【矢野経済研究所調査】2014年度の国内スマホゲーム市場は8,950億円 メーカーの二極化と寡占化が進む 16年度の市場は9,450億円に安定成長へ

矢野経済研究所は、2015年10月~2016年2月を調査期間として、国内主要スマートフォンゲームメーカーを対象に国内のスマートフォンゲーム市場の調査を実施した。調査方法は、同社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査が併用されている。

<スマホゲームとは>
本調査におけるスマートフォンゲーム(以下、スマホゲーム)とは、スマートフォンデバイス上で作動するゲームアプリケーションを指し、ネイティブゲームアプリやブラウザゲームなどを対象とした。

<スマホゲーム市場とは>
本調査におけるスマホゲーム市場規模は、アプリ内アイテム課金を含むユーザー課金の合計金額で算出し、広告収入は含まない。

(以下、プレスリリースより)
 

【調査結果サマリー】


◆2014年度の国内スマホゲーム市場は8,950億円、前年度比159.8%と大きく伸長
2014年度の国内スマホゲーム市場規模(メーカー売上金額ベース)は、前年度比159.8%の8,950億円と大きく伸長した。2012年リリースの『パズル&ドラゴンズ』、2013年リリースの『モンスターストライク』などのゲームアプリの人気が継続し、市場を大きくけん引した。スマホゲームの市場規模は、2011年度には480億円程度に過ぎなかったが、わずか4年の間に急拡大している。

◆スマホゲームメーカーの寡占化が進む
スマホゲームを取り巻く環境は非常に速いスピードで変化しており、今後も新たな手法で人気を集めるゲームが登場する可能性は十分ある。しかし、現在の市場環境では家庭用ゲーム機向け開発と同等の技術力が求められ、さらに開発期間の長期化に伴うコストの増大や人員の確保、開発ライン数の多さなどが必要条件となっている。これらの要件を満たすことのできる企業は限られており、有力なコンテンツを有するゲームメーカーの市場における寡占化が進むと考える。

◆国内スマホゲーム市場は安定成長を続け、2016年度は9,450億円と予測
国内スマホゲーム市場については、家庭用ゲームメーカー各社がスマホゲーム開発へとシフトし、自社の有力コンテンツを積極的に展開して人気を博していることや、2016年には家庭用ゲームの最大手メーカーの参入が予定されており、既存ヒットアプリの人気減少をその他の勢力でカバーできる環境は整っている。2015年度以降も市場は安定的に成長を続け、2016年度の国内スマホゲーム市場規模(メーカー売上金額ベース)は前年度比102.2%の9,450億円に達すると予測する。

◆資料体裁
資料名:「スマホゲームの市場動向と将来性分析 2016」
発刊日:2016年2月10日
体裁:A4判199頁
定価:120,000円(税別)
 

【調査結果の概要】


1.市場概況
2014年度の国内スマートフォンゲーム(以下、スマホゲーム)市場規模(メーカー売上金額ベース)は、前年度比159.8%の8,950億円と大きく伸長した。2012年リリースの『パズル&ドラゴンズ』、2013年リリースの『モンスターストライク』などのゲームアプリの人気が継続し、市場を大きくけん引した。スマホゲームの市場規模は2011年度には480億円程度に過ぎなかったが、わずか4年の間に急拡大している。

スマホゲームの黎明期から人気となったゲームアプリの他にも、家庭用ゲームの大手ゲームメーカーが本格的な参入を果たしたことや、ユーザーの使用する携帯電話がフィーチャーフォンからスマートフォンへと移行する中で、携帯電話用ゲームもフィーチャーフォン向けブラウザゲームからスマホゲームへとスムーズに移行していった結果、スマホゲーム市場は大幅に伸長している。

