選考の基準は高いサポート力 GameBank長岡実氏が語るミドルウェア、プラットフォームの導入事例

6月23日、東京都内にてIDCフロンティアが主催するセミナー「OnlineGame Dev Night vol.1」が開催された。本セミナーは、「最新事情」をテーマに、スマートフォンゲームアプリの開発者が関わる領域での最新事情、そして技術的なトレンドを紹介するというものだ。
 
本稿ではGameBankの開発統括部部長・長岡実氏によるセッション「スマートフォンゲームアプリにおける、ミドルウェア、プラットフォームの導入事例」の内容を紹介する。

 


 

■スピード感と安心感を重視して選定


 
▲GameBank株式会社 開発統括部 部長 長岡実 氏
 
長岡氏が勤めるGameBankは、ヤフーがゲームパブリッシング事業へ参入する際、モバイルオンラインゲームの開発などを手掛ける会社として設立された。当時からヤフーはYahoo!ゲームでPC向けにゲームを提供していたものの、スマートフォンでの展開となるとノウハウが少なかった。そこでGameBankはプロフェッショナルを採用すると同時に、日本国内のミドルウェアやプラットフォームを積極的に導入し、アプリの開発に着手したのだ。

現在GameBankでは『オービットサーガ』『みんなの釣りバカンス』『大集合!ワイワイパーティ』『BLADE』『SOUL GAUGE』の5タイトルを運営中。そしてこの全タイトルで、IDCFクラウド、SmartBeatを採用、また『みんなの釣りバカンス』『大集合!ワイワイパーティ』ではモノビットエンジンも使用している。このセッションでは、これらの選定理由や、導入後の効果が語られた。
 

まずIDCFクラウドは、サービスを提供するIDCフロンティアがヤフーグループであったことが大きな採用理由であったと長岡氏は語る。「機能やパフォーマンスの面で残念な部分もあった」と長岡氏は赤裸々に語るが、別に魅力があるという。その魅力とは、IDCFクラウドが持つ高いサービス力だ。問い合わせサポートの対応スピードと丁寧さは特筆すべき点で、さらに個別の担当エンジニアが付くことで、マニアックな相談にも乗ってくれたという。もちろん、トラブルが発生したときの安心感も違う。
 

続いて話題にあがったのは、アプリのクラッシュ解析ツール「SmartBeat」だ。こちらの最大の魅力として長岡氏は、マルチプラットフォーム対応である点だと述べる。iOSとAndroidの違いはもちろん、バージョンが違う場合もすべて対応できる。特にGameBankはパブリッシャーであり、不特定多数のデベロッパーを相手にする場合は必須ともいえるツールのようだ。

加えて「英語、韓国語に対応しているのも大きかった」と長岡氏は語る。アジアのデベロッパーと協業する際、スムーズに話が進んだりと、その利点を肌で感じる機会も多いようだ。そしてIDCFクラウドと同じく、問い合わせのしやすさ、対応の早さも大きな魅力だ。似たようなサービスは海外にも存在するが、SmartBeatは日本語の問い合わせが可能。また、海外サービスの場合代理店経由になり、「本社に聞いてみます」と返答される可能性も拭い切れない。
 
余談として長岡氏は、普段SmartBeatでよく見ている機能として、OSやデバイスごとの稼働確認を紹介してくれた。
 

バグやエラーは報告されているが、自分の手元にある端末では再現されない。そんなときにこの画面を見れば、どの端末でエラーが発生しているのかが把握できるというのだ。特にリリース直後や大きな改修後など、トラブルが起こりやすいタイミングでチェックしているとのこと。
 
最後のモノビットエンジンは、オンラインゲーム制作のために作られたアルタイム通信ミドルウェアだ。こちらの導入には、やはりモノビットがリアルタイム通信の実績を持っていたことが大きかったと長岡氏。少なくとも当時は、実績や信頼面でモノビット以上のメーカーはいなかったという。

実際に利用してみると、さまざまなサーバサイド言語に可能な限り対応していることが魅力の感じたという。また、ゲームを開発している中、デベロッパーが変更になるケースもあるが、そんなときもスムーズに対応可能。GameBankでも実際に『大集合!ワイワイパーティ』で引き継ぎ作業を行うことがあったそうだが、モノビットの手厚いサポートもあって、無事にリリースできたそうだ。
 

最後のまとめとして長岡氏はサポートの重要性をあらためて説明。国内メーカーは海外メーカーには実現できないスピード感を持っていること、自社サービスは安心に繋がることを特に強調した。また難しいトラブルにも諦めずに対応してくれる点や、一緒に悩み考えてくれることから、今回紹介した3社が非常に優れているとまとめた。
 
(取材・文:ライター  ユマ)


 
 
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GameBank株式会社

会社情報

会社名
GameBank株式会社
設立
2015年1月
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