新規上場企業の紹介…シリコンスタジオ(東証マザーズ・3907)

ゲームソフトウエア開発用ミドルウェアの提供などゲーム開発の推進・支援事業や、ソーシャルゲーム、スマートフォンネイティブアプリなどの開発・提供を行うコンテンツ事業などを手掛けるシリコンスタジオ<3907>が2月23日、東証マザーズに新規上場する。

同社は、米国Silicon Graphics Inc.の日本法人として設立された日本SGIの関連会社として設立。そうした経緯もあり、コンピューター上で3DCGを高速で生成するリアルタイムグラフィックスを強みとしている。2000年10月にIntrinsic Graphics Inc.社(現Vicarious Visions社)とゲームソフトウエア開発用ミドルウェアに関する業務提携契約を締結し、「開発推進・支援事業」を開始、同事業については2007年に現在の主力製品となる自社開発ミドルウェア「YEBIS」をリリースしている。

その一方で、2003年12月には「人材事業」を開始したほか、2008年1月にゲーム開発本部を発足し、自社企画ゲームコンテンツ制作(「コンテンツ事業」を開始)を開始。2010年11月の『三国志カードバトル』を皮切りに、2012年2月に『逆襲のファンタジカ』、同年3月に『戦国武将姫MURAMASA』を「Mobage」で配信開始している。

現在の事業セグメントは、「開発推進・支援事業」「コンテンツ事業」「人材事業」の3つで構成されている。各事業の売上高構成比は、最新の2014年11月期業績で、「開発推進・支援事業」が45.2%、「コンテンツ事業」が45.7%、「人材事業」が9.1%となっており、「開発推進・支援事業」と「コンテンツ事業」が2つの柱という状況だ。

「開発推進・支援事業」では、ミドルウェアの開発・販売、ソリューションサービス、他社ブランドの受託開発を展開。ミドルウェアは、現実のカメラ撮影で発生する各種画像効果を再現する「YEBIS」のほか、オールインワンゲームエンジンである「OROCHI」、物理ベースレンダリングを実現した新製品「mizuchi」などを手掛けている。また、スマホゲーム開発用ミドルウェア「PARADOX」を現在はオープンソースで無償提供するなど事業領域の拡大にも取り組んでいる。一方、ソリューションサービスは、ネットワークゲームのサーバーサイドの開発・運用などを展開、他社ブランドの受託開発は、2014年11月期実績で26タイトルを手掛けている。
 

「コンテンツ事業」では、ソーシャルゲーム、スマートフォンネイティブアプリの開発・提供を行っている。前述の『三国志カードバトル』が107万DL、『逆襲のファンタジカ』が世界764万DL、『戦国武将姫MURAMASA』が63万DL(いずれも2014年11月末実績)となっているほか、2014年9月に配信開始した『刻のイシュタリア』は54万DLとなっている。なお、自社開発コンテンツの国内海外比率が国内49.9%、海外50.1%となっており、海外展開に強いのも特徴といえるだろう。
 

「人材事業」は、プログラマー、デザイナー、プランナーといったクリエイター職に特化した人材サービス「クリエイターエージェント」を展開している。

続いて業績面を見てみると、売上高、経常利益とも右肩上がりのトレンドとなっている。2010年11月期から2011年11月期のところで売上高が倍増超となっているが、ここは既存事業(「開発推進・支援事業」と「人材事業」)に「コンテンツ事業」がそのままオンしたという。なお、有価証券届出書の開示段階(2013年11月期実績まで)での業績推移では利益の伸びの低さがやや気になったが、2014年11月期、2015年11月期と大きく利益も伸びる予想となっている。
 
【シリコンスタジオの売上高の推移(単位:百万円)】


【シリコンスタジオの経常利益の推移(単位:百万円)】

※11年11月期までは単独決算。14年11月期は実績見込み、15年11月期は予想(ともに会社発表)
※グラフは有価証券届出書および会社側発表資料より作成


上場に伴う手取り概算金は、12億1216万円となる見通し。これに第三者割当増資の手取概算額3億7191万円とを合わせた調達資金の使途は以下の通り充当する予定。

①開発推進・支援事業の収益拡大のため、ミドルウェアの開発に2015年11月期において1億4400万円、2016年11月期において1億9000万円を充当する予定。

②コンテンツ事業の収益拡大のため、2015年11月期及び2016年11月期にリリースする新規コンテンツの開発費用として2015年11月期において3億円、2016年11月期において3億円を、広告宣伝費として2015年11月期において1億円、2016年11月期において1億円を充当する予定。

③業容拡大に伴う人員の増加に対応するために、オフィス増床に伴う建物内装、造作、敷金等の取得に2015年11月期において4000万円、2016年11月期において6000万円を、業務用パソコン、サーバー、ソフトウエア等の取得に2015年11月期において5400万円、2016年11月期において7200万円を充当する予定。

なお、上場時発行済み株式235万5000株と有価証券届出書提出時における想定発行価格4900円から計算した想定時価総額は、約115億3950万円となる。

〈連結業績予想〉
注)単位は百万円。2014年2月8日付で1対3株、同年11月11日付で1対100株の株式分割をそれぞれ実施しており、一株利益は分割修正を考慮した数字


〈会社概要〉
本社=東京都渋谷区恵比寿一丁目21番3号
URL=http://www.siliconstudio.co.jp/
代表取締役社長=寺田 健彦
設立=1999年11月22日
発行済株式数=235万5000株(上場時)
資本金=1億円(2015年1月16日現在)
大株主=関本晃靖36万4500株(13.81%)、シリコンスタジオ35万2500株(13.36%)、寺田健彦29万5500株(11.20%)、三菱UFJキャピタル15万4500株(5.86%)、SCSK14万2500株(5.40%)、今井理人13万8600株(5.25%)、エクサ12万6000株(4.78%)、ソニー・コンピュータエンタテインメント12万株(4.55%)、クリーク・アンド・リバー社6万9000株(2.62%)、スクウェア・エニックス・ホールディングス6万株(2.27%)

〈上場要項〉
公開株式数=63万2500株(公募=27万株、売出し=28万株、オーバーアロットメントによる売出し=8万2500株)
仮条件=4200円~4900円
ブックビルディング期間=2月4日~2月10日
公開価格=2月12日決定予定
申込期間=2月13日~2月18日
払込期日=2月20日
売買単位=100株
主幹事証券=みずほ
監査法人=太陽有限責任監査法人
 
(編集部:柴田正之)
シリコンスタジオ株式会社
http://www.siliconstudio.co.jp

会社情報

会社名
シリコンスタジオ株式会社
設立
2000年1月
代表者
代表取締役社長 梶谷 眞一郎
決算期
11月
直近業績
売上高45億5400万円、営業利益2億3800万円、経常利益2億4600万円、最終利益2億円(2023年11月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3907
企業データを見る