【コロプラ決算説明会】新作の貢献がほぼない中で『白猫』など既存タイトルが健闘…四半期業績は過去最高を更新 『バトガール』など新作3タイトルは想定以上の好スタート


コロプラ<3668>は、4月30日、東京都内で決算説明会を開催した。同日発表した2015年9月期の第2四半期(10~3月)決算は、売上高330億円(前年同期比40.8%増)、営業利益151億円(同48.0%増)、経常利益152億円(同49.5%増)、四半期純利益90億円(同56.0%増)となった。また、QonQ(前四半期比)で見ても、第2四半期期間(1~3月)の売上高は165億円(前四半期比0.7%増)、営業利益79億円(同11.2%増)、経常利益80億円(同11.1%増)、四半期純利益47億円(同10.1%増)と2ケタ増益になっている。新作アプリの貢献がほぼない中で、既存タイトルの健闘により、順調に業績が積み上げられたといえよう。

決算説明会では、馬場功淳社長(写真)がまずは説明を一通り行い、その後に質疑応答が行われた。質疑応答では、『バトルガール ハイスクール』をはじめとした新作3タイトルについてや、海外展開についてなど多彩な質問が行われ、説明会の開催時間をやや超過する盛況ぶりとなった。そうした内容も踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■営業利益率は第1四半期対比で4.5ポイント改善


まずは、直前四半期(2015年9月期第1四半期、2014年10~12月)のことを振り返りつつ、第2四半期の内容を見てみたい。2015年9月期の第1四半期は、新作タイトルのリリースがない中で、『白猫プロジェクト』など既存タイトル伸長でQonQで3.7%の増収を確保。さらにコストマネジメントの成果などにより、営業利益率は43.5%と直前四半期から1.6ポイントの改善を見せた。なお、売上高・営業利益とも過去最高を更新しての着地だった。続く第2四半期は、2015年度の新作の寄与が3月18日の配信開始となった『東京カジノプロジェクト』のAndroid版の数日分という中で、売上高はQonQで増収を確保し、再び過去最高を更新。広告宣伝費の抑制と期ズレにより、営業利益率が前回からさらに4.5ポイント改善し、48.0%となったことで、営業利益はQonQで11.2%増と2ケタの増益となり、こちらも過去最高となっている。なお、馬場社長はこの決算内容の総括として「既存タイトルが厳しくなる前に新作3タイトルが間に合った」としていた。
 

続いて、QonQでの2ケタ増益の要因ともなった広告宣伝費を含む費用の状況を見てみよう。広告宣伝費は第1四半期の18億円から8億円の減少となる10億円に減少、売上高全体に対する比率は6.2%とQonQで4.9ポイント減少した。なお、減少の理由は、前述の通り、広告宣伝費の抑制と期ズレによるものとしているが、取締役CSOの長谷部潤氏(写真)によると、「1割くらいは期ズレというよりも方針転換による抑制」とし、「第3四半期(の広告宣伝費)は第1四半期並みに戻るくらいのイメージ」としていた。一方、逆に前年同期比で0.6ポイント、QonQでは0.4ポイントの増加と伸び、2%台に乗せたのが外注費だ。これについては、「活発な新作開発によるもの」(馬場社長)とし、開発中のアプリ本数の増加がそのまま数字となって表れたようだ。
 
 

■国内向けアプリはQAU減、ARPQU増が続く


国内向けアプリ全体の状況を表しているのが下のグラフとなる。第1四半期に続き、QAU(ダウンロードから7日以上経過したユーザーを対象に集計した四半期アクティブユーザー数)は微減、ARPQU(QAUあたりの売上高)は微増という形になっている。これは典型的な既存アプリの売り上げ増スタイルのトレンドだという。そのため、続く第3四半期は、「新作3タイトル(『東京カジノプロジェクト』『Rumble City』『バトルガール ハイスクール』)が影響することで、逆にQAUが上昇、ARPQUは下降する見通し」(馬場社長)としていた。
 

