【モバイルファクトリー決算説明会】3Qは売上高、利益とも過去最高 今期増額予想は4Q広告宣伝費の上積みを織り込み済み 4Q新作は誰もが知るIPを使用


モバイルファクトリー <3912> は、10月22日、東京都内で決算説明会を開催した。同日発表した2015年12月期の第3四半期累計(1~9月)の連結決算は、今期が初の第3四半期業績開示のため、前年同期比較はないが、売上高12億4300万円(期初通期予想対比の進捗率76.1%)、営業利益2億3200万円(同96.2%)、経常利益2億2400万円(同95.7%)、四半期純利益1億3600万円(同92.4%)に達し、同社をこれを受けて、2015年12月期通期業績予想の上方修正を発表(関連記事)している。

決算説明会では、同社の宮嶌裕二代表取締役CEOが、今回発表された第3四半期決算における注目のポイントを説明した後、質疑応答が行われた。その質疑応答の内容なども踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■第3四半期は四半期別で過去最高業績を記録


同社の第3四半期期間(7~9月)の業績は、売上高4億4200万円(前年同期比14.5%増、前四半期比8.4%増)、営業利益9600万円(同116.7%増、同44.3%増)、経常利益9600万円(同112.1%増、同46.1%増)、四半期純利益6000万円(同130.9%増、同48.2%増)と前年同期比較(YonY)でも前四半期比較(QonQ)でも増収増益を達成した。さらに売上高、利益とも四半期業績として過去最高の数字を記録している。

なお、売上高営業利益率についても第1四半期の17.7%、第2四半期の16.3%に対し、この第3四半期は21.7%と利益率が向上した。
 

さらにこの業績数字だが、同社の宮嶌CEOによると「(第3四半期の)利益は過去1年を見ても、最も広告宣伝費を使ったがそれでも利益が増えた」という。さらに同社は2015年12月期の業績予想を上方修正しているが、「第4四半期(10~12月)については、来期の成長に向けて、その第3四半期と比較してさらに広告宣伝費を1億円上積みする」(宮嶌CEO)としており、発表された数字以上の好調さがうかがわれた。なお、第4四半期のプロモーションの成果は、2016年12月期に発揮される見通しで、「来年は皆さまが驚くくらいの(予想)数字出せるのではないかと思っている」(宮嶌CEO)としていた。
 
 

■『ステーションメモリーズ!』のDAUは3ヶ月で倍増


次に注目ポイントとして紹介されたのは、位置情報ゲーム『ステーションメモリーズ!』の好調な推移だ。『ステーションメモリーズ!』は、積極的なプロモーションの効果もあり、足元9月に売上高・DAU(日次アクティブユーザー数)とも過去最高を記録しており、DAUは第2四半期末の6月と比べて2倍に拡大した。ちなみにARPPU(課金ユーザー1人あたりの月間課金額)は、大きな変動はないとのことで、ユーザー数の拡大がストレートに売り上げの増加につながっているもようだ。
 

また、こうした位置情報ゲームの成長がけん引役となり、同社の売上高構成において、第3四半期はソーシャルアプリサービスがコンテンツサービスの売り上げを初めて上回った。同社は、積極的なプロモーションにより、『ステーションメモリーズ!』など位置情報ゲームの成長をさらに促進していく方針であり、今後もソーシャルアプリサービスの同社業績に対する比重はますます大きくなっていくことが予想される。
 
 

■第4四半期は有名IPを使用した協業タイトルを投入へ


足元の新作タイトルの状況は、第3四半期期間では位置情報ゲーム『駅奪取』のネイティブアプリ版のβ版サービスを開始した。本作については、「11月よりプロモーションを開始する」(宮嶌CEO)としており、第4四半期のプロモーション費用増加はその分も計画に織り込まれている。

また、第4四半期には他社との協業タイトルとなる新作のリリースが予定されているとのこと。こちらは「日本国民によく知られた某キャラクター(IP)を使用した協業タイトル」(宮嶌CEO)ということで、今後の正式発表が注目されるところだ。

さらに、2016年上期にも1タイトルの新作が予定されており、これも「位置情報ゲームの新作」(宮嶌CEO)となっている。
 
 

■ポケモンの『Pokémon GO』による市場活性化にも期待


質疑応答では、位置情報ゲームの市場環境に関する質問やO2O(オンラインtoオフライン)の展開についての質問も行われた。

位置情報ゲームの市場環境については、9月に発表会が行われたポケモンの『Pokémon GO』(関連記事)の話題も絡めた話となったが、「『Pokémon GO』やコロプラ<3668>が開発を行っている位置情報ゲームによって、市場が活性化することを期待している」(宮嶌CEO)としていた。他社の強力なタイトルが出てくることは、市場のパイを奪われるというよりも、むしろ市場に新しいユーザー層を呼び込む効果として期待しているようだ。

O2Oについては、同社としては新規会員獲得効果が大きく、プロモーションとしての位置付けが大きいとのことだ。先日10月5日には、岩手県との連携協定の締結(関連記事)が行われたが、「今後はさらに地方自治体との話が増えていくと思う」(宮嶌CEO)としていた。O2Oのイベントについては「今後も今までと同じ月1~2回くらい行っていく」(宮嶌CEO)との方針だ。
 
 

■来期以降も配当性向30%で継続予定


同社は、第3四半期決算と同時に配当予想の修正も発表した。従来予想では2015年12月期は無配の予想としていたが、初配当として期末20円の配当を実施することを決定した。なお、配当については、来期以降も継続していく方針で、「今期と同様に配当性向30%水準」(宮嶌CEO)での実施を考えているという。
 

■まとめ


同社の位置情報ゲームは、足元は投資した分だけ、ユーザーが増え、さらに収益が上がるという好サイクルに入っている。そこを踏まえての第4四半期のプロモーション費用大幅上積みとなるわけで、3ヵ月後の2015年12月期決算発表では、来期の業績予想としてどのくらいの数字が打ち出されてくるのかに大きな関心が募る。

また、年内にサービス開始する予定としている他社協業タイトルが、IP活用タイトルということで、これまでと異なる新しいユーザー層を呼び込む力を発揮できるのかも今後注目したいところだ。
 
(編集部:柴田正之)

 
株式会社モバイルファクトリー
http://www.mobilefactory.jp/

会社情報

会社名
株式会社モバイルファクトリー
設立
2001年10月
代表者
代表取締役 宮嶌 裕二
決算期
12月
直近業績
売上高33億7000万円、営業利益9億4500万円、経常利益9億4000万円、最終利益ゼロ(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3912
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