【インタビュー】アプリ開発者必見のツール「Tapjoy」の魅力とは? メディエーション連携による進化の裏側に迫る!

 
アプリデベロッパーのアプリ内アクション率向上と収益最大化を実現するマーケティングオートメーション・プラットフォームで高い評価を得ている「Tapjoy」(タップジョイ)。Tapjoyの提供するユーザー分析機能は、2014年に買収した5Rocksのデータサイエンスを採用しており、5Rocksが事業展開を注力していた日本・韓国を含む、グローバルで多くのアプリデベロッパーが採用するサービスとなっている。
 
今回、そんなTapjoyが、動画広告においてメディエーションプラットフォーム各社との連携を開始した。
 
本稿では、タップジョイ・ジャパンの佐藤康雄氏と、村上雅一氏にインタビューを実施。始まったばかりの動画メディエーション機能や、大きく利用が進んでいるマーケティングオートメーション機能について、まだまだスマートフォン向けリワード広告プラットフォームのイメージが強く残るTapjoyが、どのようにしてサービスの幅を広げ、推移してきたかを伺ってきた。
 
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■アプリ開発やマーケティングに必要なツールを一本化するまで

 
 
タップジョイ・ジャパン株式会社
事業開発・アドセールス / 執行役員
佐藤 康雄 氏(写真左)
 
タップジョイ・ジャパン株式会社
デベロッパービジネス / 執行役員
村上 雅一 氏(写真右)


――:まず始めに、お二人の自己紹介を兼ねて、経歴や主な業務内容を教えてください。
 
佐藤康雄氏(以下、佐藤):以前は韓国5RocksのJapan Country Managerを務めていましたが、Tapjoyが2014年8月に5Rocks社を買収したことに伴い、Tapjoyにジョインしています。Tapjoyは、集客やアプリ広告によるマネタイズ支援を事業領域としていた以前のTapjoyと、アプリの分析や運営の支援を行っていた5Rocksを統合することで、現在のサービスを誕生させています。
 
 
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佐藤:私個人としては、2015年1月からビジネス開発および5Rocksの事業統括を経て、今年1月からはアドセールスの責任者もあわせて務めさせていただいております。

 
 
村上雅一氏(以下、村上):私は、これまでパブリッシャーへのアドセールスと、デベロッパーの開拓という二面を担っていました。今年の1月からは先述した通りアドセールスを佐藤に任せて業務を分担し、ひろくデベロッパービジネスおよびプラットフォーム運営に注力しています。
 
 
――:Tapjoyと5Rocksが統合されてから、サービスへの周りの反応はいかがでしょうか?
 
佐藤:2015年3月にアメリカのサンフランシスコで行われた「Game Developers  Conference 2015」に合わせてサービスを統合したのですが、それまで両社が提供していたサービスに加えて、新機能を追加する形態でサービスローンチをしました。統合から一年ほど経過しましたが、おかげさまでお客様からの反応はとても好評で、頂戴するご意見もポジティブなものが多く、良好と捉えております。
 
――:具体的な要因はどこにあるとお考えですか。

村上:サービス内容に関して言うと、元々Tapjoyは、広告主として広告を出稿して集客する機能と、メディアとしてTapjoyで広告をマネタイズするという二つの機能しかありませんでした。一方、5Rocksでは、アプリの分析と課金に繋げるためのマーケティングオートメ―ション機能を提供していました。この二つのサービスを統合させることで、アプリ開発者が必要とする機能がひとまとめにされているので、「マーケティングコミュニケーションをやりたい」、「アドマネタイズをやりたい」など、どこかで声が掛かれば話を聞いていただいて、結果的に「すべて導入したい」と行きつく流れが良い効果として出てきている気がしますね。
 
▲現状のTapjoyのサービスポートフォリオ。
 
佐藤:提供できるサービスのポートフォリオが充実してきたことで、お客様にとってのTapjoyを使用する理由や接点が増えたことが要因だと考えています。ご利用いただくサービスの範囲が広がっているだけでなく、これらがすべてぶつ切りではなく一連で繋がっているのもTapjoyの強みだと考えています。有意なユーザーセグメントが特定できれば、ユーザーに対しての分析やマーケティングオートメーションが効果的に実行可能となり、さらには広告を使ってのマネタイズまでの一連がTapjoy ひとつで実現できるようになってきているんです。
 
 

■外さないターゲッティング 動画広告の魅力とは?