次に前回から開示がスタートしたアプリのリリース時期別のセグメントに目を移してみよう。第1四半期と比べ、2013年にリリースされたタイトルの売り上げが減少し、2014年にリリースされたタイトルの売り上げが大きく伸びている。もっと端的に表現すると「『黒猫』の落ち込みを『白猫』の伸びで相殺した」(馬場社長)形がはっきりと表れているとも言え、同社の標榜するアプリポートフォリオがうまく機能しているとみることができそうだ。なお、2013年リリースものの売上高全体に占める比率は46.8%となり、50%を下回った。2014年リリースの『白猫プロジェクト』が名実ともに同社のナンバーワンタイトルになったということだろう。
 

さらに、リリース時期別のQAUとARPQUがまとめられたのが下のグラフだ。2014年リリースタイトルはアクティブユーザーを維持しつつ、順調に課金率を高めてきていることがグラフからも見て取れる。加えて、新たに登場した2015年リリースタイトルはQAUがやや高めのスタートとなっているが、今回の集計分は『東京カジノプロジェクト』だけの数字ということになり、同タイトルの基本的な傾向ということもできそうだ。
 
 

■順調に拡大する海外展開、中国での『白猫』好調との速報も


続いて、海外展開についても見てみよう。海外専門部署の設置効果は引き続きはっきりと結果に出てきており、第2四半期は直販、委託とも大きく伸びたという。下の表は今回初めて開示された海外展開のタイトル別の状況で、現在の収益けん引役となっているのは、同社が直接配信を行っている韓国での『白猫プロジェクト』と、So-net台湾に委託している台湾・香港・マカオでの『白猫プロジェクト』となる。なお、『白猫プロジェクト』はgumi<3903>に委託する形で、中国本土での配信も開始されたが、これが順調なスタートを切っている(2015年4月30日19時現在、中国のApp Store有料ランキングで2位)。これについては、「(ローカライズなど)gumi中国の力が大きい」(馬場社長)としていた。
 


今回も各アプリのポートフォリオを見てみると、『白猫プロジェクト』がきれいな右肩上がりとなっているのに対し、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』は全指標が低下している。また、4月にリリースされた『バトルガール ハイスクール』の状況が新作3タイトルを代表して開示されたが、かなりARPPU(課金ユーザー当たり売上高)が高めのスタートとなっているのが見て取れる。
 

第2四半期のトピックスは、まずはマーケティング戦略について、リーチ重視からエンゲージメント重視へ舵を切ったことだ。その代表的な施策が「ねこまつりカフェ」で、来場者による好評を受け、当初の4月30日までの開催から5月10日までに開催期間が延長(関連記事)されている。ちなみに、同カフェでのグッズの販売も好調に推移しているとのことだ。また、投資事業会社となるコロプラネクストを設立(関連記事)しており、学生起業家支援に特化した1号ファンドを立ち上げている。なお、同ファンドの投資第1号として、メイクアップアプリ「makey」を展開するMoobへの出資を4月に実施している。
 

 

■新たに2本がパイプラインに、「『バトガール』は『白猫』と成長が似ている」と


続いて新作タイトルの状況(パイプライン)を見てみよう。新作タイトルは、『東京カジノプロジェクト』『Rumble City』『バトルガール ハイスクール』の3本がリリースされたが、新たに2本(スポーツ、シミュレーション)が開発承認され、9本が開発途中となっている。その内訳はアクションが3本、スポーツが4本、シミュレーションが1本、位置ゲーが1本とのことだが、「アクションのうち1本はRPG要素も強い」(馬場社長)とのこと。また、新作3タイトルを踏まえ、質疑応答で「コアに狙いを絞ったタイトルが多いのでは?」との質問が出たが、「アクションのうち2本は王道路線」(同)としていた。

新作3タイトルについては、「3作とも想定以上に好調。中でも『バトガール』は収益的に見てプラス」(同)とし、「『バトガール』は『白猫』と成長が似ている」(同)とも評価していた。今後はリリース初期の不具合の修正をまずは進め、それから大規模な広告展開も考えていくようだ。また、『Rumble City』は、もともと海外を意識していたタイトルということもあり、現在は海外でレビューを行っているという。第3四半期(4~6月)は、新作3タイトルがどの程度の貢献となってくるのか、大いに注目されるところだ。

なお、次の新作については、「おそらく今期中に出る」(同)としていたが、本数は少なめになるもようだ。
 
(編集部:柴田正之)

 
株式会社コロプラ
https://colopl.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社コロプラ
設立
2008年10月
代表者
代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
決算期
9月
直近業績
売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3668
企業データを見る