした。他方、女性キャラについては、萌系やお色気系ではなく、きちんと着物を着用していたり、甲冑を身につけていたりといったことが要件となりました。ちょうどリリースが延期することも幸いし、なんとかクオリティの高いイラストのみで必要数を揃えることができました。



■5000人の相互送客を実現…コラボ相手を募集中!

―――:ところで、リリース後、他の会社との相互送客もよく行われましたね。

山田氏:はい。いままでですと、スクウェア・エニックスさんの『三国志乱舞』、バンク・オブ・イノベーションさんの『征戦エクスカリバー』、そして当社の新作『クロスサマナー』とのコラボがあります。

 

 

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―――:コラボの結果はなかなか外部からはわからないのですが、いかがでしたか?

山田氏:非常に良かったですね。当社のアプリから相手先には、約5000人のお客様を送ることができました。逆に、コラボ相手からも同じくらいの人数のお客様がいらっしゃいました。かなり良好な結果だと思います。

『戦乱のサムライキングダム』での報酬を獲得するため、相手先のアプリで遊んでもらっています。他社様とのコラボについては、「非常に良かった」と2回とも他社様からお答えを頂いています。アドネットワークに出稿するよりも継続率の高いお客様が取れたとのことでした。


―――:こういうコラボをやる際、自社のユーザーが相手先に逃げてしまうのを嫌がる会社も多いと思うのですが。

山田氏:たしかに自社アプリのお客様が離脱する要因になるという懸念は、弊社内でも多かったのですが、実際にやってみると離脱率が高まることはなかったです。スクウェア・エニックスさんでは、他社のアプリと実績があり、10回実施して1回損をする時はあるかもしれないけど、たった1回の失敗のために実施しないのは損だと考えているそうです。

ゲームアプリを運営していれば、一定割合のお客様がゲームを離脱してしまうのは避けられません。もし当社のゲームに飽きて離脱してしまったとするならば、コラボを行った関係のある会社様のアプリで遊んでいただくのが良いのではないか、とも私は考えています。いずれまた別のアプリでコラボを行うことができればお客様がまた当社のアプリに戻って来て頂けると思いますし。現段階ではデメリットよりもメリットのほうが大きい施策だと思います。




■DAUは1万人いれば大丈夫

―――:そもそもなんでこういった施策に取り組んだんでしょうか?

山田氏:リワード広告やアドネットワークの効果が徐々に落ちてきており、広告以外の手段を模索していました。広告費が高くなる中、それを補うような手法とともに、お客様にアプリが常になにかやっていると思ってもらえる施策を考えていました。これはマーケティング施策としても切実な問題です。そこで、スクウェア・エニックスさんへお声がけさせていただき、具体的な事例も含めてお伺いすることができ、当社にとっては大きな後押しになりました。

このため、当社の相互送客は、スクウェア・エニックスさんとの知見をうまく活かしています。この知見が色々なアプリに導入されることで、相互の接続を行い、ちょっとした相互送客ネットワークに育てたいという考えもありますので、いまコラボ相手を募集しています。


―――:コラボをするための条件のようなものはありますか?

山田氏:コラボを行う場合、お互い同じ人数を送り合うことが望ましいですが、ほぼ同じくらいの規模のアプリであれはいいと考えています。まず、お互いに信用できることが条件です。DAU(Daily Active Users)とトップセールスのランキングをみています。ランキングが同じくらいで、DAUが1万人位であればご一緒できます。『戦乱のサムライキングダム』のDAUはもっと大きいですが(笑)

―――:なるほど。最後に、今後やりたいことを教えて下さい。

三浦氏:グラフィック側としてはまだ出ていない戦国武将がたくさんいますので、随時追加していきます。戦国好きなお客様も多いので、「自分の好きな武将が出ていないので追加してほしい」というご要望を多数頂戴していますから。またオブザーバーキャラや武将にはキャラクターボイスも追加していきたいです。

山田氏:ゲームの運営としては、引き続き長く楽しめるように、飽きのこないコンテンツやイベントの追加、メインのコンテンツである合戦のアップデートを行っていきたいと考えています。また、ポケラボとしてもAndroidに関して課題を抱えているアプリが多いので、Android版でもiOS版と同等に楽しめるようにしたいと考えています。これはプロジェクト立ち上げ時の会社としてのミッションでもあります。これ以外には、ゲームのBGMや壁紙を公式サイトで配布するといった試みや、初心者の方がより楽しめるイベントなども継続的に行いたいと考えています。

―――:ありがとうございました。
 
(編集部 木村英彦)

 
 

■『戦乱のサムライキングダム』
 

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株式会社ポケラボ
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会社情報

会社名
株式会社ポケラボ
設立
2007年11月
代表者
代表取締役社長 前田 悠太
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