【発表会】堀井氏「原点回帰しつつ進化」、すぎやま氏「全身全霊を傾ける」、鳥山氏「集大成を見せる」…待望のシリーズ最新作『ドラクエXI』が発表


スクウェア・エニックスは、2015年7月28日、都内で『ドラゴンクエスト』(以下、『ドラクエ』)の新作発表会を開催した。当日は、3年ぶりの発表となるナンバリングタイトルをはじめ、その他のシリーズ関連タイトルの詳細情報が明らかになった。司会には、芸能界きっての『ドラクエ』好きである椿姫彩菜さんが担当。本稿では、当日発表された『ドラクエ』に関する最新情報を伝えていく。

 

■新作スマホRPG『星のドラゴンクエスト』の新PVも公開

 

はじめに、『ドラクエ』シリーズのエグゼクティブプロデューサーである三宅有氏が登壇し、冒頭の挨拶を行った。

2016年5月で30周年を迎える『ドラクエ』は、言わずと知れた日本を代表するRPG。本作を手掛けたゲームデザイナーの堀井雄二氏は、漫画的なコミカルなメッセージやセリフ表現や、バトルを重ねることでキャラクターがレベルアップしていくシステムを用い、誰にでも親しみやすいRPGというコンセプトのもと開発した。

シリーズを通し、登場する「スライム」をはじめとしたモンスターや、キャラクターのデザインは漫画『ドラゴンボール』などで世界的に知られるマンガ家の鳥山明氏が担当。また、楽曲は日本国内でポピュラー音楽なども手掛けていた作曲家すぎやまこういち氏が担当し、当時ゲーム音楽としては珍しかったオーケストラの楽曲をゲームに採用することで、より深みのあるファンタジーの世界観がゲーム内に再現された。

三宅氏は、第一作目の発売から堀井氏が大事にしている「マニュアルが無くとも誰もが気軽に遊べる分かりやすさ」「コンピュータの冷たさを感じさせない暖かさ」「主人公となりワクワクする楽しさ」という3つの要素を改めて代弁した。現在『ドラクエ』のパッケージは、全世界でシリーズ累計6600万本が出荷され、様々なプラットフォームで展開されている。三宅氏は「『ドラクエ』の良さを守っていく一方で、新しい創造にも挑戦していきます」と述べ冒頭の挨拶を終えた。

ここからは、『ドラクエ』のスマートフォンタイトルにおける新情報に移った。


■『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』

▲スマートフォン・タブレット向けに提供中の『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』は現在1400万ダウンロードを突破。これを記念して1日1回無料で「地図ふくびきスーパー」を引ける豪華キャンペーンを開催中。


■『ドラゴンクエスト どこでもモンスターパレード』

▲会員登録数100万人を突破したPCブラウザゲーム『ドラゴンクエスト モンスターパレード』の楽しいプレイ要素はそのままに、スマートフォンならではの新システム、新要素、プレイスタイルが多数追加された本作。一切のプロモーション施策を打たずして、早々に200万ダウンロードを突破して記念キャンペーンを開催。


■『星のドラゴンクエスト』

先日発表されたスマートフォン版の最新作。本作は、星型マップを自由に拡大縮小させたり回したりしながら、星をまるごと探索できるRPGだ。プレイヤーは、キャラクターを自由にカスタマイズ・成長させながら、迫りくる星の危機に立ち向かっていく。当日は、初公開となるプロモーションビデオも公開された。
 
 



 




▲『星のドラゴンクエスト』は2015年配信予定。
なお、三宅氏いわく「秋頃には…」とリリース時期を匂わせていた。

 

▲500万ダウンロード突破した『ドラゴンクエスト ポータルアプリ』では、スマホ版『ドラゴンクエストIII』のセールも実施中。8月10日(月)まで、価格が1200円⇒840円(30%OFF)なので、未購入の方はこの機会に。
 
 

■多角的に展開する『ドラクエ』の関連タイトル


続いて、『ドラクエ』シリーズの生みの親でもある堀井雄二氏が進行役に加わり、コンシューマ及びアーケードタイトルの関連情報に移った。


■『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』

はじめに、10年以上の歳月を経てニンテンドー3DSで登場する『ドラゴンクエストVIII空と海と大地と呪われし姫君』について、プロデューサーの藤本則義氏が解説。

今作では、オリジナル版では語られなかった新たなシナリオのほか、イベントシーンにはボイスが採用された。また、新しい仲間として、女盗賊のゲルダ、モンスター・バトルロード主催者のモリーが加わり冒険を彩る。

