【インタビュー】代表取締役社長 CEOの椎野氏をはじめプロデューサー&ディレクターが語る、GameBank2015年タイトルのキーポイントとプロジェクトに求める人材像とは?


4月8日に事業説明およびタイトル発表会を開催し、2015年のロードマップを公開、いよいよ対外的にも動きを見せ始めたヤフーグループのゲームパブリッシャーGameBank。椎野真光氏が代表取締役社長 CEOに就き、さらにパブリッシャーとしてスピーディな動きを見せる同社について、インタビュー第2回は、椎野氏をはじめ、公開された4タイトルの各プロデューサーにお話を伺っていく。
 


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椎野氏 事業発表会にて、まず、2015年にスタートさせる予定の4タイトルを発表させていただきました。比較的ポートフォリオとしてはきれいにジャンルなりターゲットなりが分かれる形のタイトルラインナップで、その後は濃いタイプのコンテンツの色が濃くなっていく予定です。

初期4タイトルに関しては、我々GameBankの特色を出すために、濃いコンテンツから現状メインとなっているミッドコアのコンテンツ、あとはYahoo! JAPANのグループ会社ならでは、といったものを取り揃えました。
 

▲設立発表会において、2015年におけるGameBankがリリースする予定として挙げられたポートフォリオ
 

■『オービットサーガ』(2015年リリース予定)…制作部プロデューサー河井 大輔氏

 

■簡単タッチ操作で遊べる本格3DアクションRPG
■ガーディアンを召喚して一緒に戦え!
■PvPがアツい!自分だけの惑星を造って戦う島カスタムシステム!
■ギルドによる協力型コンテンツも楽しめる
 
『オービットサーガ』は、台湾のMOREGEEKさんと作っているタイトルです。GameBank設立前、Yahoo! JAPAN在籍時から制作に着手していましたが、会社設立後、GameBankにて開発を引き継いでから体制を変更して、開発ペースがスピードアップしましたね。ざっくり言えばアクションRPGで、モンスターを何体か連れていくことができ、見下ろし型の3Dビジュアルの中、タッチした場所にパーティが移動し、近くの敵を自動で攻撃してくれる簡単操作になっています。モンスターが実際に一緒に動いて、攻撃・防御などの能力の違いだけでなく、AIなどの行動・性格の違いが表現できる点が現状のミッドコアタイトルとは異なる点ですね。

それに、もう1つ大きな要素としては、エディットできる自分の島を持つことができ、モンスターたちを配置して他のプレイヤーとの対戦を楽しむことができる点が挙げられます。メインは簡単操作のRPGですが、やりこみ要素として島の防衛や他のプレーヤーのところに攻め込んだりといった遊びを用意しています。

予定ですが、サービスイン時点で300体以上のモンスターを用意するので、ボリューム面でもインパクトはあると思います。

――本格的なアクションRPGを最初に持ってくるんですね。

Yahoo! JAPANのグループ会社からリリースされるゲームって、カジュアルなものが多いと思われると思うんですが、本格的なアクションRPGがリリースされる、ということがまず1点。今一番アツいアクションRPGというジャンルで、クオリティが高く、最初からボリュームもあるものを目指して制作しているので、奇をてらわずに、わかりやすく、遊びやすい王道路線のものを提供したいというところがメインコンセプトです。

――このタイトルは、プレイヤーさんにストーリーを楽しんでもらったら、ゆくゆくは対戦にシフトしてもらいたいという狙いで制作されているのですか?

ゆくゆくは対戦を遊んでくださる、というプレイヤーさんが増えるのは非常にありがたいです。ただ、多くのプレイヤーが対戦ばかり遊ぶ、というところまでは考えていなくて、基本はアクションRPGとして遊んでいるお客さんが、対戦も一緒に遊んでいただければ嬉しいですね。対戦を好むプレイヤーさんがガッツリ遊びこめるような細かい要素にも気づいていただけると思いますが、ゲームの奥深さといったものもしっかり用意していますし、どちらを遊んでもしっかり楽しんでいただけると考えています。

――開発チームの規模感はどんな感じでしょうか?

