【インタビュー】2周年を迎えたガンホーの意欲作『サモンズボード』がさらなる進化を遂げる 全く新しい独自のマルチプレイも今秋実装予定

ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>の『サモンズボード』が、2016年2月10日にサービス開始から2周年を迎えた。 

本作は、4×4マスのボード上でモンスターを縦横無尽に動かしダンジョンを攻略する、完全オリジナルのスマートフォン向けボードゲーム。プレイヤーはモンスターを使い、一度に複数の攻撃を仕掛ける「コンボ」を駆使し、時には「スキル」を発動させながらダンジョンの最奥をめざし、各フロアを攻略していく。スマートフォンならではの直感的でシンプルな操作性でありながら、奥深い戦略性が魅力である。
 
そんな本作だが、2015年5月以降、テレビCMを開始したことが奏功し、同年10月時点で400万ダウンロードを突破。その勢いは3年目を迎えた今でも衰えることなく、2016年2月には450万DLを突破し、さらなる新規コンテンツの実装も予定されている。
 
本稿では、ガンホーから『サモンズボード』のプロデューサー・荻原智氏に、これまでの振り返りやユーザー層の特徴を皮切りに、より遊びの幅を広げる新規コンテンツの情報に加え、絶賛開発中であるマルチプレイの現状についてお聞きしてきた。

 

■業界内・海外からも高評価続出 3年目を歩き出した『サモンズボード』の今後を訊く



ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
『サモンズボード』プロデューサー
荻原智氏 


——:本日はよろしくお願いいたします。荻原さんには、これまでサービス開始当初(関連記事)、『メルクストーリア』コラボ(関連記事)などでお話を伺ってきました。2周年を迎えて、率直な感想はいかがでしょうか。

激動でしたね。


——:ははは(苦笑)
 
1年目は、ランキングバトルの改修やモンスター討伐、テクニカルダンジョンなど、基本システムの拡充に努めてきました。2年目は、新タイプや新しい編成、やり込み要素など、遊び方の拡充に注力していった形です。そして3年目は、ユーザビリティ向上はもとより、新しい進化した遊び方を提供していきます。


——:サービス開始から2年、個人的にあっという間に過ぎていった印象です。


サービス開始当時を振り返ると、そもそも新機軸のゲーム性として打ち出そうとしていたので、果たしてユーザーさんから受け入れられるのかが心配でした。

結果として、テレビCMの効果やゲーム内コンテンツの拡充などにより、着実にコアなゲームファンが増えていったので嬉しく思います。ありがたいことに、同業の開発者の方々からの評価も高く「ゲーム性が良く出来ている」と声をかけていただいたほか、Google Playが選ぶ年間ベストゲームで「2014」「2015」と2年連続で受賞しました。



——:ユーザー層についてはいかがでしょうか。テレビCMの効果により層にも変化が出たのではありませんか。

年齢層については10代後半から20代、30代前半の層が厚いです。ただ、テレビCM放映後は、20代後半から30代前半のボリュームが増えてきた印象です。若い世代は情報リテラシーが高いため、ガンホーの新作と聞いて『サモンズボード』のことを知ってくださっていたのですが、じつは高い年齢層の方にはテレビCMを開始したことがきっかけで認知が広がったという印象です。

テレビCM第1弾は、ただただ“考えるゲーム性”を突き詰めたシンプルかつインパクトのあるクリエイティブにしたので、それこそ昔コンシューマでシミュレーションゲームが好きだった年齢層の高いユーザーさんが増えたのかなと思います。その後、俳優のムロツヨシさんを起用したテレビCM第2弾は、少しキャッチーでカジュアルな路線に変更した甲斐もあって、年齢層がなだらかになり幅広いユーザーさんに知っていただけました。

 