そして、本作でも恒例の実写テレビCMでは、チェコで撮影を行ったとのこと。堀井氏も「お城は『ドラクエ』の世界そのものだった」と太鼓判。発売の1週間前から放送開始するという。
 

▲ヤンガス(右)をはじめ、キャラクターの再現度も相変わらず高い。


▲初回生産特典/早期購入特典には、「いにしえのロトの剣」がゲーム内で先行入手できるプレゼントコード付き。


■『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』



『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』は、竜王によって荒廃してしまったアレフガルドの地を奪還し、復活させていく新しいテーマの作品。“ブロック”で表現された広大なアレフガルドの世界を自由に“創り”、物語を紡いでいく「ブロックメイクRPG」というジャンルの作品となる。この世界では、目に映るあらゆるモノが素材となり、様々なアイテムや、人々に生活に不可欠な拠点を創ることができるという。プレイステーション4、3、Vitaの3つのプラットフォームで今冬発売予定。

当日は、世界観の説明に加えて、実際のプレイ映像も公開された。ちなみに本作の世界観は、あの第一作目に登場する宿敵・竜王の有名な台詞である「せかいの はんぶんを おまえ に やろう」という問いに対して、もしも「はい」にしてしまったらどうなっていたのか……と、「if(もしも)」の世界を描いているという。プレイヤーは、未だ竜王に支配されている世界を奪還し、復活させることになる。
 

 

【公開されたプレイ映像】













■『ドラゴンクエストヒーローズII 双子の王と予言の終わり』

続いて『ドラゴンクエストヒーローズII 双子の王と予言の終わり』の最新情報を、同シリーズのプロデューサーである青海亮太氏が登壇し説明した。

シリーズ1作目となる、『ドラゴンクエストヒーローズ闇竜と世界樹の城』は、コーエーテクモゲームスの「ω-Force」開発の元、シリーズ初の本格アクションRPGとして2015年2月26日に発売。リアルなグラフィックでの世界観の表現や、爽快で大迫力のアクションバトル、そして変わらない『ドラクエ』らしさにおいて、日本国内及びアジア圏での販売本数が100万本を突破(パッケージ版出荷、ダウンロード版販売合計)した。

そして『ドラゴンクエストヒーローズII 双子の王と予言の終わり』では、シリーズの完全新作として、新たな世界・物語・主人公で展開されることを発表。もちろん歴代シリーズキャラも新たに登場する。また、ユーザーから要望の多かった最大4人まで遊べるマルチプレイも実装。ちなみに、青海氏が手にしている前作にも登場したホイミスライムのホミロンは、今作では鬼教官として登場するとのこと。

当日は、初公開となるメインビジュアルも公開された。


▲新モンスターだけではなく、新たな歴代キャラクターとして『ドラクエVII』よりマリベル、『ドラクエVI』よりハッサンの登場が決定。発売は2016年春予定。また、今年の東京ゲームショウが開催する近辺で続報を公開するとのこと。堀井氏は「サブタイトルからして、ドラマチックな展開になるのでご期待ください」と言葉を添えた。


■『ドラゴンクエストモンスターズジョーカー3』


続いて、『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズ最新作となる、ニンテンドー3DS用ソフト『ドラゴンクエストモンスターズジョーカー3』の続報について、シリーズのプロデューサーを務める犬塚太一氏が説明。

本作『DQMジョーカー3』は、2006年発売の『ドラゴンクエストモンスターズジョーカー』から始まる“ジョーカー”シリーズの最新作。おなじみのモンスターたちをはじめ、新モンスターや新たなゲームシステムも搭載され、かつてない冒険の旅が繰り広げられる。さらに、通信機能を使用したプレイヤー同士の対戦も健在。
 

▲鳥山明先生描き下ろしの主人公。後ろ姿は初公開となる。


▲こちらも初公開となるゲーム画面では、モンスターの背中に乗っている場面を確認。なんと、今作では登場するすべてのモンスターに乗ることができるという。「スライムでもゾーマでも乗れます。スライムナイトはどうなるのかが注目ですね」と犬塚氏。なお、発売は「ビルダーズより後で、そんなにお待たせしないかもしれません」と目安を示した。
 

