【gumi決算説明会】1Qは『ブレフロ』の落ち込みで減収・赤字幅拡大 『ファンキル』モデルの横展開と世界進出、"地産地消"タイトルで巻き返し狙う


gumi <3903> は、9月14日、アナリスト・機関投資家向けの第1四半期(5~7月期)決算説明会を東京都内で開催した。同社の発表した連結決算は、売上高58億7000万円(前四半期比QonQで15.1%減)、営業損益4億9500万円(前四半期400万円の赤字)、経常損益4億9500万円の赤字(同5800万円の赤字)、最終損益6億2600万円の赤字(同4億1600万円の黒字)となり、減収・赤字幅拡大となった。
 

フジ・メディア・ホールディングス(フジ・メディアHD) <4676> との合弁会社Fuji&gumi Games『ファントム オブ キル(以下、ファンキル)』の売上が順調に伸びたものの、主力のスマートフォンアプリ『ブレイブフロンティア(以下、ブレフロ)』の国内外での売上が減少したことに加え、ブラウザゲームの運営移管による売上減が影響したとのことだった。

決算説明会に臨んだ國光宏尚社長は、「国内で長く仕込んでいた大型タイトル、その次の『ファンキル』海外版、第4四半期から来期にかけてカナダやスウェーデン、ドイツ、中国、韓国スタジオで開発しているゲームが出てくる予定だ。…第2四半期以降の新作がどこまでヒットするか、出してみないと分からないが、クオリティもかなり高いものに仕上がっている。早期の月次黒字化を目指したい。」と述べた。


【前年同期との比較記事】
gumi、5~7月期は17%の減収・5億円の営業赤字に…『ブレフロ』減収、ゲームの開発費が収益圧迫【追記】


 
■第1四半期はQonQで減収・赤字幅拡大

まず、売上高は、QonQで15.1%減の58億7000万円だった。主力タイトルである子会社エイリムの『ブレフロ』日本語版は、リリース2周年を記念したイベントで、ゲーム内通貨の無償配布などを行った結果、MAU(月次アクティブユーザー数)が高水準を維持したものの、ARPMAU(月次アクティブユーザー1人あたりの月平均売上高)が低下し、大幅な減収になった。

また、『ブレフロ』海外言語版も、ユーザーの継続率向上を目指した各種施策によりARPMAUが上昇したものの、リリース後の期間経過によるMAUの自然減を補うことができなかったという。さらに『ドラゴンジェネシス』『幻獣姫』『騎士姫』などブラウザゲームを前期末にマイネットに譲渡したことも影響した。運営移管に伴い、4億3500万円の減収になった。

他方、好調だったのは、Fuji & gumi gamesの提供する『ファンキル』だった。大型プロモーションを実施しなかったこともあり、リリース後の期間経過による新規獲得の自然減によりMAUは減少したものの、ユーザーニーズをとらえた課金施策の積極投入により、課金率とARPMAUが好調に推移し、増収となった。
 

また、営業損益は、4億9500万円の赤字となり、前四半期400万円の赤字の赤字から赤字幅が拡大した。売上の減少が主な要因だが、『ブレフロ』のテレビCMの出稿と、キーパーソンへのインセンティブの支払いに伴う人件費の増加も収益を圧迫した。ただ、キーパーソンへのインセンティブに関しては一時的な支払いとなるため、次の四半期には計上されないとのことだった。
 

▲費用の内訳。売上原価が7億3200万円減少したが、そのうちアプリストアへの決済手数料を含む支払手数料の減少が4億3500万円を占めた。


 
■第2四半期も減収・赤字幅拡大の見通し 売上計画は保守的に

続いて第2四半期(2015年5~10月期)の業績は、売上高48億円(前四半期比で18.2%減)、営業損益12億円の赤字(前四半期4億9500万円の赤字)、経常損益13億円の赤字(同4億9500万円の赤字)を見込む。売上高の計画に関してはかなり保守的な見通しとなっているようだ。最終利益のみ非開示となっている。同社では、この理由について、税効果の見積もりが困難なため、と説明している。
 

