【週刊スマホゲーム批評Vol.02】スクエニの新作『無限∞ナイツ』は”わらわら”の不思議な爽快感が魅力 アプリマーケティングにも一石を投じるか



週刊スマホゲーム批評第2回目では、水曜日に掲載すると書いたが、編集部の事情で火曜日になった。今回は、スクウェア・エニックスが1月15日にiOSとAndroid向けにリリースした『無限∞ナイツ』を取り上げておきたい。1月15日にリリースされたばかりのタイトルだが、ダウンロード数が50万件を早くも突破しただけでなく、App Store売上ランキングでも1月19日には一時35位まで順位を上げた。

 
出所:AppAnnie


好調な出足となったが、まずマーケティング上の意義について触れておきたい。昨今、スマートフォンゲームアプリでは、リリース前にユーザーの期待値を高める施策が当たり前のように行われているなか、本作は、事前登録やリリース前の告知を行なわず、なんの前触れもなく突然、リリースしたように見える。

こうしたリリース方法は、数年前では珍しいことではなかったが、リリース前のプロモーション活動が「常識」となったいまでは、ゲームユーザーだけでなく、業界にも大きなインパクトを与えたように思われる。大きな流れを変えるものではないだろうが、「こういうやりかたもある」という意味で一石を投じるものになったのではないか。

(※)ちなみに、リリース時にスクウェア・エニックスから届いたプレスリリースのテキストや画像の量は、通常時に比べて非常に多く、ゲームへの期待を抱かせるものだった。ユーザーにいかに驚きと期待を持ってもらえるかが重要なのだろう。


前置きが長くなったが、本作は、古今東西の英霊たちが覇を争う架空の世界「天上世界-第六聖界指」を舞台にしたシミュレーションRPGだ。プレイヤーは、第六聖界にある国の国王となり、坂本龍馬や曹操、ジャンヌダルクなど、世界中の英霊たちを束ね、無限の兵団を率いて、天上統一を目指していく。

 


ゲームのサイクルは、キャラクターの収集と育成、施設のレベルアップ、武具生産を行いながら、クエストを繰り返していく。そしてレベル10になると、PvP要素が追加される。ゲームのメインコンテンツであるクエストは、5人の武将でパーティを編成し、ストーリー中に出現する各武将と戦っていくことになる。画面右側に表示された武将を選択し、フィールド上をタップすることで兵士を配置することができる。兵士は、左上の敵に向かって攻撃し、敵を全滅させればステージクリアとなる。

 


 

バトルは自動的に行われ、プレイヤーのやることはどの兵隊をどのタイミングで配置するかに集中するだけだ。わらわらと出現させた兵団を敵に突撃させるのは気持ち良い。とりわけ騎兵などは移動が速く、きびきび動いてくれる。ただ、画面下の水色のゲージの範囲内でしか兵隊を配置できないので注意する必要がある。ゲージは時間で自動的に回復するのだが、出撃させることができるのはあくまで国にいる人口の範囲内となる。無尽蔵に配置できるわけではない。

 


クエストをクリアしていくと、章の最後に巨大モンスターが待ち受けている。かなりの兵数を投じないと倒せない難敵だが、倒せば次の章に進める。画面下の事例では、かなり兵数を投入していることが分かるだろうが、この戦闘で減った国の人口を全て回復させるには一定の時間を要する。このため、1度の戦闘で兵士を出し過ぎてしまうと、クエストに必要な人口が確保できず、先に進めなくなるといった事態に陥ってしまうことも。必要最小限の人数で、効率よく戦っていくことが重要になる。

 
 

【自分の領地。左上の緑のゲージが人口だ。人口は時間の経過とともに回復する。また国家ランクが上がっていくと、人口の上限も増えていく。】


【前のクエストで兵隊を使いすぎてしまうと、兵隊を出せなくなってにっちもさっちも行かなくなる。】


戦いを効率良く進めるためのコツとしては、やはり属性ごとの相性を考慮した配置を行うことだ。スマートフォンゲームではおなじみだが、水は火に強く、火は木に強く、木は水に強い、そして光と闇は相互に強いといった関係だ。属性の関係で攻撃力は倍増するそうだ。また、兵士を出撃させる際、画面を押し続けることで、攻撃力やスピードが上がるなど特殊な効果が発揮する。最大2段階までチャージさせることができる。このほか、リーダー武将と援軍の武将が持つスキルの発動や、同じ攻撃特性を持つ武将を揃えることで攻撃力がアップする。

 


クエストをクリアすると、パーティに入った武将たちに経験値が振り分けられ、キャラクターたちが成長する。キャラクターは、ソーシャルゲームやスマートフォンゲームでは定番となった「強化合成」と「進化合成」でも育成可能だ。そしてドロップ素材で作成した「武具」を装備させる、といったことでも育成できる。

 



 

このほか、自分の領地にある兵舎、研究所、防衛施設など都市の設備を強化することもできる。「兵舎」を強化すると、より強力な武具が生産できるようになり、研究所ではよりレベルの高い結晶の錬成ができ、防衛施設をレベルアップするとPvPで使われる「城壁」の耐久力が上がる。結晶を錬成すると、武具の素材や、PvPで都市を守るのに役立つモンスター「ガーディアン」が生成される。

またPvP要素である「対戦」は、マッチングされた国に攻めこむことになる。対戦の進め方は、兵士を配置して突撃させていく点では通常のクエストと同じだ。大きな違いは、「軍略」と呼ばれる兵士に特殊効果を付与することができること、そして、敵の兵士だけでなく、敵の設置した城壁や罠、そして巨大モンスター「ガーディアン」を突破する必要があることだ。このため、通常のクエストに比べて難易度が格段に高い。勝つとポイントが獲得でき、他のプレイヤーとランキングを競うことになる。

ここまでクエストや対戦で遊んでいて思ったのは、録画・動画投稿機能が付いているとより楽しめるのではないか、ということだ。ソーシャルメディア上でプレイ動画をシェアし、友だちとのコミュニケーションが楽しめるだけでなく、他のプレイヤーや上級プレイヤーがどういった遊び方をしているのか参考することも可能になる。まだスタートしたばかりだが、このあたりの機能強化も期待したいところである。

 
【対戦の最中。残念ながら、いずれも負けてしまった。城壁とガーディアンの突破が難しい。】


 

なお、課金要素としては、ゲーム内通貨「聖霊石」を販売している。「聖霊石」は施設のレベルアップや人口の回復に必要な時間の短縮や、レア武将が手に入るガチャ、他のプレイヤーの城に攻め込んだ時に味方に有利な効果を付与できる「軍略」などに利用できる。現在、★5武将の出現率が大幅にアップするキャンペーンが1月23日まで行われており、売り上げの伸びにつながっている模様だ。

 
【キャンペーンでもらえるSR武将「ワンダーガール アリス」】


シンプルな操作でありながら、兵士をわらわらと操作して敵を打ち倒していく独特の爽快感はたまらないし、逆にできるだけ投入する兵隊を少なく、そして短時間でのクエストクリアを目指すために遊びこむのもいいだろう。PvPだけでなく、使える兵数に制限のあるテクニカルクエストなど、やりこみ要素も用意されている。いまゲームを始めると、SR武将「アリス」がプレゼントされる。興味のある人は早めにプレイするといいだろう。
(木村)



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2008年10月
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