【グリー決算説明会】ネイティブ中心に4Q反転攻勢へ 『消滅都市』のノウハウを活用 LINEとの協業タイトルや『パズクエ』など新作も続々投入

グリー<3632>は、2月4日、第2四半期(14年10~12月期)の連結決算を発表するとともに、東京都内で決算説明会を開催した。発表された10~12月期決算は、売上高が前四半期比(QonQ)で13.0%減の241億円、営業利益が同16.4%減の47億円だった。フィーチャーフォンを中心にブラウザゲームのコイン消費の減少が続いたことが主な要因だった。ただ、売上高と営業利益が予想を上回って着地となるなど復調の兆しが出ている。

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決算説明会に臨んだ田中良和社長は、「フィーチャーフォンとスマートフォンのブラウザゲームが底堅さをみせる一方、『消滅都市』を中心とするネイティブゲームの伸長、そして、第3四半期以降の新作ネイティブゲームによる積み上げで、第4四半期以降、業績を反転させる」と述べた。これまで何度か次の四半期が底と発言してきた同社だが、『消滅都市』の売上を短期間で6.6倍に伸ばした実績を伴うものであることを強調し、今回こそ底打ち反転は可能との見方を示した。

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■のれんの減損で最終赤字に転落 「追加でのれんの減損を行う可能性は低い」

取締役執行役員常務の秋山仁氏が第2四半期の業績を説明した。売上高はQonQで13.0%減の241億円、営業利益が16.4%減の47億円、経常利益が同10.7%減の70億円、そして、最終損益が前四半期の34億円の黒字から一転して、76億円の赤字となった。当初、売上高236億円、営業利益41億円を見込んでいたが、結果として、上振れての着地となった。
 

ただ、売上高、営業利益ともマイナストレンドが続いている。営業利益の増減要因の分析では、国内外での売上の減少によるものが13億円、変動費の増加が0.7億円、ゲームタイトルの減損損失を営業費用として計上したことによる固定費の増加が2.7億円の減少につながったという。前の四半期に、タイトル関連損失として20億円の特別損失を計上したが、今回は比較的少額だったため、営業費用で計上したことが大きいという。
 

また、最終損益が赤字となったが、これは総額で約184億円の特別損失を計上したことによる。買収したOpenFeintとポケラボに係るのれんの減損損失が計上された。OpenFeintは、プラットフォーム事業の停止に伴うもので、ポケラボについてはカードバトルゲームの減衰が予想よりも早かったためだ。昨年末に新規上場したgumi<3793>の株式売却に伴う投資有価証券売却益70億円を計上したものの、損失をカバーしきれなかったという。

会場からは、のれんの減損を再度行う可能性についての質問が出た。これに対し、秋山氏は、「のれんのほとんどは、買収したアメリカのゲームスタジオFUNZIOとなっている。今回、オープンフェイントの減損に踏み切ったのは、同社の展開するプラットフォームサービスの停止に伴うものだ。Funzioの収益は、黒字が続いているため、再度ののれんの減損になる可能性はそれほど高くないと考えている」と回答した。
 

2015年6月期の業績は、売上高980億円(前期比22.0%減)、営業利益200億円(同42.9%減)、経常利益240億円(同33.4%減)、当期純利益ゼロ(前の期は173億円の黒字)を見込む。第3四半期(15年1~3月期)の売上高は、第2四半期との比較で横ばい、そして、第4四半期から反転になるイメージを持っているという。
 



■底堅いブラウザをベースにネイティブアプリでトップラインを上げていく

続いて、田中氏が再び事業の状況を説明した。まず、減収減益が続いている要因は、いうまでもなくソーシャルゲームにおけるコイン消費の減少だ。ネイティブゲームは前四半期比1.9%増の104億コインに伸びたものの、ブラウザゲームのコイン消費は、フィーチャーフォンが4.2%減の85億円、スマートフォンが4.1%減の160億円と引き続き減少した。
 

