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【インタビュー】「アニメ業界の再編に」…何故Cygamesはアニメ事業部を立ち上げたのか? 事業部長に訊く

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『神撃のバハムート』を筆頭に、『グランブルーファンタジー』や『ナイツオブグローリー』など、数々のモバイルゲームの企画・開発・運営を行うCygamesは、去る2015年3月10日に「アニメ事業部」を設立すると発表した。アニメ事業の強化を目的とし、アニメ制作および制作タイトルのIP展開に特化した部署となるようだ。

同社と言えば、過去にアニメ史上でも類を見ない一社提供としてアニメ「神撃のバハムート GENESIS」を手掛けたことも記憶に新しいが、今回のようにゲーム会社がアニメ事業部を設立するのは、まさに異例と言える。

そこで本稿では、Cygamesのアニメ事業部 事業部長である竹中氏にインタビューを実施。設立経緯を皮切りに、制作状況やマネタイズ、今後の展望など気になる内容を伺ってきた。
 


 

■アニメ事業におけるビジネス(マネタイズ)をもう一度考え直す



株式会社Cygames
アニメ事業部 事業部長
竹中

――:本日はよろしくお願いします。じつは当媒体で今回のアニメ事業部設立に関する記事を掲載したところ、とてつもない反響がありました(関連記事)。ゲーム企業がアニメ事業部を持つことに、本当に多くの方が驚いています。すぐにでも設立経緯についてお伺いしたいところですが、まずは順を追って竹中さんのご経歴を簡単に教えてください。

もともとは、とあるアニメ制作会社で制作進行をしていました。その後は、弊社の渡邊(Cygames代表取締役社長:渡邊耕一氏)が当時勤めていたゲーム開発会社に転職して、3DCGの映像制作を担当したりしていました。会社はいくつか変わっていますが、かれこれ渡邊とは7、8年来の付き合いです。


――:そこからどのような経緯でCygamesに行かれたのですか。

いつか自分で映像をプロデュースしたいという気持ちはあったのですが、当時勤めていた会社は受託案件が中心でした。そのことを渡邊に話をしたところ、「Cygamesで『神撃のバハムート』のアニメ化をしてみないか」と言われたのがきっかけです。作る自信はあったのですが、正直なところ一からのプロデュース経験がなかった為、最初は悩みました。ただ、渡邊からも「こんなチャンス滅多にないのに、逃していいのか」と檄を飛ばされて、入社を決意しました。


――:それでは、入社当時から『神撃のバハムート』のアニメ化に携わっていたのですね。恐らく以前インタビューさせていただいた木村さん(Cygames 常務取締役 木村唯人氏)と、おふたりで進行していたのかと思います。

そうですね。ただ、そのアニメ化と並行しながらも当時は広報・宣伝も兼ねており、テレビCMの制作等も少し前までは担当していました。



【関連記事】
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――:さて、ここからはアニメ事業部についてお伺いしたいと思います。まずは気になる設立経緯を教えてください。

正直なところ、私は当初アニメ事業部の立ち上げは反対でした

数字的な責任が持てないことと、その責任が発生することで、私が目指しているものが作れなくなると思っていたからです。というのも、映像コンテンツは一概に売れるものが全てでは無いと思っていますし、その時代に売り上げが立たなくても必要なコンテンツは存在するとも思っています。

言ってしまえば、売れる作品というか、損をしない作品は、論理的に積み上げていけば、意外と手掛けることができると思っていますが、記憶と時代に残る作品を手掛けるのは本当に難しいものだと。私は、やるからには後者を目指して、視聴者に様々な価値観をぶつけた上でヒット作を生み出したい…という気持ちがありました。

その為には、挑戦的なことができる環境を求めていて、事業部化することで数字的責任を負うと自由な発想ができなくなると考えていました。



――:なるほど。当たり前ですが、事業部化すると数字的な縛りが発生しますね。とはいえ、最終的にこうしてアニメ事業部が立ち上がりました。何か竹中さんのなかで心境の変化があったのかと思います。

あまり言うと安っぽくなるのですが、“アニメ業界自体を再編すること”…それをやれる可能性があるところに、たまたまですが今自分はいるんだなということを改めて認識したんです。資金が無い状態で「変えたい」と言っても、時間が掛かりますし、大きな変化はなかなか難しいと考えています。

大きな変化を与えられるだけの資金を投入できるチャンスがあるということが、立ち上げを決めた一番の理由です。思い切って、アニメ業界におけるビジネス(マネタイズ)を、一度組み立て直すことに対しても、積極的にチャレンジすることができると。

 


――:具体的な事業内容としては、アニメを作る(プロデュースする)……ということですよね。
 
はい。今はとにかく面白いと思えるコンテンツを作り続けて、ためていくことが重要だと思っています。

単体ですとビジネスの展開はたかが知れていますが、それこそコンテンツを作りためることにより、ある種のプラットフォーム化やその先の展開が見込めると思っていますので、まずは妥協せずに面白いと思えるものを作り続けていきます。


