【ネクソン決算説明会】「高品質なゲームと効率的な運営が収益をもたらした」 マホニー改革の成果着実 中国・韓国堅調


ネクソン<3659>は、8月13日、2015年12月期の第2四半期累計の決算を発表するとともに、東京都内で機関投資家・アナリスト向けの決算説明会を開催した。発表した決算は、売上収益946億円(前年同期比12.1%増)、営業利益335億円(同7.7%増)、最終利益が315億円(同56.0%増)と増収増益となった。
 

決算説明会に臨んだオーウェン・マホニー社長(写真)は、「多様で高品質なゲームが堅調な売上収益を生み、効率的な事業運営が利益を生んだ。戦略をうまく実行していることが当社の目指していた結果をもたらしつつあることを物語っている」と述べ、社長就任後の成果が着実に出ていることに自信を示した。

マホニー社長によると、社長就任以来、「高品質なゲーム」の提供することに集中したという。自社開発タイトルである『メイプルストーリー2』を韓国で配信をスタートしており、韓国PCカフェランキングの第4位に入るなど、幅広いユーザーで支持を集めることに成功したとのこと。その他、韓国におけるPCタイトルの上位10タイトルの半分はネクソンのタイトルが占めたという。

また外部の開発パートナーや、IPホルダーとの関係強化も進めた。モバイルストラテジーゲーム『DomiNations』は北米や欧州で好調なスタートを見せた。またエレクトロニック・アーツとは、『FIFAオンライン』だけでなく、『Titanfall』や『Need for Speed Edge』の運営権の取得などパートナーシップを強化した。これ以外にもTencentとのモバイル版『アラド戦記』の中国配信、スクウェア・エニックス『ファイナルファンタジー11』の共同開発、ワーナー・ブラザーズとの『LEGO』ベースのモバイルゲーム開発のライセンス契約などがあげられる。
 

このほか、モバイルゲーム分野での成果も紹介した。ネイティブゲームは、前年同期に比べて2倍以上の成長を遂げているという。特に、韓国市場での成長が著しく、韓国のGoogle Playランキングをみると、TOP50のうち、ネクソンタイトルが10%を占めるに至った。2年前はTOP50に入るタイトルが一つもなかったことを考えると、大きな変化といえる。この要因について、「他社とは異なるゲームを提供していること」をあげた。
 


 
第2四半期は中国と韓国好調で増収増益に

続いて、最高財務責任者の植村士朗氏が登壇し、第2四半期(4~6月期)の状況を説明した。

売上収益426億円(前年同期比15.6%増)、営業利益113億円(同13.6%増)、最終利益130億円(同218.4%増)となり、2ケタの増収増益となった(会計基準ベース)。今回、前四半期との比較ではなく、前年同期と比べたのは、例えば中国の旧正月など季節変動の影響が大きく出てくるためだ。なお、前年同期との比較は、会計基準ベースでのもので、為替レートが一定だった場合には売上高の伸びは5%増にとどまる。
 

良好な結果となったが、中国における『アラド戦記』が好調だったことに加え、韓国における『アラド戦記』や『サドンアタック』、『メイプルストーリー』といったPCオンラインゲーム、新規モバイルゲームタイトルの売上が寄与したことによる。モバイルゲームのプラットフォーム手数料や、新規タイトルの配信に伴う広告宣伝費の増加を吸収した。日本はPC、モバイルともに不振だった。

なお、最終利益が大きく伸びているのは、昨年の第4四半期に韓国の税務当局の指摘で未払法人所得税を計上していたが、税務当局との話し合いが解決し、未払法人所得税の一部戻入が発生したことによる。
 

地域別の状況を見ていこう。

■中国
売上高が18.2%増の159億円だった。主力タイトル『アラド戦記』については、労働節アップデートと、7周年記念アップデートを実施した。特に7周年アップデートが好評だったという。KPIについては、MAU(月次アクティブユーザー数)が減少した一方、課金ユーザーは増加したという。このほか、4月22日に『カウンターストライクオンライン2』の配信を開始した。提供中の『カウンターストライク』と喰い合うこともないとのこと。運営成績は堅調ではあるものの、中国全体の売上に占める割合はそれほど大きくはないため、中国事業の業績に大きな影響を与えるものではないそうだ。
 


■韓国
売上高は20.9%増の162億円だった。PCオンラインゲーム、モバイルともに拡大した。PCオンラインゲームは16.2%増の127億円だった。『アラド戦記』や『サドンアタック』『メイプルストーリー』といった主要タイトルが伸びた。またモバイルゲームは、41.9%増の35億円だった。『マビノギデュエル』や『Top of Tanker』、『Hero×Hero』、『天龍八部』といったモバイルゲームが寄与した。
 


■日本
売上高は28.7%減の54億円だった。PCオンラインゲームが不振だったほか、モバイルゲームも大きく落ち込んだ。モバイルゲームは31.6%減の40億円だった。モバイルについてはブラウザゲームの減少が響いたという。ネイティブゲームアプリでは、モバイルオンラインゲーム『Legion of Heroes』のLINE対応版『LINEクロスレギン』の提供を開始した。
 



■北米及び欧州その他
今回、最も大きく変わったのがこちらだ。モバイルストラテジゲーム『DomiNations』の寄与で、北米と欧州その他の合計は、118.1%増の49億6400万円となった。内訳は、北米での売上高が48.8%増の28億円、欧州が87.9%増の21億円と大きく伸びた。『DomiNations』は、1000万ダウンロードを突破したほか、アプリストア売上ランキングで上位に入るなど好調なスタートをみせた。『DomiNations』についてマホニー社長は「順調な滑り出しを見せており、欧米での前年同期比の伸びに貢献した」とコメント。その後、ランキングで順位は低下傾向にあるが、これはアップデートや初期の不具合対応の遅れなどが主な要因だという。今後、こうした問題に取り組むとともに、マーケティング投資を行い、再度の成長を図っていく計画だ。
 


 
第3四半期はモバイル中心にリリース

第3四半期(7~9月)の業績は、売上収益463億円~497億円(前年同期比1.5%~9.0%増)、営業利益143億円~172億円(同5.2%減~14.0%増)、最終利益129億円~153億円(同4.7%減~12.8%増)を見込む。売上収益の内訳を見ると、PCオンラインが368億円~392億円(同2.6%増~9.1%増)、モバイルが94億円~105億円(同2.6%減~8.7%増)となる。
 

会場からはモバイルの伸びが低い理由についての質問があった。これに対し、植村氏は、「この四半期は、新作は出していく。ただ、新作のリリースが第3四半期の後半に多くなり、業績への寄与は限定的とみていること、そして、ワールドカップの影響で前年好調だった『FIFA Online 3 Mobile』が今年は厳しくなるとみているためだ。」と回答した。
 
▲各地域の見通し。中国と北米・欧州が伸びるが、日本は30%台の減収になると想定しているという。


費用面では、広告宣伝費は22億円増やす。複数の新作タイトルのプロモーション活動に充当するほか、『DomiNations』にも充当する計画だ。このほか、開発や運用に係る人件費として10億円増やす計画だ。「非常に成長しているモバイルを中心に人員採用を行っていく予定」だという。
 
 
(編集部 木村英彦)
株式会社ネクソン
http://www.nexon.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ネクソン
設立
2002年12月
代表者
代表取締役社長 イ・ジョンホン(李 政憲)/代表取締役CFO 植村 士朗
決算期
12月
直近業績
売上収益4233億5600万円、営業利益1347億4500万円、最終利益706億0900万円(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3659
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