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【セミナー】専門学校HALでオーディオミドルウェア「Wwise」を用いたコースを解説。KLab、Audiokineticとのコラボで実現した特別講義をレポート

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IT・デジタルコンテンツ分野のプロを育成する学校法人・専門学校 HAL東京ではミュージック学科(関連サイト)を主な対象として、オーディオミドルウェアの「Wwise」を活用したゲームサウンドデザインの授業を実施中だ。講師をつとめるのはソノロジックデザインの牛島正人氏で、日本人で初めてオンライン認定試験の「Wwise 101 certification」で認定を受けた人物。2015年11月から2016年2月まで、週1回のペースで実施されている。
 

▲会場となったHAL東京校

この授業枠で2016年1月28日に、日本のゲームオーディオ分野における人材教育の発展のため、ゲスト講師を招いた特別講義が行われた。講師をつとめたのはWwiseを活用したモバイルオンラインゲーム開発を行っているKLab<3656>のサウンドクリエイター磯田泰寛氏と、 HAL卒業生でサウンドデザイナーの菅野広太氏。そしてWwiseの開発元であるAudiokinetic社エバンジェリストの田島政朋氏だ。
 

▲ソノロジックデザイン・牛島正人氏


▲KLab・磯田泰寛氏


▲サウンドデザイナー・菅野広太氏


▲Audiokinetic・田島政朋氏

講義は冒頭、牛島氏がWwiseを用いたダッキングの設定についてデモを交えながら解説した後、磯田氏と菅野氏にバトンタッチ。同社が開発・運営中のモバイルオンラインゲーム『BLEACH Brave Souls』を題材に、Wwiseを用いてどのように効果音の設定が行われているか、その実例が紹介された。その後、田島氏がより俯瞰的な視点からゲームオーディオの仕事や、就職活動のコツなどについて解説した。

 

■KLabのクリエイターがモバイルオンラインゲームでのサウンド制作を直伝


ゲームオーディオの最大の特徴はプレイヤーの操作によってサウンドが変化するインタラクティブ性だ。そのためにはサウンドクリエイターが制作した音素材をプログラマーが組み込み、ゲームの展開によって適切なサウンドが再生されるようにする必要がある。しかし、いちいちプログラマーの手をわずらわせていては、細かい調整を短時間で行うことは難しい。そこで登場してきたのが、Wwiseのようなオーディオミドルウェアだ。
 

▲学生を周りながら講義を行う牛島氏
 

▲一人一台の潤沢な学習環境を用意

冒頭の講義では、牛島氏よりWwiseに同梱されたサンプルFPS『Qube』を題材に、ショットガンを発射するとBGMなどの音量が低下する、いわゆる「ダッキング」処理のあらましが解説された。Wwiseではダッキング処理はサウンドデザイナーがツール上で手軽に設定でき、実際に操作して音を確かめながら、モニター上で細かく設定できる。学生たちも実際にPC上でパラメータを調整しながら、ダッキングの効き具合を確かめていた。

続いて磯田氏は「WwiseとUnityを用いたモバイルオンラインゲームのサウンド演出」という講演をおこない、KLab流の効果音の付け方について解説した。磯田氏はモバイルオンラインゲームは▽プラットフォーム(スマホ・タブレット)の種類が非常に多い▽データダウンロードがある▽機能追加・アップデートが頻繁にある▽担当者が変わるーーため、「運用期を見据えたサウンド設計を行うことが重要」だという。

具体的な作業フローは下記の通りだ。今回は『BLEACH Brave Souls』を題材に、キャラクターの攻撃モーションに対して効果音を設定するやり方について解説が行われた。

本作の題材となった「BLEACH」は、集英社が発行する少年漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』で人気連載中の剣戟バトルアクションコミック。2001年の連載より絶大な支持を集め、コミックスは70巻(2015年12月現在)で累計8400万部を超えている。TVアニメーションは2004年から2012年3月まで放送され、これまでに劇場版も計4作が公開された。また、日本だけでなく海外での人気も非常に高く、その人気はまだまだ広がり続けている。