■『ドラゴンクエスト モンスターバトルスキャナー』
 
続いて、当日初公開となったアミューズメントカードゲーム機『ドラゴンクエスト モンスターバトルスキャナー』を、プロデューサーの市村龍太郎氏が説明。

本作は、『ドラクエ』に登場するモンスターがカードになって白熱のバトルを繰り広げる「スキャンバトル RPG」。『ドラクエ』シリーズのアミューズメント向け作品は、2010 年の稼働終了までに2億枚以上のカードを出荷した『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』シリーズ以来、実に5年ぶりの新作発表となる。

なお、開発は、マーベラスが担当。市村氏は「日本を代表する RPG 作品である『ドラゴンクエスト』と、さまざまな子供向けアミューズメント機におけるノウハウを持つマーベラスがタッグを組み、新たな『ドラクエ』のカードゲームをお届けします」とコメント。
 


▲今作のイメージイラスト。主人公の右手には、何やらドラゴンの形をした腕輪が見えるが、果たして……。稼働時期は2016年を予定。


■『ドラゴンクエストX オンライン』

続いて『ドラゴンクエストⅩ』の最新情報について、プロデューサーの齊藤陽介氏が説明。2012年8月に『ドラクエ』シリーズ初のオンライン専用ゲームとして『ドラゴンクエストⅩ 目覚めし五つの種族 オンライン』が発売され、2013年12月、2015年4月にそれぞれ追加パッケージとなる『眠れる勇者と導きの盟友』『いにしえの竜の伝承』が発売。

Wii版、Wii U版、Windows版に加え、2014年からはクラウドサービスを利用したニンテンドー3DS版やスマホやタブレットでプレイできるdゲーム版もサービスをスタートさせ、現在も非常に多くのプレイヤーに楽しまれているタイトルだ。

齊藤氏は「今度の日曜日で3周年を迎えます。これもひとえにお客様のおかげです」と御礼の言葉を述べ、8月1日(土)に舞浜アンフィシアターで開催される「ドラゴンクエスト 夏祭り 2015」の告知も行った。会場観覧の抽選は終了したが、200~300席の当日席も用意しているとのことだ。

また、ニンテンドー3DS版の無料体験版の配信を決定したことや、プレイステーション4版の開発に着手したこともサプライズ発表となった。さらに任天堂の次世代機「NX」でも発売が決定。
 





 

■待望のシリーズ最新作『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』発表




そして、遂に満を持して発表されたのがシリーズ最新作『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』だ。2012年8月2日にスクウェア・エニックスより発売された前作『ドラゴンクエストX目覚めし五つの種族オンライン』に続く、『ドラクエ』シリーズ本編の最新作となる。

驚くべきなのが、対応プラットフォームがプレイステーション4とニンテンドー3DSの2機種で発売するということ。堀井氏いわく「幅広く多くのユーザーの皆様に、お好みのプレイスタイルで最新作を遊んでいただくため」としている。

ちなみにサブタイトル「過ぎ去りし時を求めて」に込めた意味は、「第一作目を作っていたときに戻って、原点回帰のメッセージを込めています。また、時をテーマにした物語にもしています」と明らかにした。思えばタイトルロゴに写るドラゴンも、第一作目のものを反転しているようにも見える。
 

ここからは、引き続き『ドラクエX』よりプロデューサーを務める齊藤陽介氏、ディレクターの内川毅氏、PS4版のプロデューサーの岡本北斗氏、ニンテンドー3DS版の横田賢人氏が登壇し、それぞれのプラットフォームにおける特徴や魅力を、実際に堀井氏が試遊しているゲーム画面とともに解説してくれた。なお、PS4版は株式会社オルカ、ニンテンドー3DS版は株式会社トイロジックと協力して開発に臨んでおり、メイン開発はスクウェア・エニックスが担当。
 

▲左から内川毅氏、岡本北斗氏、横田賢人氏


■プレイステーション4版



PS4版では、過去作を遥かに上回る「美麗な世界」を冒険することができる。川の煌めきや木の質感、NPCの挙動、砂埃など、細かいところまで表現されている。堀井氏が当日「奥行まで見通せる空気感がすごい」と語ったように、奥に見えるNPCの影ひとつとっても伝わってくるリアリティがゲーム内で味わえる。

もちろんタルやツボ、タンスなども調べることは可能。ジャンプもでき、低い段差ならのぼることもできるようだ。はしごをのぼるときも、きちんとモーションが備わったり、街には上層・下層と分かれており、その広さも体験できるという。