 
――:続いて、昨今、動画広告が増えてきているという変化についても考えをお伺いしたいのですが。
 
佐藤:ひとつは、広告主が費用対効果を見る傾向が強くなってきたこと。動画広告経由で獲得できるユーザーのパフォーマンスが良いと言われていますが、実際にその通りの結果が出てきています。あとは、動画広告を実施できる環境が整ったということも大きな要因だと思います。端末としてスマートフォンが登場したときに、動画広告との相性が良くなってきていると感じたのですが、当時は画面のサイズが4インチ程度だったところ最近ではさらに5~6インチのものまで販売されていて、見る側としても迫力があるし分かりやすいですよね。また、日本だと既にネットワーク環境が整っているのも要因として挙げられると思います。
 
 
 
――:動画広告が普及してきたことについて、デベロッパーさんからの対応の変化などはありましたか?
 
村上:まず、単純なところで言うと、問い合わせの数が非常に増えております(笑)。その中でも、質問がより踏み込んだ内容になっておりますので、実装を前提に動いておられたり、既に具体的な検討段階に入られているところが増えているのではないかという印象を受けました。
 
――:先ほど、動画広告経由で獲得できるユーザーのパフォーマンスが良いと仰られましたが、その背景にはどういった理由があるのでしょうか。
 
佐藤:これまでよりもゲームの中身を理解したうえでダウンロードしているユーザーが多いこともあって、実際にそのあとの利用意向が高い傾向になっています。広告主の立場からみた場合、今まではアイコンやバナーだけだったものが、動画広告が出てきてからは、「自分たちのゲームがこれだけ面白いんだ」ということをアピールできる環境になったことは、パフォーマンス向上の大きな要因になっていると考えています。
 
――:作品に興味のあるユーザーを確実に獲得できるということですね。動画広告を掲載する時期による変化や特徴はあるのでしょうか?
 
佐藤:新規ユーザーを獲得するためのプロモーションと並行してという形になりますが、最近は一度ゲームを遊んでくれたユーザーを引き戻すための施策についてのご相談を多くお受けしています。アプリをリリースしてしばらく経過してから、その目的のために動画広告を掲載されることも多いですね。Tapjoyの分析機能を使っていただければ、有意な利用傾向のユーザーセグメントを特定できますので、同ユーザーセグメントを活用してリターゲティングを行い戻ってきてもらうことも可能です。
 
 
村上:一方で、メディアとして広告実装する場合の話をさせていただくと、アプリのリリース時からTapjoyを導入していただけるのがベストですね。その理由は、動画広告を実装することを考えずに作られたアプリに動画広告を入れようとすると、ユーザーに不快感を与えるような形になりかねません。逆に、最初から動画広告でのマネタイズを前提にアプリを作り込んでおくと、ユーザーにとって喜ばれる形で動画広告を掲載することも可能です。特に、アメリカなど海外の市場で2年ほど前から盛り上がっているのですが、動画を見るとライフが回復したり、宝箱がもらえたり、そういった作り込みをしているアプリ開発者が多いです。インセンティブやリワードを与えるなど、ユーザーエクスペリエンスにまで考慮できると、満足感が得られる実装になるので、最初からTapjoyを導入しておいた方が良いという点があります。あとは、課金転換率が上がる可能性もあります。これは、課金する見込みがないユーザーに対しても、動画を見てライフ回復するなり、選択肢を与えられることが重要かなと。その結果、アプリへの滞在時間が増え、プレイ時間が増え、ゲームが面白くなり、最終的には離脱しないで課金へというケースも望めるからです。実際に、Tapjoyの広告でライフ回復等のインセンティブを取得したユーザーは、離脱率が 29.0%減少し、継続率が24.6%増加したという結果も出ています。
 