そして、スマホ版『BLEACH Brave Souls』はゲームエンジンのUnityを用いて開発されており、効果音についても講演タイトルどおり、WwiseとUnityとの連携を前提としたフローになっている。なお、他のサウンドについても大まかな考え方はこれと同様の手順で設定されている。
 

▲必用な音素材をリストアップする磯田氏

①ゲームの仕様確認や企画との打ち合わせを通して必用な音素材をリストアップする。
②オーディオツールを用いて音素材を作成する。
③作成した音素材をWwise上に登録する。
④Unity上でWwiseに登録した音素材を呼び出し、キャラクターのモーションにあわせて効果音が再生されるタイミングを決めていく。
⑤バランスを調整する。
⑥サーバにアップロードして実機で確認する。
⑦企画の最終チェック
⑧ユーザーに展開する。


はじめに磯田氏はキャラクターの攻撃モーションで、実際にどのような音素材が必用になるか、リストアップしていくところから解説を始めた。単純に攻撃モーションといっても、武器の種類や威力によって、さまざまな打撃音が必用だ。他に足音、衣擦れの音、必殺技など、考える要素はたくさんある。これらの音素材がキャラクターごとに必用だ。これらをゲームの仕様や企画との打ち合わせを通して決定していく。

もっとも、常に同じ効果音が鳴っているだけでは、プレイヤーに飽きられてしまう、そこで必用になるのが、再生ごとに微妙にピッチが変化したり、一定の割合で鳴ったり、鳴らなかったりする演出だ。また本作は3DアクションRPGなので、距離に応じて効果音が減衰していくような処理も求められる。一方でたくさんの音が同時に鳴りすぎて、何の音が鳴っているかわからなくなってしまわないように、発音数を適切に制限する処理も必用だ。
 

▲実際の開発画面を紹介しながら解説

こうした複雑なサウンド演出も、Wwiseであればサウンドクリエイターが手軽に設定できる。磯田氏は似たような系統の効果音をまとめて、効果音のライブラリをWwiseに作成しておくと説明した。その上でUnityのコンテナにまとめていく。オブジェクトごとの同時発音数はBGMを除いて最大2音で、後から鳴った音が前の音を打ち消す設定がなされている。効果音のビットレートは64kbpsだが、Wwiseでは圧縮効果が良く、128kbpsと変わらない音質が保てると評価した。

Wwise側の下準備ができたところで、いよいよUnity上で効果音をつけていく。キャラクターの攻撃アニメーションをエディタ上で再生しながら、武器を構えるとき、足を踏み出したとき、武器を振り下ろしたときなど、必用なタイミングに応じて適切な効果音を設定していく。磯田氏はこの時「足音や衣擦れの音といったように、小さな音から順番につけていくと、細かいところまで気が配られた厚みのある効果音がつけられる」と伝授した。
 

▲Unity上でモーションにあわせて効果音音をつけていく
 

▲実際にプレイしてみて、効果音の鳴り方を確認する

なお、この時に「はっ!」「ふんっ!」といった、事前に収録された声優のボイス音も同時に設定していく。もっとも、常に同じボイスが鳴るとしつこく感じられるので、複数の収録ボイスの中からランダムで鳴るようにしておき、その上で70%くらいの再生率に留めるのが良いと解説した。また「効果音は『ギュインバシュバシュバシュ!』などと、実際に口で喋りながら作ると良いです」と補足した。

最後に磯田氏は「先人の知恵はフリー素材なので、積極的に使っていこう」と呼びかけた。しばしば若手は経験不足だと言われるが、ゼロから知見を積み上げるしかなかったベテランと比べて、今日ではさまざまな知見が存在し、それらを検索して使うことができる。「これが後から行くものの特権です。どんどん先人の知恵を活用し、より優れたゲームオーディオを実現していきましょう」(磯田氏)

 

■Wwiseを学ぶことが就職にも役立つこれだけの理由


特別講義の後半部分で講師をつとめた田島氏は、大手ゲーム会社のサウンドクリエイターから転職し、Wwiseのエバンジェリストとなった人物だ。そんな田島氏も「時間軸に沿った音付けができる映画などと異なり、ゲームは操作によって鳴る音が異なるため、イベントベースのサウンドミドルウェアが必用」とWwiseの重要性を強調した。なお、ここでいう「イベント」とは、銃声が鳴る、打撃音が発生する、といったゲーム内の特定処理のことだ。
 

