カドカワ、1Qは売上高4%増、営業益2.3倍で着地 事業構造の転換を進める出版事業が大幅黒字転換 映像・ゲーム事業も32%の増益を達成

カドカワ<9468>は、8月4日、2016年3月期の第1四半期(4~6月期)の連結決算を発表、売上高490億円(前年同期比4.5%増)、営業利益27億円(同2.3倍)、経常利益20億円(同23.6%増)、四半期純利益10億円(前年同期2億円の赤字)となった。
 

主なセグメントごとの状況は以下の通り。

①Webサービス事業…売上高79億1700万円(前年同期比6.1%減)、セグメント利益4億4800万円(同65.4%減)
2016年4月29日、30日に「ニコニコ超会議2016」を開催し、2日間のリアル会場総来場者数は15万2,561人、ネット総来場者数は554万8,583人となった。新たなコンテンツとして、ボーカロイド楽曲「千本桜」と歌舞伎「義経千本桜」が融合した独自演目「超歌舞伎」が高い評価を得た。

niconicoにおいては、企業・団体・ユーザーが動画や生放送、記事を配信できるプラットフォーム「ニコニコチャンネル」の有料登録者数が順調に増加し、2016年5月末に50万人を突破した。また、選挙権年齢が18歳上に引き下げられてから初の国政選挙となった参議院選挙においては、niconicoでの特設サイト開設や党首討論会の生放送を実施いたした。これらの取り組みにより、niconicoの2016年6月末における発行ID数は5,755万、様々な特典が受けられる有料の「プレミアム会員」は256万人となった。高画質化や新サービス開発のための投資は、計画通り高水準で推移している。

一方、ドワンゴジェイピーにおいては、嵐、Hey! Say! JUMPなど人気アーティストのニューシングルの先行配信が、会員数減少を想定内にとどめる効果を上げた。

②出版事業…売上高259億5200万円(同9.4%増)、セグメント利益21億5700万円(前年同期2億7700万円の赤字)
メディアミックス作品の強化やUGC(User Generated Content)の商品化を積極的に進めた。2016年2月に開設した小説投稿サイト「カクヨム」は当初想定を上回る作品投稿数、ページビューとなり、会員登録数6万人、総PV数5,500万を突破した。また、「泣き童子 三島屋変調百物語参之続」「ソードアート・オンライン」シリーズ、「僕だけがいない街」などが業績に貢献した。

一方、雑誌販売や広告売上の減少が続く市場環境に対応するため、不採算事業からの撤退や、リソース、ノウハウを活用したインキュベーション事業の展開を進め、事業構造の転換を図った。

③映像・ゲーム事業…売上高102億2900万円(同8.6%増)、セグメント利益10億5200万円(同32.3%増)
「ARIA The ORIGINATION Blu-ray BOX」「この素晴らしい世界に祝福を!」などのアニメ作品を中心にDVD、Blu-rayの販売が堅調に推移した。また、2016年6月に映画「貞子vs伽椰子」を公開した。市場拡大が続く海外へのアニメ版権販売ビジネスも引く続き伸張している。

一方、ゲームにおいては、2016年3月に発売し、全世界で300万本以上の出荷となった『DARK SOULS Ⅲ』の追加出荷、ダウンロード販売や『√Letter ルートレター』などが業績に貢献した。

なお、2017年3月期通期の予想は、売上高2000億円(前期比0.5%減)、営業利益31億円(同66.0%減)、経常利益33億円(同67.6%減)、当期純利益17億円(同74.4%減)の見込み。