【連載】Google先生に聞いてみよう! 第2回「Google Play ストアでゲームアプリを海外展開するには何から始めればいいですか?」


数多くのゲームアプリがリリースされている昨今、どれだけユーザーの目に触れさせるかなど、プロモーション手法の難しさが取り沙汰されている。頭ひとつ飛び抜けるためには、的確なユーザー層に向けた広告、それに伴うクリエイティブの創出など、日々デベロッパーの悩みは尽きないことだろう。

そこで本連載では、悩めるデベロッパーに代わって、実際にGoogle Play ストアや、Android、クラウドプラットフォームを展開するGoogleに直接質問をぶつけてきた。



 

■スクリーンショットの重要性


【今回のお悩み】
「Google Play ストアでゲームアプリを海外展開するには何から始めればいいですか?」
 
【ご回答していただく先生】
Google Play Apps&Games コンテンツ開拓担当
国際ゲーム戦略統括部長 兼 日本統括部長
吉嗣 浩隆 氏
 
Google Play Apps&Games  コンテンツ開拓担当
ストラテジック パートナー デベロップメント マネージャー
金 清司 氏


――:本日はよろしくお願いします。早速ですが、アプリの海外デベロッパーの印象はいかがですか。
 
吉嗣浩隆氏(以下、吉嗣):「海外進出」に関しては、国内外からご相談はいただいています。たとえば、日本に進出したい海外デベロッパーも多く、日本テイストのスクリーンショットやデザインを施しても、よく見たら単にアジアっぽい雰囲気になっているなど、日本をアジアの一括りとしてクリエイティブを考えてしまうのです。それこそフォント部分の選定に至るまで、そうした細かいコンサルティングが必要だと思っています。


――:具体的にどのようなアドバイスをしていますか。

吉嗣:Google PlayのA/Bテスト機能の積極活用を推奨しています。これは、ストア上に掲載されているアイコンや説明文、スクリーンショットのなかで最も効果的なものを見つけられるテスト施策です。日本の市場は「特殊」と言われることがありますが、これは日本のデベロッパーが海外進出する際も同様で、A/Bテストの活用をお勧めしています。


――:効果があった事例などについて教えてください。
 
金清司氏(以下、):「Google for Mobile Game Bootcamp」 で紹介しましたが、ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>さんが手掛けた『戦魂』では、効果的なスクリーンショットのテスト結果が出ました。ユーザーの趣味嗜好を知ることは重要ですので、A/Bテストは積極的に使ったほうがいいですね。

「Google for Mobile Game Bootcamp」の模様



――:スクリーンショットを変えることで、ここまでコンバージョン率が上がるものなのですね。
 
吉嗣:もちろん思わぬ結果が出るときもありますが、A/B テストを繰り返すことで段々とユーザーがどういうものを好むのかが分かっていきます。
 
:Googleでは、多くのデベロッパーと話をさせていただいていますが、これらのツールを通じて“気付き”を得られるプラットフォームづくりに力を入れています。もちろん、プラットフォームとして機能を提供するだけですべて上手くいくというわけではないので、補完する形で我々のチームがその有効な活用方法について、サポートしています。
 
幸いなことにチームには様々な国の担当者がいるため、そこで培ったノウハウを社内で共有しています。アプリ開発、リリース後のプロモーション、何事にもコストはかかると思いますので、デベロッパーが最適な投資ができるようアドバイスしています。
 
 
――:効果的な数字やユーザー層が分かれば、今後のプロモーション施策でも活用できると。繰り返しテストを続けることで、より最適化されたマーケットのページに辿り着くのですね。
 
:ええ。よくGoogle Play ストアの管理画面はエンジニアだけが見ていて、「マーケティングの担当者は直接見る必要はないのではないか」という意見があるようです。ただ、本来Google Play ストア上に掲載されるスクリーンショットなどのクリエイティブは、マーケティングの担当者がきちんと確認し判断して作ることが大切ですし、開発者向け管理画面では、例えば各アプリのストア上のコンバージョン率など、マーケティング担当者にとって有用なデータや情報が数多く提供されています。Google Play ストアの管理画面に関わることだからと萎縮せずに、ぜひマーケティング担当者にこそ使って欲しいです。
 
 
――:ちなみに、Google Playはサービス提供アプリに対して事前審査は行わないようですが、実際のポリシー違反ではどのようなケースがあるのでしょうか。
 
:たとえば、ストア上で検索に引っかかりやすいように、色々なキーワードを羅列するなどのキーワードスパム行為や、露骨な性的コンテンツなど、ユーザーの不利益になるような行為やコンテンツが該当します。そうしたポリシー違反ではなく、実直に良いコンテンツを作れば自ずとユーザーに支持されると考えています。
 
ポリシーセンター


――:Google Playでは、フィーチャー(今週のおすすめ)するタイトルの特徴などはあるのでしょうか。
 
吉嗣:基本的には今までお話ししたことを抑えつつ、ユーザーが注目または評価しているタイトルを編集チームと一緒に確認しながら決めています。また、あるトピックに興味関心のあるユーザーに、アルゴリズムで適切なアプリがお薦めされる仕組みなども実施しています。
 
 
――:プラットフォーム側として昨今のゲームアプリ市場についてどのように捉えていますか。日本の市場は成熟してきているイメージはぬぐえないですが、何か切り開くポイントはあると考えていますか。
 
吉嗣:新しいゲームの遊び方を生み出せば、ユーザーは反応すると思います。何も国内からだけに限らず、国外から生まれた新しい遊び方が、日本に浸透することも考えられるのではないでしょうか。たとえば日本で主流の協力プレイは、北米では日本ほど流行っていませんが、何かのきっかけで浸透した際にプレイヤー(事業者)が増えるかもしれません。なので、そうしたブレイクスルーが各国で起こる可能性がある限り、まだまだ市場は大きくなるでしょう。
 
:ひとつのヒット作が出ることで、各国同じものが次々と出てくる傾向がありますが、ユーザー嗜好は多様であるため、それだけでは楽しんでくれるユーザーの層も限られていきます。Google としては、デベロッパーコミュニティと対話を増やし、多様な遊び方と多様なビジネスモデルを生み出せるよう、出来る限りのお手伝いできれば幸いです。
 
吉嗣:我々はデベロッパーの挑戦を応援できるプラットフォームでありたいと思っています。Google のプラットフォームやツールを活用して、ユーザーにとってベストな形で出せるようにデベロッパーとお話させていただいています。
 
 
――:たしかに。御社のツールを通して、ある程度のテストを経て様々な数字が出てくると思います。プロモーションなど投資する段階で、事前に情報が知れているのは何よりも安心ですよね。
 
吉嗣:ユーザーさんの趣味嗜好やアプリの品質を判断できる数字が付いてくるので、確固たる自信、次のアクションにも繋がりやすいですし、アクセルを踏むタイミングが判断できるのはメリットでしょう。


――:分かりました。本日はありがとうございました。

 
(取材・文:編集部  原孝則)


 
 
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