【モバイルファクトリー決算説明会】四半期ベースで過去最高の売上高に 体験型イベントを都市部でも実施…ユーザーがリアルな友達と遊ぶエンターテインメントに進化へ


モバイルファクトリー <3912> は、1月22日、東京都内で決算説明会を開催した。同日発表した2015年12月期の連結決算は、売上高は17億5100万円(前々期単独業績比13.7%増)、営業利益は3億1400万円(同48.5%増)、経常利益は3億500万円(同43.9%増)、当期純利益は1億8500万円(同56.5%増)となった(今期が初の連結決算開示)。

『ステーションメモリーズ!』(以下、『駅メモ!』)をけん引役に位置情報連動型ゲームの売り上げが2倍超に拡大しており、売上高、利益とも過去最高を更新した。

決算説明会では、同社の宮嶌裕二代表取締役CEOが、今回発表された2015年12月期決算における注目のポイントや今後の戦略を説明した後、質疑応答が行われた。その質疑応答の内容なども踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■四半期別売上高で過去最高を更新


同社の第4四半期期間(10~12月)の業績は、売上高5億800万円(前四半期比14.9%増、前年同期比27.6%増)、営業利益は8100万円(同15.1%減、同43.8%増)、経常利益は8100万円(同15.5%減、同43.3%増)、四半期純利益は4800万円(同20.0%減、同65.9%増)となった。前年同期比(YonY)では大幅な増収増益を達成したものの、前四半期比(QonQ)では増収減益となっている。ちなみに売上高は四半期別売上高で過去最高を更新した。
 

QonQでの減益の要因は、広告宣伝比がこの第4四半期期間に大きく積み増しされたことだ。これは同社が第3四半期の決算説明会の際にも説明していた方針通りで、広告宣伝費は第3四半期期間(7~9月)の6400万円から、この第4四半期は1億2200万円とほば倍増している。
 

四半期別での過去最高売り上げを更新する原動力となったのは、前述の通り、位置情報連動型ゲームの主力タイトル『駅メモ!』が売り上げを順調に伸ばしたことだろう。『駅メモ!』を含む同社の位置ゲームの売上高は前年同期の9600万円からこの第4四半期は2億2500万円と約2.3倍まで拡大した。
 

ちなみに『駅メモ!』は、DAU(日次アクティブユーザー数)も順調に伸ばしており、決算期末となる12月は第3四半期期末の9月対比で約3割増となっているという。
 
 

■『駅メモ!』を体験型エンターテインメントに進化へ


ただ、そうした中において、同社はプロモーション効率が下がってきていることを課題として上げていた。というのも「海外メーカーを中心にかなり積極的な広告展開が行われた」(宮嶌CEO)ことで、CPI(広告媒体からのインストール一件あたりの獲得単価)が上昇傾向にあるとのこと。加えて、「プロモーションで入ってきたユーザーは、オーガニックのユーザー(自分自身でアプリを探して入ってきたユーザー)とは継続率、ARPPU(課金ユーザー当たり売上高)がかなり違う」(同)ことも分かったという。

そこで今後は、『駅メモ!』で遊ぶことを体験型イベントにする、体験型エンターテインメントに進化させるという方針のもと、従来のプロモーションを見直していくとしていた。同社は、これまでもO2Oによる地域振興イベントを位置情報連動型ゲームで手掛けてきたが、こうしたイベントをさらに多くの参加者が見込める都市部でも展開していくという。
 
▲岩手県との連携第一弾イベント駅メモ!で巡る「黄金の國、いわて。」

また、この体験型エンターテインメントに進化させることの狙いについて、宮嶌CEOは「私自身がある体験型イベントをやってみて、多くの方がカップルや友達で参加していることを実感した。ユーザーがリアルな友達を誘うような仕組みにして、今いるユーザーとは違うユーザーを獲得する」としていた。

なお、イベントは現時点で春ごろから実施することを考えているもようで、外部のパートナーと組む形などで展開するようだ。
 

■2016年春リリースの新作は現時点で保守的な予想に


2016年春にリリースが予定されている新作については、前回の決算説明会でも触れられた通り、「日本国民によく知られた某キャラクター(IP)を使用した協業タイトル」とのことだが、今回もまだ詳細は明らかにされていない。

ただ、この新作については、現時点では「2016年12月期の業績予想では保守的にみている」(宮嶌CEO)とのことで、順調なスタートを切ることができれば、業績の上ブレ要因となる可能性がありそうだ。
 

■位置情報連動型ゲームに経営資源を集中へ


なお、2016年12月期通期の予想は、売上高18億8800万円(前期比7.8%増)、営業利益4億6000万円(同46.6%増)、経常利益4億6000万円(同50.5%増)、当期純利益2億9900万円(同61.6%増)としている。この予想の前提は、前述の通り、新作は保守的な数字、『駅メモ!』の売り上げが増加、『駅奪取』は横ばい、スマートノベルは縮小とのこと。スマートノベルについては、新規のイベント配信を行わず、新作も開発しない方針で、位置情報連動型ゲームに経営資源を集中させていくもようだ。
 
 

■まとめ


「『駅メモ!』を体験型エンターテインメントに進化させる」→「体験型のイベントで新たなユーザー層の獲得を目指す」ということは、昨今、各社がエンゲージメント重視の展開を打ち出し、リアルイベントなどを続々と開催していることと、ある意味同一線上の考え方なのではないだろうか。

ただし、同社の場合は、位置情報連動型ゲームという、リアルに密接したタイトルを手掛けていることが、より有利に働く可能性はある。また、地域振興イベントとして多くのO2Oイベントを手掛け、岩手県という自治体との実績も持っていることは今後プラスになってくることも予想される。

今年は、ポケモンの『Pokémon GO』もサービス開始が予定されており、位置情報連動型ゲームの盛り上がる1年となるのか、注目されるところだ。

 
(編集部:柴田正之)

 
株式会社モバイルファクトリー
http://www.mobilefactory.jp/

会社情報

会社名
株式会社モバイルファクトリー
設立
2001年10月
代表者
代表取締役 宮嶌 裕二
決算期
12月
直近業績
売上高33億7000万円、営業利益9億4500万円、経常利益9億4000万円、最終利益ゼロ(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3912
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