――:ちなみに、制作状況はいかがでしょうか。

現在、複数の企画が動いています。コンテンツによっては、テレビやWEBなど世に出していく枠組みも変わっていくと思います。ただ、事業部として明確に「年間何本出す」…といったミッションはないので、企画の段階で「絶対に面白い作品になる」という自信になるまでは、無理に進めるつもりはありません。やはり中途半端なものは作りたくありませんので。

とはいえ、すでにアニメ制作会社さんと話を始めているタイトルもあります。明確な目標ではありませんが、年間に2タイトルずつくらいは作っていけるといいですね。



――:現在部署は何名ですか。また、どのような体制で業務を進めていますか。

私含めて7名です。そのうち、演出がひとりといった形です。年内には、10名くらいの組織にしていきたいですね。

企画をゼロから立ち上げるのはもちろんのこと、アニメ制作会社さんと密にやり取りして、制作にも積極的に介入していきたいと思います。当初から「自分たちでアニメを作りたい」という思いからスタートしているので、単純にスポンサーという形で仕事をするつもりはありません。弊社にそうした製作的な立ち位置のみを求めてくる制作会社さんとは、一緒に仕事はできないかと思います。



――:まだ立ち上げられて間もないですが、「ゲーム会社のなかにあるアニメ事業部」…何かゲーム会社ならではのメリットなどはありますか。

当然、資金面では大きなメリットを感じていますし、自社のIPを持っていることも重要な財産だと思います。とはいえ、ゲームをそのままアニメ化しても、ファンしか喜ばない作品になってしまう可能性があるので、やはりある程度は柔軟に原作を変えていく必要があるでしょう。ファンにも、アニメで初めて作品に触れる人にも、楽しんでもらえるようにしていきます。

また、国内から世界に対して配信できるソーシャルネットワークのノウハウを持っていることも強みです。そういう意味では、もう制作環境としては十二分なものが揃っていますし、新しい作品を生み出せる可能性も感じています。



――:クオリティ管理も常々行われているのでしょうか。

恐らく弊社が本当に満足するクオリティまでになると、現状のテレビシリーズで放送することは難しいですね。アニメは一度放送の枠が決まったら、制作スケジュールなどは伸ばすことができないので、一緒に手掛ける制作会社さんにも企画の段階から、弊社がどのクオリティで制作したいかを理解していただく必要があります。

だからこそ、実際に制作がスタートする前には、最初の座組の部分で制作会社さんと明確なビジョンや意思を、時間をかけて共有するようにしています。やはり最初のイメージがぶれてしまうと、いつまで経ってもイメージしたものにはならないので。実際に「神撃のバハムート GENESIS」も最初の段階で、かなり話し合いを行いました。



――:「神撃のバハムート GENESIS」では、どのような状況でしたか。
 

制作会社さんを探すところから始まり、話し合いの席でも「こういう作品を作りたいんだ」というビジョンを伝えて、それが理解されなければ諦めて、また別の制作会社さんへ……といった形でしたね。我々は新興のソーシャルゲーム会社なので、正直なところ敬遠されて当然だと思って営業に勤しんでいました。


――:そういう意味では、「神撃のバハムート GENESIS」を手掛けたMAPPAさんとは良い出会いとなったのですね。

ええ。MAPPAの大塚さん(MAPPA アニメーションプロデューサー 大塚学氏)と出会えたのは奇跡だなと思っています。MAPPAの熱量があったからこそ「神撃のバハムート GENESIS」は実現できました。外部問い合わせからメールを送らせていただき、会ってくれたことだけでも感謝しています。
 


 

■「怒りは物作りの原動力」…アニメ事業部で積極採用中


――:そして、気になるのがアニメ事業部としてのマネタイズです。恐らく詳細な体制はまだ決まっていないと思いますが、現状どのようなことを考えられていますか。

我々だけではなく、いまどこの会社も考えているところですが、パッケージに縛られないビジネスモデルを確立することが重要ですね。じつは円盤(パッケージ)が売れている作品はそこまで多くなくて、実際に蓋を開けてみるとイベントチケットが付いているなど、純粋に映像作品のみで購入を決めている人は少なくなってきているのではないでしょうか。

そのため、パッケージビジネスを考えなくとも収益が見込めるようなビジネスモデルを組み立てていかなければならないと思っています。それこそ、弊社の強みであるソーシャル性やゲームなどを組み合わせてもいいかもしれません。今すぐは上手く行かないと思いますが、今後タイトル数が増えるにつれて、収益がまかなえる構造が成り立っていくと考えています。



――:なるほど。だからこそ、先ほどもおっしゃったように、まずは面白いアニメを作り続けていくことなのですね。

はい。やはりユーザーに喜んでもらえる作品を作りたいです。でも、どうなんでしょうね……。

というのも、たとえばパッケージにイベントチケットを付けることが、ユーザーにとって嬉しいことなのか、それともマイナスなことなのか……それが私には、はっきり分かりません。もっとユーザーが喜んでもらえるような別のやり方も存在するかもしれないとも思います。それらを見つけていくのもCygamesアニメ事業部のミッションになるのではないでしょうか。