なお、モンスターとはシンボルエンカウント式を採用。フィールド上で表現された木漏れ日や岩肌の質感、滝の水しぶきといった、絶景ポイントを見つけて楽しむのも悪くなさそうだ。『ドラクエ』の世界観を圧倒的なグラフィックで表現したことにより、正直「どうなるか…」と心配したものだが、ワクワクする場面が随所に登場し、冒険心がくすぐられる。


















■ニンテンドー3DS版



ニンテンドー3DSでは、なんと「3D画面」と「2D画面」を切り替えて遊ぶことができる。なかでも「2D画面」は、昔懐かしいドット絵で表現されたトップビュー式で、まるで「『ドラクエ』の最新作がスーパーファミコンで出るのか?」と思ってしまうほどの再現度であった。このニンテンドー3DS版のゲーム概要は、恐らく会場で一番の歓声があがったと思う。それほど、オールドゲーマーの心に突き刺さる内容であったのだろう。

ゲームの途中で「3D画面」と「2D画面」を切り替えられるので、自分のプレイスタイルに併せて設定するのがベスト。とはいえ、上画面が「3D」、下画面が「2D」という新感覚なゲームスタイルも味わってみるのも楽しいだろう。画面は連動しているため、操作感の心配もなさそうだ。また、モンスターとのエンカウントは「3D画面」はシンボル、「2D画面」はランダムになっている。遭遇すると、それぞれバトル画面も「3D」と「2D」に分かれるようになっている。もちろんイベントも上下連動しているうえ、何度でも見られるような配慮もするという。









本作は、お馴染みのコマンドバトルを採用。なお、オンラインではなく、完全ひとりプレイであり、PS4版とニンテンドー3DS版に収録されている物語の内容も全く一緒だという。齊藤氏は「30周年内(2017年5月まで?)の発売を目指して開発しています」とリリースの目標時期にも触れてくれた。また、任天堂の次世代機「NX」での発売も予定しているという。


『ドラクエXI』の発表を受け、特別ゲストとして、集英社よりVジャンプ編集部の編集長 伊能昭夫氏が登壇。20年以上『ドラクエ』シリーズに携わっている伊能氏は、当日、キャラクターデザインを務める鳥山明氏からの手紙を代読した。

「PS4とニンテンドー3DSで同時に出すということ、とても驚きました。PS4ではリアルに表現されるとのことで、シンプルなモンスターも違和感に感じてしまうか心配ですが、今更全部描き直すのも大変なので、別の楽しみ方をしてくれれば助かります。

シリーズを長く続けていると、バリエーションも尽きることがあり、身を削りながら描かせていただきました。何しろ30周年ですから、集大成で”これで最後”と思うほどの根性を見せます。若い開発スタッフたちとの見事な連携プレイにも注目です。完成はまだまだ先でしょうが、どんなゲームになるのか楽しみにしております」
 

▲『ドラクエXI』の主人公。


さらに特別ゲストとして、シリーズの作曲を務めているすぎやまこういち氏が登壇。

すぎやま氏は『ドラクエXI』の作曲を担当するにあたり、「気合いが入っております。発売されてから29年目、来年で『ドラクエ』は30歳になるわけです。じつは昨日京都で『ドラクエ』のオーケストラコンサートに参加したのですが、会場を見渡して聞いてみると、『ドラクエ』より若いお客さんが結構いました。オーケストラのメンバーも年下の方がいました」と、シリーズの歴史を肌で感じたことに触れた。

最後にすぎやま氏は「『ドラクエ』は新たなスタートをきります。私も第一作目と同じような気持ちで楽曲を手掛けます。そして、堀井さんから楽曲の一覧表をいただいたのですが、それを見て腰を抜かしました(笑)。村やフィールド、バトルまで全部が新曲だったのです。命がある間は頑張って完成させたいですが、ある種、とても楽しみではあります。これから全身全霊を傾けて手掛けてまいりますので、ぜひご期待いただければと思います」と、力強いコメントで挨拶を終えた。
 

▲最後に堀井氏は「1作目を作っていたとき、30年も続くとは思っていませんでした。本当にユーザーの皆様とスタッフの方々に感謝申し上げます。来年は30周年なので、いろんなイベントも企画していますので、お楽しみください」とコメント。
 

▲『ドラゴンクエスト』30周年ロゴ
 

■『ドラゴンクエスト』シリーズ
 


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設立
2008年10月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
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3月
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