 

■伝えたい時期に、伝えたい人に、伝えたい内容を

 
――:では、新たに導入されたメディエーション機能についてもお話をお伺いできればと思うのですが。
 
村上:これまで提供していたのは、ファーストパーティマネタイゼーションと呼ばれるTapjoyの広告を掲載してマネタイズできるサービスでした。今回、新しく追加したメディエーション連携機能というのは、サードパーティマネタイゼーションと呼ばれるもので、Tapjoyの広告以外にも、メディエーションプラットフォームと連携しているインタースティシャル広告等を提供しているアドモブやインモビ、動画広告を提供しているアドコロニー等を始めとする広告でも、Tapjoyプラットフォームが提供するユーザーセグメンテーション機能を使って、例えば課金見込がないユーザーに対して広告を掲載しマネタイズできるようになったということです。では、具体的に今回Tapjoyが行ったメディエーション連携をご説明させていただきますと「アダプター連携」と「プラットフォーム連携」という二つの形態がございます。
 
▲アダプター連携について。
 
村上:まず、アダプター連携というのは、Tapjoyで抱えている広告在庫を、メディエーションプラットフォームを通じて配信できるということです。これは、既に他のアドネットワークが実施されているのと同じく、Tapjoyをワンオブデマンドソースとして使っていただけるようになりましたというお知らせです。
 
 
▲プラットフォーム連携について。
 
村上:ここからが本題で、プラットフォーム連携というのは、簡単に説明すると、Tapjoyプラットフォームが提供するユーザーセグメンテーション機能を使って、特定のユーザーに対して、Tapjoyの広告を含むメディエーションプラットフォームと連携しているアドネットワークの動画広告やインタースティシャル広告をアプリで掲載しマネタイズできるようになったということです。アダプター連携では、特定のイベントで特定のユーザーに動画広告やインタースティシャル広告を掲載しようとすると、パブリッシャー側で開発が必要であったところ、Tapjoyのプラットフォーム連携を使うことでそれが簡単にできるようになります。共通化できる部分をプラットフォーム側が用意することで、パブリッシャーが、よりゲームの中身などにリソースを割けるようになるのもひとつのウリではあります。
 
 
――:今までアプリごとに作っていた、またはリソース等の制約で作れなかったプログラムが最初からフォーマットとして用意されているという認識でしょうか?
 
村上:そうですね。
 
佐藤:メディエーションによって広告を出す機能が充実しましたので、既存の分析機能や将来予測と合わせることで、より効率的・効果的にご使用いただけると思います。実装の背景としましては、先ほどお話した通り、動画広告の需要が上がっているというところが発端にあります。動画ネットワークは多数存在しているのですが、残念ながら現状だとなかなか1社だけではお客様のすべての要望を叶えるには至っていません。そこで、今はみなさん複数の動画ネットワークを利用されているのですが、これをひとつひとつ実装・最適化していくことにご苦労されておられます。プラットフォーム連携は、そのあたりの利便性を向上させるための機能になります。
 
村上:Tapjoyの中には、大きく分けて「分析メニュー」と「アクションメニュー」という二つの要素があります。分析メニューでは、日々のアクティブユーザーの数や売り上げの推移などが指定したユーザーセグメント毎に見られるようになっています。あとは、先述した通り、ユーザーごとに将来の売り上げ予測が可能となっているのが特徴ですね。一方、アクションメニューの方では、イベントの告知をしたり、広告を表示させたり、プッシュ通知を送ることが可能となっています。例えば、分析や将来予測の結果を基にして、アプリ起動時に課金見込が無いユーザーに対して特定の告知を打ち出したり、課金見込があるユーザーに対してアイテムのセールを告知したり。「どのタイミングで」、「誰に対して」、「どれくらいの回数・頻度で」ユーザーに告知や広告を見せていくか、という部分をSDKのアップデートやオペレーションの手間を大きくかけずに管理サイト上で設定・変更できるのが強みです。
 