――:ちなみにアニメ事業部の設立を発表された際、ユーザーさんからの反響はいかがでしたか。

想像以上に反響が大きくて、びっくりしました。これほどまで業界に影響を与えるとは思いませんでしたし、幸いにも多くの方が好意的に捉えていただいていたように感じられます。私自身は体力が続く限り、その間に事業として成功させるモデルを見つけるまで務めていきます。改めて今しかできないと思っていますし、何より凄いチャンスでもあるので。


――:また、ユーザーからの声と言えば、発表と同時に『グランブルーファンタジー』のアニメ化についても多くの声が寄せられましたね。

そうですね。出来るだけユーザーの期待には応えたいですが、自社IPだからこその難しさもあると思っています。しかし、アニメ化に際しましても、ユーザーに満足してもらえるものお届けするつもりです。期待してお待ちいただければと思います。
 
▼『グランブルーファンタジー』ゲーム版のPV
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――:雑談で申し訳ないのですが、ここ近年で竹中さんが面白い・印象に残ったアニメ作品はありますか。

最近では『ピンポン』(アニメーション制作:タツノコプロ)が個人的には面白かったです。作品のクオリティはもちろんですが、制作陣の意図が明確に伝わってきた作品でした。収益面でははっきりした事はわかりませんが、10年後も見返される回数が多い作品だと思います。そういう意味では、我々も視聴者に影響を与える作品だったり、後世になって見返されるような、ずっと残る作品を作っていきたいですね。


――:そして現在アニメ事業部では、アニメプロデューサーを募集されています。どのような人物像を求めていますか。
 
何をやりたいかが明確な人です。「Cygamesのアニメ事業部」という括りで事業を考えないといけないと思われそうですが、正直、ここでは自由な発想をもとに何でも出来る環境となっています。

また、ゲームやアニメでも何でもいいので、コンテンツ制作において出口(配信・完成)を経験していることも重要です。そのなかで私や会社に足りないパーツを持っている人がガチっとはまれば、色々な方を採用していきたいと思っています。あとは怒りを感じている方にも来て欲しいですね(笑)


――:怒り……ですか。

はい。最近思うのですが、物作りの原動力は“怒り”など負の感情が少なからず影響していると思っています。それは業界に対してでもいいですし、自分が置かれている環境に対してや、誰かを見返してやりたいなど、人によって様々な理由があると思います。もちろん終始負の感情を抱いてばかりではなく、それを糧に前を向いて進んでいける方と仕事がしたいです。弊社は、そんな人たちがポジティブに考え、能力を最大限発揮させられる環境を提供できると思っています。

「Cygamesはお金だけ出して、自分の好きなものを作らせようとしている」と勘違いされている部分もあるかなと思っているのですが、我々は携わった作品には密に介入して、共に身を削る覚悟で制作に臨んでいます。面白い作品を手掛け、かつ自分のやりたいことを実現してみたいという方のご応募をお待ちしております。

また、営業担当と宣伝担当の募集も開始しました。営業担当はアニメとそれに関連するパッケージ化などを、宣伝担当は広告出稿や取材対応、アニメのHP運用管理やツイッターなどを利用した情報発信を行っていただきます。よい作品を世に送り出し、広めるやりがいのある職種だと思いますので、ご興味のある方はぜひご応募ください。
 


――:それでは、最後に竹中さんが描く今後の展望について教えてください。

あまり偉そうなことは言えませんが、我々の事業部の存在がアニメ業界全体を変えるきっかけになってくれればと考えています。弊社と組むことでクオリティの高い作品を生み出していきながら、物作りができる健全な環境を組み立てていく。それを継続していければ、もっとアニメ業界に優秀な人材が集まってきますし、業界全体の水準も上がっていくことでしょう。

弊社と同じように、これから他のゲーム会社もアニメ業界と上手く関わってくれればと思っています。他会社のゲームタイトルのアニメ化の話も大きく取り上げられているようですので、短期的なバブルとして終わるのでなく、アニメ業界との継続的な関係を築いていくといった考えの元、色々な会社が長期的に向き合っていって欲しいです。

弊社は単純に「ただお金を出してアニメを作ってもらう」という仕事のやり方は一切するつもりはなく、弊社のアニメ事業部を中心としたコミュニティで、世界に通じるコンテンツを一緒になって発信していく環境の構築が目標です。Cygamesと一緒に仕事がしたいと言われる、業界の柱的な存在になれるよう邁進していきます。



――:本日はありがとうございました。
 
(取材・文:編集部  原孝則)


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(C) Cygames, Inc. 
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企業情報(株式会社Cygames)

会社名 株式会社Cygames
URL http://cygames.co.jp/
設立 2011年5月
代表者 渡邊 耕一
決算期 9月
直近業績
上場区分 非上場
証券コード

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