——:なるほど。 ライト・コア、双方のユーザーが楽しめるようなゲームバランスが構築出来ているのですね。

そうですね。2周年を迎えたいまでは、そのあたりのゲームバランスはより一層気を配らなければいけないと思っています。コアユーザーさん向けには、ランク150以下の人はプレイできない高難度の滅級ダンジョンを実装したのですが、それでもクリアーする人が出てきて(笑)。ただ、変化としては、これまで『サモンズボード』ではあまり攻略動画というものの投稿が多くなかったのですが、滅級ダンジョンの実装を機に増えてきたのです。もともと思考型の考えるゲームでしたので、クリアー動画が出てくるのは嬉しいことです。

その後も、エリアをクリアーしていく毎に難しいエリアが出現するトルブクガスの塔というダンジョンを実装しましたが、さすがにこれには多くのユーザーさんが苦戦しているみたいです。逆に、今度はそのダンジョンの最上層のクリアーが目標となり、プレイに対するモチベーションも上がっていきましたし、年末年始もその話題でゲーム内は持ち切りでした。



——:先日の公式ニコニコ生放送では、数々の新機能について発表されました。改めてですが、順を追ってご説明いただければ幸いです。
 
■スタミナ0のお試しダンジョン<春実装予定>
一見地味な実装ですが、ユーザーさんからは多くの要望があった機能のひとつです。キャラクター数が増えてきているなかで、やはり色々な編成や動かし方、ダメージの確認など、パーティーごとで確認したいものです。言わばトレーニングモード的な位置づけで、スタミナ0のお試しダンジョンとして、気軽にパーティー編成を確認できるメリットがあります。


■交換所(仮)<春実装予定>
交換所(仮)ではふたつの機能を検討しています。まずコインでダンジョンを購入できること。これは、ユーザーさんが自分のタイミングでプレイしたいダンジョンを選ぶことができます。ふたつ目は、余ったモンスターをサモンクリスタル(仮)に変更して、交換所(仮)で新たなアイテムと交換できます。





■覚醒(仮)<夏実装予定>
いわゆる将棋で言うところの“成り”ですね。たとえば、バトル中に特定の条件を満たすと、覚醒できるようになり、見た目やスキル・パラメータが変化するような形です。条件は現在調整中ですが、○ターン経過、○コンボ達成、敵を○体撃破など、色々考えています。この覚醒(仮)を実装することで、編成のバリエーションも増えますし、なによりゲームプレイの面白味がガラリと変わっていくと思います。





——:最後の大逆転など、とても話が広がる新機能ですね。そういえば、秋以降にマルチプレイも実装されるとのことですが。

ええ。今日はプロトタイプを持ってきていますので、それをもとに説明していきます。ただ、UIやルールを含めた仕様などは、今後変更する可能性が十分に高いのでご注意ください。
 
現在のバージョンでは、2人〜4人でダンジョン攻略が楽しめる協力プレイとなっています。協力プレイのクエストをこなすことで、何か特別な報酬が得られるといった内容と考えています。
 
ルールはいくつか検討しています。たとえば、ひとつは自分のキャラクターしか動かせないバージョン。集中してバトルに臨める反面、ほかのプレイヤーを待っている時間が長かったり、もし倒れた場合も待っているだけだと退屈だったりと、テンポの悪さに懸念を抱いています。もちろんライフを共通にすれば、ひとりだけが倒れる心配はありませんが。
 
続いて、自分のターンのときに、自身のキャラクターだけではなく、ほかのプレイヤーのキャラクターも動かせたらどうなるかと検証しています。1人でプレイする感覚に近い形ですが、戦略が重要なゲームなので1ターンごとにプレイヤーが変わることで、戦略を立てづらいかもと注視しています。

 

——:たしかに。単純に見えて、“マルチプレイならでは”の要素を見つけるのは難しいですね。

例えば全員が一斉に動かせるようにしても面白そうですよね。


——:それぞれ手持ちのキャラクターを、1ターンのなかで4人全員が動かす……ということですか?(笑)