減収となる要因としては、『ブレフロ』日本語版が2周年イベントの終了などに伴うMAUの減少により、売上が50%減となるほか、『ブレフロ』海外言語版でのリリース後の期間経過に伴うMAUの減少により、10%程度の減収を見込んでいるとのこと。『ファンキル』については『魔法少女まどか☆マギカ』とのコラボやテレビCMによるMAU増加で25%程度の増収が見込まれる。
 

他方、費用については、第1四半期と同水準となる見通しだ。広告宣伝費と外注費は、減少を見込んでいるものの、開発中の新作タイトルの開発が本格化することから外注費が増える見込み。この結果、減収が見込まれる一方、売上原価や販管費などは費用は減らないため、各損益段階での赤字幅が拡大する見通しとなる。


 
■各タイトルの取り組み…『ファンキル』の海外展開や協業モデルの横展開も
 
▲『ブレフロ』日本語版については、新ユニット育成システム、新PvPシステム、マルチプレイシステムを導入し、2周年イベントで高水準となったMAUの維持を図る。昨年も1周年記念後に売上が下がったため、今期も下がる見通しだが、課金を無理に促すようなことはせず、年末年始に向けた施策やアップデートの準備を行っていく考え。

 
▲『ファンキル』は、『魔法少女まどか☆マギカ』とのコラボやテレビCMなどの効果により、8月は過去最高の売上を更新した。足元ではGoogle Playでの売上ランキングも自己最高の7位を記録するなど9月も引き続き好調に推移している。さらに今冬には海外配信も行う。世界市場で大成功を収めた『ブレフロ』に続く世界ヒットタイトルを目指す。

 
▲『ドラゴンジェネシス』と『ソードアート・オンライン・コード・レジスタ』はいずれも安定した結果となっている。

 
▲新作RPG『クリスタルクラウン』は、8月20日にiOS版を配信開始したが、KPIの面で苦戦している。今秋に控えたAndroidアプリ版のリリースに向けて、ゲームバランスの調整や施策の強化を行う。國光社長は「スマホでのアクティブターンバトルなどがユーザーに認知されていない。コアなゲームユーザーには評判がいいが、このゲームの面白さをわかり易く説明する必要がある。チュートリアルの説明やゲームの見せ方、ゲームバランスなどを主に調整している」とコメントした。

 
▲新規タイトルについては、開発パイプラインは14本となっている。前の発表では17本だったが、3本リリースされた。『ファントムオブキル』の海外展開を行っていくほか、海外子会社が現地に合わせて開発した"地産地消"のゲームアプリを提供し、全世界での売上拡大を図っていく。

 
▲決算発表と同時に発表した開発中のネイティブアプリ2本をFuji&gumi Gamesに譲渡する件については、単なるゲームアプリの譲渡ではなく、フジテレビ、Fuji&gumi Gamesとの提携をより深くすることが狙いであるとのこと。フジテレビとの協業で最も効果的だったのは、プロモーションやマーケティングの面だった。「オリジナルのスマートフォンゲームアプリを出しても、お客さんに知ってもらうところが年々難しくなっている。『ファントム オブ キル』は、オリジナルタイトルながらも、フジテレビさんの力もあり、かなり効果的にプロモーションが行えた。」と振り返った。フジテレビの持つメディア力と、gumiのゲーム開発・運用力の融合といえるが、今後、この成功モデルを新作2タイトルにも広げていく。譲渡される新作ゲーム2タイトルについては、今週開催予定の「東京ゲームショウ2015」で明らかにされる予定だ。

 
(編集部 木村英彦)
株式会社gumi
http://gu3.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社gumi
設立
2007年6月
代表者
川本 寛之
決算期
4月
直近業績
売上高160億0900万円、営業利益4億4700万円、経常損益1900万円の赤字、最終利益4億4500万円(2023年4月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3903
企業データを見る