【アプリレビュー】土を耕し「ひと」を収穫、そして「なにか」と戦う 全てが狂った世界での戦いを描いた(であろう)『ひとたがやし』を紹介!


コンテンツの魅力というのは、様々な要素が存在する。イラストが綺麗。登場キャラクターが魅力的で可愛い、かっこいい。ストーリーが感動する、エキサイティング。これら一つ一つ、基本的にはプラスの感情や感想を抱くことが多いように感じる。

だが世の中には、後味の悪い結末を迎えるコンテンツも多く、消化不良のままでもやもやとした気持ちを残すものも存在している。それが魅力的なコンテンツとして名前を残しているものも多い。

そんなわけで今回のアプリレビューでは、物悲しい雰囲気が魅力的な、ダウナー系のアプリ『ひとたがやし』を紹介する。

 

■簡単操作で土を耕し苗木を植えて、「ひと」を収穫。そして…


『ひとたがやし』は、ところにょりさんによるカジュアルアプリで、前作にあたる『ひとほろぼし』からとても長い時間がたった世界が舞台となる。



まず、アプリを起動するとメニューとして「たがやす」、「つよくする」、「なにかのかけら」が出てくる。早速「たがやす」で「ひと」を造り出そう。





「たがやす」部分では、地面に表示された矢印方向にフリックし、制限された時間を使って「たがやす」、「うえる」、「しゅうかく」をそれぞれ行う。最初の「たがやす」は、その後の「うえる」、「しゅうかく」の数に大きく影響するため、張り切って耕そう。この制限時間は歯車のようなポイントを使用することで増やすことも可能だ。



この「たがやす」作業が終わると、すぐ収穫した「ひと」を使って、「なにか」と戦闘をすることになる。戦闘といっても特にプレイヤーが何かすることもなく、勝手に進行する。戦闘機や戦車が飛び交い「なにか」を攻撃していく。また、この戦闘シーンはスキップすることも可能だ。

「たがやす」で収穫した「ひと」の数によって、「なにか」に与えられるダメージの数が変わってくる。「ひと」の数が少ないと一回の戦闘で「なにか」を倒すことができず、「たがやす」と戦闘を繰り返すこととなる。



みごと「なにか」を倒すことができるとメニュー画面の「なにかのきおく」のところに、串刺しになった脳みそのようなシルエットが追加される。ここではその名の通り「なにか」の記憶をみることができる。




▲倒すことで手にいれることができる「なにかのきおく」「なにか」は「セイタイヘイキ エスティーアイ581」、生体兵器STI581ということが明かされる。

この「なにかのきおく」は、い、ろ、は、に、ほ、へ、と、の7つ串が存在しており、どうやら現状7つの「なにか」が存在しているようだ。そんなわけで、どんどん「たがやす」で「ひと」を収穫して、「なにか」を倒そう。「なにかのきおく」を見る限りはそんな気分にならないのが正直なところではあるのだが。

最初のうちはヒットポイントらしきものが少ない「なにか」だが、どんどんこの数字がインフレしていき、なかなか倒しにくくなってくるはずだ。そんなときは「つよくする」メニューから、歯車のようなポイントをつかって「たがやす」時間を伸ばしたり、新しい兵器を手に入れよう。この歯車のようなポイントは、「たがやす」や「なにか」を倒すことで手にいれることが可能だ。


▲余談だが、アイテムの一つであるこの「ゆうき の でる くすり」。説明に「せんとうき に のる ひと の ゆうき が でる」とあることから、この「ひと」が揶揄でもなんでもなく、紛れもなく人間ということが伺い知れる。

 

■中二病な世界?それでも色々と考えさせられる、どこか他人事ではない世界。


操作自体はとても簡単で、システムも単純なものなので、さくさくと「なにか」を倒すことができ、早々にプレイヤーは『ひとたがやし』の世界観をある程度想像することができるだろう。

とは言っても、説明されるのは「なにかのきおく」でのほんの少しの文章なので、プレイヤーはそこからバックグラウンドを想像するしかない。にもかかわらず、世界観に奥深さを感じられるのは、出てくる機械のようなもののデザインや、「なにか」のビジュアル、文字フォントといったアプリ全体のビジュアルデザインの完成度の高さの賜物だといえる。

また、忘れてはいけないのはピアノ主体の物悲しくもずっと聞いていたくなるBGM。これらが合わさって、ダウナー系ながらもかなり楽しめる『ひとたがやし』。著者のように根暗な人でも、そうでない人でも遊んでみてはいかがだろうか。


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© Shogo Senouchi