開発は台湾のパートナー企業さんと共同してやっています。GameBankでは、制作管理と運営のスタッフ、QAなどを担当しますが、現状は私の下に3人ほどおりまして、運営スタッフがリリースに向けてこれから合流してくる、という状況です。トータルでは10名弱ぐらいのイメージですね。かなり大作系タイトルではありますが、割とコンパクトな人数でやらせていただいています。その分、やりがいはありますし、個人の裁量でいろんなことができると思います。通常、大作になりますと、1人1人の裁量って限られていくと思うんですが、このプロジェクトでは現状、個人の裁量が大きいですね。大変な部分はありますが、「ガッツリゲームを作りたい」という方に向いていると思います。

――開発会社さんとのやりとりも多そうですが?

私がたまたま、前職で中文と日本語のローカライズを担当していたことがありまして、その時にお付き合いさせていただいた会社さんなどに、開発会社さんとの間に入ってもらいつつ制作しています。うちのチームは、いろんな業界から集まってきたメンバーがそろっているので、お互いにそれまでお付き合いしてきた会社さんなりを紹介してもらいつつやっていますね。

――少人数ということになると、職種としてのカバー領域は広そうに感じますが?

基本的には、実務は制作会社さんで担当しているので、こちらとしてはコンセプトや方針がブレなければ、お任せする部分はお任せしています。すべて指示を出すといったことはしていません。

――大作なので思いますが、サービスインした後の運営フェーズに入ってからも仕事量が多そうに見えます。

そうですね、運営スタッフの環境構築中というか、人手もまだまだ足りていないのが現状です。ですので、「我こそは!」という方はぜひ来ていただければ…ものすごいお仕事が待ってますので、即活躍していただけるフィールドは用意できています。

――仕事面において、自らいろいろ作り上げられそうな環境ですね。

はい。今、いろんな会社で経験を積んできたスタッフが集まってきているので、逆に、いろんな会社さんのやり方や考え方のよいところを取り入れつつ、ルールなども作っている最中です。つまり、まだ決まった形というものがないので、ご自身のやりやすい形などを提案していただきたいですね。

 

■『みんなの釣りバカンス』(2015年夏)…業戦略室室長兼マーケティング部部長 前田 壮人氏

 

■最大8人まで同時にプレイ可!スマホで釣りトモを作ろう!新感覚ソーシャルフィッシングゲーム
■3Dで作りこまれた多彩な世界を駆け巡れ!
■手に入れた素材で釣り竿やアバター服を強化しよう!

『みんなの釣りバカンス』は、ライトユーザーにどういう風にゲームユーザーになってもらうか、というところから、初めてオンラインでつながる遊びをスマホで遊ぶ方々に向けたタイトルですね。

――ユーザーさんどうしのコミュニケーションはどうやって取られる予定ですか?

簡単なミッションから次のステージへと移っていくところで、わりと情報的に少な目に開示しているんです。それと、釣り場の種類は最初から増やしてはいなくて、高レベルのユーザーも初心者と一緒のところにいてもらえるよう配慮しています。そういった状況から「この魚だったらあそこにいるよ」と上級者から初心者に教えてあげてもらえるような仕組みを考えています。これでゆるいコミュニケーションが生まれてくれればいいなと。

こうしたゆるいつながりから、今度は教えてもらったユーザーもうまくなっていって、一緒にパーティを組んで釣りに行く、という流れをイメージしています。

――制作チームとしては、これからこんな人材が欲しいな、という話は出たりしますか?

気を付けないと、どんどんと深みの方向にゲームがシフトしていきがちなので…UIやパラメーター設計が細かくなって“ゲームゲーム”していく中で、ライトな視点を持ったうえでしっかりゲームが作れる、という人が欲しいと思っています。ちゃんとしたゲーム作りをやってきているんだけれども、スマホでゲームを作ってきたり、PCブラウザのゲームを遊んでいたり作ってこられた開発者の方に参加していただけると、楽しいゲームが作れるのかなと。

それと、ビジュアル面もアバターでかわいらしく見せ方をしていたりしますので、UIやデザイン面のセンスがある方というのは非常に欲しいです。どうしてもゲームゲームしたものを作ってきた開発スタッフが多いので、できるだけライトプレーヤーにもしっかり受け入れてもらえるようなデザインが作っていける方がいいですね。

――お話を伺っていると、遊ぶのに説明がいらない、直観的なデザイン設計などが求められるということですね。

「どれが正解?」というところはユーザーテストなどをさせていただいて少しづつ調整していっているんですけれども、10人中3人がわかりやすい、 2人がわからない、という状態でどっちのプランをもって正解としたらいいのか? といったあたりなかなか難しいですね。そういうところをしっかり見ていける人は欲しいですね。

――間口が広い、というのは開発側から見てもハードルになっているという感じでしょうか?