 
国内ネイティブゲームは横バイだったが、11月からテレビCMを実施した『消滅都市』が大きく成長し、他のネイティブゲームの減少を補ったようだ。『消滅都市』は、10~12月期の売り上げが4~6月期に比べて、6.6倍の規模に成長したとのこと。田中氏は、「2月からは新しい章の追加を行い、さらなるアップサイドを狙いたい。今後もアップデートやメディアミックス展開を通じて、オリジナルIPとして育成していきたい」と述べ、引き続き主力タイトルとして育てていく考えを示した。海外も『War of Nations』や『Knights & Dragons』が好調で、前四半期に比べてプラスとなった。
 

ウェブゲームのコイン消費は、自社・協業、そしてサードパーティともに減少した。ソーシャル性を強化した「アバター」や、『探検ドリランド』が好調だったこともあり、自社・協業は底堅く推移した一方、サードパーティはスポーツタイトルがオフシーズンに入ったことによる影響が出たという。こうしたなか、グリフォン『不良遊戯』や、gloops『スカイロック』など有力なサードパーティによる新作が順調な立ち上がりを見せたそうだ。
 

田中氏は、第3四半期以降、ブラウザゲームの底堅い収益をベースとして、既存のネイティブゲームの成長、そして、新規ネイティブゲームの積み上げによって業績の反転を狙う考えを示した。続いてネイティブゲームの取り組みを紹介した。



■ネイティブゲームの取り組み…期中に3~4タイトルをリリースする予定

ネイティブゲームの開発体制は、2014年12月末時点で550名の開発体制になったことを明かした。現在、開発ラインは17本あり、そのうち3~4タイトルは今期中にリリースする予定。カジュアルゲームを開発する「GREE Garage Production」からこれまで17タイトルをリリースしており、第3四半期中にはさらに11タイトルをリリースする予定。
 

リリース予定タイトルは、Wright Flyer Studiosによるパズル×タワーディフェンスゲーム『パズクエ』を第3四半期中にリリースするほか、ポケラボとセガネットワークスの『ポイッとヒーロー』を今春より事前登録を受け付ける予定。また注目を集めたLINEごの協業タイトル第1弾を第4四半期に、さらにトライフォートとKDDIとの共同プロジェクト『Project Weapon(仮称)』も今春リリースする計画だ。
 




ブラウザゲームに関しては、「パートナーとのタイトルを出していく。ブラウザゲームでもまだまだいいものを作れば支持される」(田中氏)。リリース予定タイトルは、事前登録中のファンタジーRPG『リベリオン ブレイド』、そして2月より事前登録の受付を開始するギルドバトルRPG『ミリオンアーサー エクスタシス』となっている。

他方、米国スタジオでは、『War of Nations』や『Knights & Dragons』が好調に推移し、月次の売上規模は回復基調にあるとのこと。「海外のネイティブゲームは苦戦していたが、11月を底に反転した」という。『War of Nations』は、Android版の強化を行ったことが奏功。今後、欧州展開を強化する考えだという。
 

会場からは欧州展開に関して質問が出た。取締役 執行役員常務の青柳直樹氏は、「欧州事業については、拠点となるゲームスタジオをいきなり開設するのではなく、マーケティングとローカライズに特化した小規模な拠点から始める。スタッフは10名程度でスタートすることになるだろう。新設する拠点はあくまで独立採算で、一定の収支をクリアすれば、規模を大きくしていきたい」と回答した。
 


 
(編集部 木村英彦)


■関連サイト

決算説明会資料
グリー株式会社
http://www.gree.co.jp/

会社情報

会社名
グリー株式会社
設立
2004年12月
代表者
代表取締役会長兼社長 田中 良和
決算期
6月
直近業績
売上高754億4000万円、営業利益124億9800万円、経常利益130億8600万円、最終利益92億7800万円(2023年6月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3632
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