【ミクシィ決算説明会②】『モンスト』のイベント不調で売上高未達 『マーベル ツムツム』は今期中に海外展開へ 『ポケモンGO』考慮し、北米マーケティング停止 


ミクシィ<2121>は、8月5日、東京都内で2017年3月期の第1四半期(4~6月)の決算説明会を開催した。説明会に先立って発表された第1四半期(4~6月)の連結決算は、売上高473億円(前年同期比5.5%減)、営業利益201億円(同17.3%減)、経常利益199億円(同17.9%減)、四半期純利益135億円(同14.9%減)と減収減益での着地となった。

説明会では、同社の萩野泰弘取締役が財務状況を説明、続いて森田仁基代表取締役社長(写真)が事業状況の説明を行い、その後質疑応答が行われた。その内容も踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■ゲーム内イベントの不調で売上高が未達に 広告宣伝費は6億円増加


まずは業績を四半期推移(QonQ)で見てみると、売上高は19.1%減、営業利益は27.5%減、経常利益は28.2%減、四半期純利益は20.1%減とこちらも2ケタの減収減益となった。ただし、通期業績予想に対する進捗率で見ると、売上高は21.7%と未達になっているものの、営業利益は25.1%、経常利益は24.9%、四半期純利益は25.1%とほぼ計画線上での推移となっている。
 

売上高が未達となった要因は「ゲーム内イベントが一部不調だった」(萩野取締役)ことによるもので、イベントに係らない収益については安定的に推移したという。一方、売上高の状況を見て、外注費をコストコントロールし、利益を確保した。

なお、販管費については、広告宣伝費が海外および新規事業への積極的なマーケティング投資により、前四半期の47億5000万円から53億4100万円へと約6億円増加している。
 


■『ポケモンGO』の動向を踏まえて北米の大規模マーケティングは停止


続いて各セグメント別の事業状況を見てみると、エンターテインメント事業は、主力の『モンスターストライク』(以下『モンスト』)は、7月に「ウルトラマン」とのコラボを実施し、8月にも映画「シン・ゴジラ」の公開を記念して「ゴジラ対エヴァンゲリオン」コラボを実施するなど、ゲーム内コラボ企画を積極的に行っている。

また、アニメ「モンスターストライク」は、世界累計再生回数が8000万回を突破し、50分に拡大した夏のスペシャル版となる8月14日に配信する。今後はよりゲームと連動した取り組みを進めていくとしている。また、事前応募制のイベント「XFLAG PARK2016」を9月25日開催予定であるほか、現在は『モンスト』No.1チームを決める「モンストグランプリ 2016 チャンピオンシップ」の地方予選が開催中だ。
 

海外展開については、中国本土への再参入の準備を進めているほか、台湾・香港・マカオではゲーム内イベントなどに加え、リアルイベントの開催にも注力している。中国本土への展開については、現在は「パートナー企業を選定中」(萩野取締役)の段階にあるという。

また、北米については予定していた大規模マーケティングを停止した。これは他社タイトル(『ポケモンGO』)の動向を踏まえて、しばらく様子を見るという判断に至ったためとしていた。
 
 

■『マーベル ツムツム』は今期中に海外展開を予定


『モンスト』以外のタイトルについては、『マーベル ツムツム』は利用者数が400万人を突破した。なお、『マーベル ツムツム』は今期中の海外展開を予定しており、配信予定地域などは今後随時発表するという。

一方、『ブラックナイトストライカーズ』は、先日発表(関連記事)された通り、新作ゲームアプリ『ブラナイDASH』(読み方:ブラナイダッシュ)としてリニューアルし、8月中旬より提供開始する予定だ。それに伴い『ブラックナイトストライカーズ』のサービスは終了となる。データの一部は『ブラナイDASH』へ移行することができる予定だ。
 
 

■「チケットキャンプ」は登録会員数200万人突破と順調に拡大中


一方、メディアプラットフォーム事業は、チケットフリマアプリ「チケットキャンプ」の登録会員数が200万人を突破するなど順調に拡大した。また、ビューティーアプリの「minimo」の累計利用者数も100万人を突破した。

子どもの写真・動画共有アプリである「みてね」は、利用者数が50万人を突破。今秋にはフォトブックを作成できるサービスを提供開始する予定だ。
 



■まとめ

ゲーム内イベント施策の不調で、この四半期は『モンスターストライク』の売り上げが伸び悩んだが、イベントの成否に左右されるということは、単純な右肩上がりの成長局面から成熟期に移行してきたためともとらえられる。今後は、より効果的なイベント施策やマーケティング施策の展開が求められることになりそうだ。

なお、ポケモンとNianticの『ポケモンGO』による足元の国内の『モンスト』への影響は「ほぼ影響ない」(森田社長)としており、むしろ『ポケモンGO』が開拓した新たなユーザー層を取り込んでいく戦略が新たに求められることになりそうだ。
 
(編集部:柴田正之)

 
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会社情報

会社名
株式会社MIXI
設立
1997年11月
代表者
代表取締役社長 木村 弘毅
決算期
3月
直近業績
売上高1468億6700万円、営業利益248億2000万円、経常利益182億5000万円、最終利益51億6100万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
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