ハードルにはなっていますね。結構大変で…。

――普通が一番大変、ということなんですね。

はい(笑)。

 

■『大集合!ワイワイパーティ(仮)』(2015年)…椎野氏、前田氏

 

【ポイント】
■みんなでワイワイ!協力&対戦ミニゲーム
■魅力あるアバターをゲットして強化しよう!
■本物のクーポンをゲットできる!!

椎野氏: 企画背景としては、Yahoo! JAPANのお客様にどうやってゲームを遊んでもらうか、といった集客装置になるべきタイトルとして開発しているものです。見た目もアバターメタバース的なものがあって、誰でも遊べるカジュアルゲームが複数置いてある、といったプラットフォーム的扱いになっています。

その中でもゲーム単体である程度収益を上げなければならないという宿命もありますので、アバターの衣装やミニゲームのスキルの販売だといったことも視野に入れています。なによりもただ、ユーザーさんにいっぱい集まってもらって、コミュニティが作り上げられれば、少額でも人数が集まればなんとか収益があがるのではないか、という設計になっています。

ゲームはプレイしに行くタイミングでほかのお客さんとマッチングするようにしています。単純な対戦だけでなく、協力プレイも取り入れています。例えばクイズゲームだと、みんなで答えを合わせるタイプと、順に回答していってだれかが間違ったらそこで終わり、といったものですね。今後増やしていこうとしているのはトランプゲームや麻雀みたいなものです。

象徴的なのが、ミニゲームで貯めたポイントでYahoo!ショッピングのクーポンと抽選交換できるような仕組みを考えています。ゲームの中で貯めたポイントを使って応募すると抽選でクーポンがもらえるとか、ある程度のポイントを集めるとクーポンが払い出されるといった仕組みですね。クーポンをもらったユーザーさんが今度はYahoo!ショッピングでお買い物をしていただけると、買い物終了時にゲームの中で使えるちょっと特殊なアバターとかがシリアルコードの形で払いだされて、今度はそれをゲームで使える、といった循環ですね。「ちょっと遊んでいると、毎日が少しお得になる」といった入口になるようなタイトルです。

――これまた世界が広いというか、間口の広さがありつつ、奥深いものにしていく必要のありそうなタイトルですね。

前田氏: これまでゲームユーザーではなかった方々を相手にするわけですから、姿が見えないお客さんに対してどうアプローチするのか、結構難しいタイトルかな、と思います。

――単純にゲームを作るだけでない、という観点からすると、今開発していてこういった人材に来ていただきたい、といった要望はありますか?

前田氏: やっぱり、ショッピングとの連携、ということで、ECという文脈がわかる方は欲しい、と思います。ECを利用されるお客さんにはどんな方がいて、クーポンをどう使われていて……詳しい人間に聞いてみると、クーポンはいっぱいありますが、受け取ったものの中の4割程度しか使われないという話があって。このゲームでクーポンを流すのであれば、そこを7割とか8割に持っていけるようなものにしたいと 思っています。ECに来るお客さんのモチベーションだとか、ゲームに対しての親和性があるのか、といったものがわかったうえで、ゲームを開発できる方がいらっしゃれば…と個人的に思ったりしますね。

それと、メタヴァース的なゲームでもあるので、他のゲームを1か月遊んでみたんですけれど、やることがなくなっちゃって…。ゲームというよりはSNSなんですね。そういった意味で、アバターを使ったSNSようなコンテンツを作られている方には、このプロジェクトは相性がいいのかもしれません。アバターの服をほかのユーザーに見せることからコミュニティが作られていくのだと思いますが、僕にはその部分の感覚値があまりなくて。そういった部分に知見のある方には参加してほしいな、という思いはありますね。
 

■『Soul Gauge』(2015年)…椎野氏、開発ディレクター林 俊明氏

 

【ポイント】
■いつでも誰かと繋がるオンラインRPG
■プレイヤー間の協力が鍵を握る大人数バトル
■オリジナルコンボを生み出すスキルアクション

椎野氏: このゲームは、生態系としてはいわゆるMMORPGのスタイルを取っています。それに加えてフィールドとインスタンスダンジョンと、エンドコンテンツ的な勢力戦という作りになっています。

『Kingdom Conquest』などで培ってきたものを活かして、ギルド間で協力しながら…たとえばペットに乗れるので、いち早く拠点にいって戦っている間に…力の強い人が前線に行って戦線を維持して、といったような役割分担を楽しんでもらえる協力プレイやロールプレイが楽しめるという。

戦闘においては、スキルをあらかじめ組み合わせて、予約してセットして…という形でコンボを作ることができます。打ち上げてたたきつけて大ダメージといったコンボゲームといった仕組みも入れています。

狙いとしては、『アラド戦記』のロジックと、『Kingdom Conquest』の同盟戦みたいなものの組み合わせになりますね。

――これもコアなタイトルになりますね。開発チームとしてはどういった人材が必要と考えてらっしゃいますか?