そうです。全員が一斉に動かして、それぞれ場所が決まったら次に進行していく感じです。パーティー感覚にはなりますが、協力プレイとしては新機軸で面白いのかなと思います。同時に動けるので、ルールやゲームバランスについては突き詰めていかないといけませんが、硬派な通常モードとは異なる新鮮な遊び方として、ゲーム全体の間口が広がるのかなとも考えています。


——:面白いですね。たとえば、瀕死のキャラクターに対しては、「危ないから下がっていて」「こっちが前に出るよ」など、1ターンのなかで交流を経て的確な立ち回りも目指せますよね。

そうです。画面下にはエモーション(感情表現)を用意するなど、離れている人同士でも一定のコミュニケーションを取りながらバトルを進めることができる形を考えています。

まだマルチバトルに関しては正式な仕様は決まっていませんが、『サモンズボード』が持つ戦略性をベースに考えると、本当に色々な可能性やアイデアが生まれてくるのかなと思います。ひとつのことに囚われずに、全く新しい独自のマルチプレイ体験を提供していきます。実装は秋頃を目標に進めています。



——:協力プレイもいいですが、対戦(PvP)のほうも期待しちゃいます。先ほどの覚醒(仮)といい、『サモンズボード』はe-sportsタイトルとしても愛称が良さそうだと思うので。

対戦のこと、聞いちゃいます?(笑)。じつは各方面からよく聞かれますが、無いとは言っていないですね……。まあこちらに関しては(苦笑)。


——:分かりました、いずれ(笑)。また、直近では繁体字版を台湾・香港・マカオでリリースされましたね。

はい。Gamania International Holdingsとガンホー社によるジョイントベンチャーGungHo Gamaniaを通じて、2016年1月26日より配信開始しました。『サモンズボード』にとっては初の海外版となります。


——:先日開催された「台北ゲームショウ2016」にもブースが出展されました。荻原さんも訪れていたとのことですが、現地の反響はいかがでしたか。
 

▲会場の模様

凄かったです。もう一年分の握手と写真撮影を求められて、芸能人か何かだと勘違いしそうでした(苦笑)。じつは、現地のみなさんは繁体字版がリリースされる前から、すでに日本語版で遊んでいる方が多くいらっしゃっていました。それこそランク600〜700の方や、日本でも有名なギルドのマスターなど、本当に驚きました。当日会場にも行きましたが、みなさん「これからも頑張ってください」「応援しています」と日本語で声もかけていただきました。

現在はリリースしたばかり、加えて向こうは旧正月を迎えたばかりでしたので、本格的なプロモーション施策は行っていませんが、かなり調子がよく着実にユーザーさんの数が増えてきていると聞いています。ただ、向こうの市場は飽きられやすく離脱率が高いので、そのあたりを長期で楽しんでいただけるような運営施策に努めていきたいと思います。



——:それでは、最後に3周年に向けて今後の展望について教えてください。

今年は“進化”の年にしていきます。先ほどお話しした新機能はもちろん、遊び方という意味でもドキドキやワクワクを提供できる一年間になるかと思います。ちょっと歩みは遅いかもしれませんが、しっかり遊べるようなコンテンツを開発しておりますので、あとは3周年に向かってひた走っていくのみです。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。


——:本日はありがとうございました。
 

▲本稿では、荻原氏のご厚意で「天冥のバビロニア」シリーズの5体から、狩猟の神ニンギルスの進化解放「戦場の神ニンギルス」のイラストを公開。

【戦場の神ニンギルス】

(取材・文:編集部  原孝則@hara_tatsu


■『サモンズボード』
 

Google Play

App Store



(C) GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
http://www.gungho.co.jp/

会社情報

会社名
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
設立
1998年7月
代表者
代表取締役社長CEO 森下 一喜
決算期
12月
直近業績
売上高1253億1500万円、営業利益278億8000万円、経常利益293億800万円、最終利益164億3300万円(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3765
企業データを見る