▲Wwiseの主要採用タイトル群

こうしたミドルウェアが活用されるようになった背景として、田島氏はゲームの大作化と分業化をあげた。開発予算が数十億円から百億円以上にも及ぶゲームが登場するようになった昨今、すべての開発工程を社内ですませることは不可能で、他社との協業を行うためには共通の開発ツールが不可欠となる。特にオーディオ分野では、ミドルウェアの活用によってサウンドクリエイター主導で音付けができる時代になってきたと分析した。
 

▲Wwiseの使用経験が記された求人ページ

こうした変化は求人にも現れているという。海外だけでなく国内の求人票でも、サウンドミドルウェアの使用経験が記される例が増えているほどだ。またWwiseが実施する「Wwise 101 certification」にパスすると、オンライン上の「クリエイターズディレクトリ」に名前を登録できる。そのため開発会社に参照される可能性が高まり、就職に繋がるとメリットを協調した。

続いて田島氏はゲームオーディオの業務区分について説明した。一言でゲームオーディオといっても、今日では▽オーディオディレクター▽コンポーザー(作曲家)▽サウンドデザイナー▽インプルメンター(実装)▽ダイアログ(ボイス)エディター▽MA(シネマティック)ーーなどと、細分化される傾向にあるという。世界的に活躍するクリエイターも多く、『Halo5』のBGM作曲を手がけたコンポーザーの陣内一真氏はその一人だ。
 

▲人によって割合の異なる実務作業

また、同じ役職であっても社員かフリーランスかで、職務内容も異なってくる。田島氏はサウンドデザイナーの職務内容を▽打ち合わせ▽サウンドデザイン▽MA▽実装▽バグチェックーーの5種類に分け、ゲーム会社勤務だった当時を振り返って、打ち合わせ(5%)、サウンドデザイン(25%)、MA(10%)、実装(30%)、バグチェック(30%)の割合だったと説明した。

これに対してフリーランスの牛島氏は、打ち合わせ(20-25%)、サウンドデザイン(50-60%)、MA(10-15%)、実装&バグチェック(5-10%)という割合だと説明。そのうえで「リテイクが増えるとクライアントとの信頼関係を損なってしまうため、事前の打ち合わせを綿密に行う」「空き時間を利用してさまざまなサウンドを作成し、ライブラリを充実させる」ことに留意していると話した。
 

▲就職活動には戦略的に臨むことが重要

最後に田島氏は就職活動のポイントについて補足した。今も昔もゲームオーディオはプログラマーやアーティストに比べて求人が少なく、狭き門なので、工夫が必要だと指摘。通常の「卒業制作」「履歴書送付」「面接」というステップ以外にも、インターンやボランティアでの映画制作など、さまざまなやり方を試すべきだと解説した。実際に田島氏はつてを頼ってハリウッドの映像制作スタジオに飛び込み、現在のキャリアにつなげたという。
 

▲ルーカス曰く「体験の半分は音」だ

また昨今ではインディーズゲームの展示会などに行き、サウンドの提供を持ちかけるのも手だとした。ゲームがヒットしなくても、そうした作品を成果物として面接にのぞめば、より就職しやすいというわけだ。その上で、昨今のインディゲームではUnityが使用されている例が多く、Unityとの連携が容易なWwiseの活用が適していると分析。ジョージ・ルーカスの「体験の半分は音だ」という言葉を引用しつつ、ぜひ活用して欲しいと呼びかけた。
 

▲最後に全員で記念撮影
 
(取材・文:小野憲史)
 

©久保帯人/集英社・テレビ東京・dentsu・ぴえろ
©KLabGames
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企業情報(KLab株式会社)

会社名 KLab株式会社
URL http://www.klab.com/jp/
設立 2000年8月
代表者 真田哲弥
決算期 12月
直近業績 売上高195億6600万円、営業利益12億7400万円、経常利益8億3000万円、当期純損益8億1400万円の赤字(2016年12月期)
上場区分 東証一部
証券コード 3656

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