林氏: MMORPGって、いかにして人と人を結びつけるか、というところが重要だと考えています。そこに長けた人がいいですね。「どうやってイベントに人を呼ぼうか」とか…ふつう、MMORPGだと初めて会って「よろしくお願いします」から始まって、ダンジョン行って終わったら解散、じゃないですか。それだけではコミュニティができないので、そこからもう1歩踏み込んでもらって、「クランにどうやったら参加してもらえるか?」とか、人と人を接触させるためにはどうしかけたらいいのか、といったことをしつこく考えられる人。

――仕組みとかプレーヤーさんの心の動きだとか。

林氏: そういった仕組みや気持ちを考えられる方というか。

――プレーヤーさんの気持ちを理解しつつ、ですね。

林氏: コミュニティーに人をハメたことのある人、実績のある人ですね(笑)。

――開発会社のDigital Frogさんとやり取りするGameBankさんの陣容的なものを教えていただけますか?

林氏: GameBank側では、制作…いわゆる開発みたいな部分では2名、あとはローカライズ担当が1名とか…MMORPGなので運営スタッフは5~6人とか、そういった体制で作っていますね。

――ソフトの完成が先だと思いますが、サービスインしてからの運営もウエイトがかかっていく感じですね?

椎野氏: MMORPGの命は「運営」だと考えています。基本的にそこに強い方がありがたいですね。すでに開発スケジュールはパンパンに詰まっているので、今からですと、こういうゲームが(世に)出ていくうえで、そのユーザーさんたちにどう楽しんでもらえるか、そのために何が仕掛けられるのか、といった運営力のある方が望ましいです。10何年有名MMORPGを運営してきたスタッフがディレクターやマネージャーとして現場にいますので、かなり面白い企画が出てくると思います。

――自分のアイデアを活かしやすい場所なのかもしれませんね?

林氏: そうですね。開発者が笑えるようなネタをどんどん放り込んでいって、「こういう企画をやろう」ってお互いに言ってくるようなところなので、ネタはあるといいですね。

――MMORPGだけに、プレーヤーさんに遊んでもらおうと思えばいろんなことが仕組み上も盛り込めますものね。

林氏: PCのMMORPGをそのままトレースするようなところもありますので。スマートフォンのお客様にどう楽しんでもらえるかを考えることも必要になってきますね。

――同じ要素を盛り込むにしても、かけられる時間や労力の部分には配慮が必要になりますよね。

椎野氏: 特にその部分を気を付けなければいけないですね。PCでMMORPGをプレイしている方のほうが、アイデアは出やすいと思います。「あのゲームのあの要素は面白かったよね」とか。「あそこは今取り入れるのは無理じゃない?」といった話ができる方がいいですね。

――本格的なタイトルとなると、プレイヤーさんの生活サイクルの中で、どれぐらい時間をかけて、どれぐらいのタイミングで遊んでもらえるか、気にしてもらえるか、といった部分を含めて考えていく必要もありますよね。

林氏: そうですね。隙間時間で遊んでもらえるように、「すぐにパーティが組めるようにしよう」とか、あらかじめ予約だけしておいて、メンバーが揃ったらプッシュしてもらって…とか。フレンドがログインしているところとか情報が流れたりとか。コミュニティ重視なので、そこをどう形成していけるかは大事になってきますね。
 

最後に、椎野氏からGameBankについて、一言お願いした。

椎野氏: GameBankはゲーム会社です。ゲームの中で人とどうつながって、どう楽しむのか、というところを重要視しているゲーム会社ですので、そこに楽しみを感じてくれる開発者、そういうゲームを届けたい、と考えている開発者の方であれば、楽しめる職場だと考えています。

――長時間取材おつきあいいただき、ありがとうございました。

(取材・文:編集部 佐伯憲司)


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GameBank株式会社
設立
2015年1月
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