図1.国内スマホゲーム市場規模推移と予測



注1:メーカー売上金額ベース
注2:2015年度以降は予測値
注3:市場規模は、アプリ内アイテム課金を含むユーザー課金の合計金額で算出し、広告収入は含まない。

2.注目すべき動向
2-1.家庭用ゲームの大手メーカー各社のスマホゲーム開発へのシフトが続く
2014年度の国内スマホゲーム市場は、スマホゲームの黎明期から人気となったゲームアプリが幅広いユーザー層に支持されたことで市場が急拡大した。リリースから数年を経過した現在においてもその人気は高い水準を保ち、2015年度も同様の傾向にある。今後、これまで市場をけん引してきた『パズル&ドラゴンズ』、『モンスターストライク』の2タイトルのゲームアプリに関しては、徐々に人気が下降していくとみられるが、株式会社コナミデジタルエンタテインメントや株式会社カプコン、株式会社スクウェア・エニックスなどの家庭用ゲーム機向けゲームを主力としていたゲームメーカーがスマホゲーム開発へとシフトし、自社の有力コンテンツを積極的に展開して人気を博していることや、2016年には家庭用ゲームの最大手メーカーである任天堂株式会社の参入が予定されており、既存ヒットアプリの人気減少をその他の勢力でカバーできる環境は整っている。

2-2.スマホゲームメーカーの二極化と寡占化が顕著に
スマホゲームを取り巻く環境は非常に速いスピードで変化しており、今後も新たな手法で人気を集めるゲームが登場する可能性は十分ある。しかし、現在の市場環境はこれまでのように少ない資本で多くのリターンが得られる状況では決してなく、家庭用ゲーム機向け開発と同等の技術力が求められ、さらに開発期間の長期化に伴うコストの増大や人員の確保、開発ライン数の多さなどが必要条件となっている。これらの要件を満たすことのできる企業は限られており、今後は小規模事業者の淘汰と同時に、有力なコンテンツを有するゲームメーカーの市場における寡占化が進むと考えられ、「弱者はより弱者に、強者はより強者に」という構図が鮮明となっている。

2-3.スマホゲームとヘッドマウントディスプレイとの連動の可能性
スマホゲームとバーチャルリアリティ(以下、VR)を体感できるヘッドマウントディスプレイ(HMD:HeadMountedDisplay)との連動なども模索され始めている。VRコンテンツがすぐにスマホゲーム市場拡大への足掛かりになることはないだろうが、2~3年後を見据えた各企業の取り組み次第では、スマホゲームへの付加機能のひとつとして十分に活用され、新たなゲーム性が生み出されていくと考える。

3.市場予測~再び海外市場に注目が集まる
国内のスマホゲーム市場では、これまで市場をけん引してきたゲームアプリの人気が徐々に下降していくとみられるが、ゲームメーカー各社から有力なコンテンツを搭載したアプリが複数リリースされ、それらが一定の人気を博して市場を下支えすると考え、2016年度の国内スマホゲーム市場規模(メーカー売上金額ベース)は前年度比102.2%の9,450億円に達すると予測する。

また、海外市場では、東アジアや東南アジア、中近東、南米などの新興国で今後も一層のスマートフォンの普及が見込まれるほか、特にアジア諸国については日本との文化的な親和性が高いため、今後も現地企業との提携や協業を前提としたスマホゲームの開発や市場への投入が進んでいくと予測する。

スマホゲーム市場が立ち上がって以降、海外市場へ参入するゲームメーカーはこれまで複数社あったが、いずれも現地への継続的なゲームアプリの投入には至っておらず、市場参入と撤退を繰り返す状況にあった。現在では、これらの経験を活かし、より地域ごとの文化に合わせた仕様に変更したゲームアプリを投入する傾向が強まっており、株式会社スクウェア・エニックスの中国向け『乖離性ミリオンアーサー』など成功事例と呼べるゲームアプリも誕生している。今後は、有力な現地法人と協業したゲームアプリを含め、様々な日系企業のスマホゲームが海外へ展開されていくものと考える。