 
――:まさに、先ほど仰られた分析・運用・広告マネタイズが合わさった利点を活かされていますね。
 
佐藤:将来予測というのはかなり重要で、パブリッシャーからすれば「お金を使ってくれているユーザー」=「良いユーザー」という発想になりがちですが、このユーザーが次の日から一切お金を使わなくなる可能性もあるんです。その意味では、先を予測しておかないと、買っていただこうと思って実施したプロモーションが無駄になってしまうことがあります。そういったことを考えると、将来にわたってお金を使っていただけることを見越してアクションができるというのは非常に意味のあることではと考えています。
 
――:Tapjoyは簡単に導入できるものなのでしょうか?
 
佐藤:日本語のサポートも充実していますし、簡単にできます。なお、とても重要な部分ですが(笑)、Tapjoyの広告で広告収益をあげていただければ、分析機能やプッシュ通知、ポップアップの運用機能などは、すべて無料でご利用いただけます。
 
 

■今こそ日本のゲームを世界へ 海外展開もバッチリ支援

 
――:ここからは海外展開についてもお伺いしていきたいのですが、各国のゲームユーザーや市場によって、特徴や違いは見られるのでしょうか。
 
村上:差があるという印象は受けています。日本ではまだ広告を積極的に入れることを躊躇されるところが多いのですが、欧米圏では広告で積極的にマネタイズを行っているところが多いですね。ユーザーも広告が表示されていることに慣れていますので、是非、市場を見ながら使い分けていただければと思います。
 
佐藤:国によって、ユーザーの広告に対するハードルも変わってきますので、そのあたりを理解して運用をしていく必要はあるのかなと考えています。これは個人的な使命感みたいなところもあるのですが、日本のゲームの海外進出を支援したいという想いを非常に強く持っています。日本のゲームは面白いんです。海外でも楽しんでもらえるポテンシャルがすごくあると思っています。グローバル展開をし、ノウハウをもっているTapjoyは、ツール面での支援はもちろん、集客面でもさまざまなご支援をできるんじゃないかと考えています。
 
 
 
――:各国の市場分析や将来予測から導き出されるものもあるのでしょうか?
 
佐藤:そうですね。各国で成功事例として挙がってきているケースもありますので、この国に進出するなら、こういった成功事例があるので、こういった形でTapjoyが支援をしますというご提案もできます。
 
村上:先ほどお話させていただいたポップアップ機能やプッシュ通知を使う場合、様々な国でアプリを配信するとなると言語の出し分けや時差を考慮する必要がありますよね。これは、Tapjoyの一機能にすぎないのですが、管理サイトの設定からアプリを展開してる国を選ぶだけで、国別やユーザーが設定している端末の言語に応じてポップアップの出し分けが可能になるので、そういった部分でもサポートさせていただけるかなと思います。プッシュ通知でも、国別に異なる配信時間を設定していただけるようになっています。
 
佐藤:機会損失をせず、確実にユーザーコミュニケーションができます。これをリアルタイムに手動で行うのは不可能なので、Tapjoyの方でサポートできればと思います。
 
 
――:そういった部分をサポートしていただけるのはありがたいですね。最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
 
村上:Tapjoyは、今後もパブリッシャーを支援するようなプロダクトを仕掛けていきますので、よろしくお願いいたします。
 
佐藤:今後も、アドテクとマーケティング技術を複合的に支援するツールをグローバルに展開していこうと考えています。Tapjoyはさらに進化していきますので、ゲームの開発や運営を考えてられておられる方は、是非、一度お話を頂戴できればと思います。

 
(取材・文:編集部 山岡広樹)
 
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