東映アニメ、15年3月期は2%減収ながら2ケタ営業増益に…中国向け映像配信権やアプリゲーム化権の販売が好調 劇場版大型作品の減少分をカバー

東映アニメーション<4816>は、5月14日、2015年3月期の連結決算を発表、売上高303億円(前々期比2.3%減)、営業利益39億9600万円(同10.9%増)、経常利益39億7800万円(同1.0%増)、当期純利益24億3700万円(同4.5%増)と、第3四半期までの減益から一転増益での着地となった。
 

同社は、4月27日に業績予想の上方修正を発表(関連記事)しているが、劇場版『ドラゴンボールZ 復活の「F」』 の製作収入の前倒し計上や、中国向けを中心とした複数作品の映像配信権の販売好調などが寄与している。

セグメント別の状況は以下の通り。

①映像製作・販売事業…売上高141億5500万円(前々期比1.7%増)、セグメント利益15億3100万円(同194.2%増)
・劇場アニメ部門は、2014年11月公開の「楽園追放」がヒットし、2015年4月公開の『ドラゴンボールZ 復活の「F」』の製作収入を計上したものの、前連結会計年度にあった「キャプテンハーロック」「手塚治虫のブッダ2」の製作収入や、「ドラゴンボールZ 神と神」のヒットに相当するものがなかったことから、前々期比で大幅な減収となった。

・テレビアニメ部門は、「ワンピース」「ハピネスチャージプリキュア!」(2015年2月より「Go!プリンセスプリキュア」)、「暴れん坊力士!!松太郎」「ドラゴンボール改」「マジンボーン」「金田一少年の事件簿R」「ワールドトリガー」「ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ」「美少女戦士セーラームーン Crystal」の9作品の放映・配信を行い、大幅な増収となった。

・パッケージソフト部門は、前々期にあった映画「ワンピースフィルム Z」や「ドラゴンボール」シリーズのブルーレイ・DVDに相当するものがなく、映像パッケージの関連収入は軟調だったことなどから、減収となった。

・海外部門は、複数作品の中国向け映像配信権の販売が大幅に拡大したことに加え、「ドラゴンボール」シリーズや「ワンピース」の映像配信権の販売が北米向けで、またテレビ放映権の販売がアジア向けでそれぞれ好調に稼動し、大幅な増収となった。

・その他部門は、ソーシャルゲーム『聖闘士星矢 ギャラクシーカードバトル』に加え、新たにブラウザゲーム『聖闘士星矢 ビッグバンコスモ』『ロボットガールズZ ONLINE』を展開した結果、ほぼ横ばいとなった。

②版権事業…売上高は102億5000万円(前々期比2.3%減)、セグメント利益は41億400万円(同4.5%減)
・国内部門は、「ワンピース」でアプリゲームが堅調に推移したものの、前々期にあったライブラリー作品の遊技機の大口契約に相当するものがなく、減収となった。

・海外部門では、「ワンピース」や「ドラゴンボール」シリーズをはじめとする複数作品の中国向けアプリゲーム化権の販売が好調だったことなどから、大幅な増収となった。

③商品販売事業…売上高は46億2800万円(前々期比15.1%減)、セグメント利益は9300万円(同15.0%減)
「ワンピース」や「プリキュア」シリーズの店舗販売は堅調に推移したものの、「ワンピース」の催事向け商品や販促用商品の販売が減少したことなどから大幅な減収となった。

④その他事業…売上高は14億3700万円(前々期比1.6%増)、セグメント利益は1億3800万円(同27.9%減)
台湾での「ワンピース展」が好調に稼動したことなどから、若干の増収となった。

■16年3月期は減収減益を見込む、
なお、2016年3月期通期の予想は、売上高275億円(前期比9.3%減)、営業利益30億円(同24.9%減)、経常利益32億円(同19.6%減)、当期純利益19億円(同22.1%減)の見込み。
 

国内では、引き続き「ワンピース」「プリキュア」シリーズといった主力シリーズ作品による収益の安定・拡大を図るとともに、新作への積極的な投資を行っていく。新作テレビシリーズとしては18年ぶりとなる「ドラゴンボール超(スーパー)」の放映を開始するとともに、「聖闘士星矢 黄金魂-soul of gold-」や「デジモンアドベンチャーtri.」といった知名度の高いライブラリ作品をリブートすることで、従来のファンだけでなく、新規ファンの開拓を狙うとしている。

一方、海外では、中国や北米を中心に配信事業のさらなる拡大を見込んでいる。版権事業では、前期に販売が好調だった中国向けゲームアプリについては追加ロイヤリティーによる収入を見込んではいるものの、新規契約が減少することから減収を見込むとしている。
東映アニメーション株式会社
http://corp.toei-anim.co.jp/

会社情報

会社名
東映アニメーション株式会社
設立
1948年1月
代表者
代表取締役会長 森下 孝三/代表取締役社長 高木 勝裕
決算期
3月
直近業績
売上高874億5700万円、営業利益286億6900万円、経常利益297億9100万円、最終利益209億円(2023年3月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
4816
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