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【連載】ゲーム業界 -活人研 KATSUNINKEN- 第二十二回「指摘される勇気、指摘する気遣い」

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株式会社ファリアー 代表取締役 社長の馬場保仁氏が、ゲーム業界の人材・採用に関して語っていく連載記事「ゲーム業界 -活人研 KATSUNINKEN-」。同氏は、セガで家庭用ゲームの開発を、DeNAではスマホアプリ開発のプロデューサーを担うほか、人事・採用担当も兼任していた。ファリアー社を創業し、“人は人に活かされる”をモットーにゲーム開発、人材発掘・育成にこれまで以上に注力していく。開発現場・採用担当、双方の視点からゲーム業界における“人”に対してスポットをあてた連載記事。 


 

■第二十二回「指摘される勇気、指摘する気遣い」



これまでにも、活人研では、

・チャレンジをしよう!
・カード(選択肢)を増やそう!


という話をしてきました。これは、むやみやたらと挑戦しよう!といっているわけではありません。「成長」という目的を持って、課題を設定して、挑戦し、振り返ろう!ということです。また、チャレンジし、振り返る時には、

・客観的な立場からの指摘

を受けることになります。この「指摘」を恐れるがために、チャレンジをしたがらない学生さんをよく見受けます。まず第一に、

指摘される は 怒られる ではない

ということです。あくまでも、指摘なのです。先生や先輩、または、社会人の方々から見た、疑問やその経験と照らし合わせての貴重な意見であることが多いはずです。特に一番あると思うのが、

「ちゃんと調べているのか?」

という指摘ではないかと思います。これは、大学生、大学院生が研究を開始する時に、先行研究や類似研究をサーベイしなくてはいけないとかが典型だと思います。もちろん、ゲームの開発においても同じことが言えます。自分でうんうん頭ひねって必死に考えてひねり出したゲームの企画が、実は既に10年以上前に似たようなゲームが発売されていた……などということは避けたいです。

ただ、遊びやブームというのは15年とか20年とかで周期するところもありますし、そもそも異なるテクノロジーでつくられていたものが、技術進歩によって今だったら異なる体感の遊び、面白さを体験できるならば、それは楽しさの根幹は一緒だったとしても、開発してよい場合もあると思います。それ以前に、ユーザが20年経てば異なるので、初見の人が大勢いるでしょうからね(笑)。

ただ、だからといって調べなくてもいい、また、近しいものがでてきたときに、体験しなくてもいいという法はありません。やはり、文字でみるだけよりも、実際にプレイして体験することでえられる感覚はありますからね。(もちろん、ハードがもう再現不可能、プレイできないというものもあるでしょう)

さて、第二として、

指摘される は ありがたいことである

ということです。なぜならば、自分が気がつかなかったことを経験から教えてもらえるからです。先生や先輩ならば、まさしく先人の経験からくる知識で指摘をしてくれるのです。これだけ数多くの文献、研究、ゲーム、コンテンツが世に出ているのですから、調べることは大前提ですが、必死に調べても、すべてを網羅して調べ尽くすことは簡単ではありません。

なので、「調べたうえで」先人の貴重な指摘をうけることは、より自身の研究、制作物、コンテンツ、ゲームの立ち位置や貴重さが確認できることなのです。もちろん、いたらない、不足しているから指摘をされるわけです。そこは謙虚に受け止め「勉強させていただきます!」の精神で受け止めること、が大事だと思います。

ただ、気を付けないといけないのは、「指摘が本当にすべて正しいのか?」を確認しなくてはいけないということです。知識と照らし合わあせて、「指摘する人のフィルターからみた」類似、先行研究や事象であるからです。もちろん、誰が見ても一意にとらえて他に解釈しようのないものもあります。そういう場合は謙虚に素直に、受け止めましょう(笑)。

ですが、たとえ先人でも必死に自分が研究、調査した狭い領域のゲームや研究について、すべての面で自分を凌駕して知っているとは限りません。その方の経験からくる価値観がそこにのっかってくる場合もあります。もちろん、経験豊富な先生方は、そこもかんがみたうえで、年少者や経験浅い相手であったとしても敬意を払い、「まずは、教えて欲しい」という姿勢ではいられる方もいらっしゃいます。

そう、つまり教育者として「指摘をすること」=「指摘したことを是非は別にしてもいったん相手に受け止めてもらい、自分の頭で考えてもらうこと」までいかないといけないことを知っておられるからです。わたしがお付き合いある大学の先生方はこういった対話型の方が多く、指摘が指示や命令にはならない方が多いです。これは、非常に忍耐のいることでもありますが、最後は自分の足で立ち上がってきてもらわないといけないことを知っておられるから、貫かれているのだと思います。

指摘 を 示唆とコメントで使い分けておられるわけですね。

「○○という方の■■という研究があるので、ぜひ一度ペーパーを読んでおくといいと思います。あなたの研究のめざす、◎◎というところに通じることをやっておられるので。理解が難しかったり、更なる情報必要な時は、いつでも言ってきてください。」

のような感じでの指摘ですね。示唆をし、具体例を示し、相手の内容を理解した上で話していることを伝え、最後は面倒を見る覚悟も示す、なかなか大変ですが、実践されている先生についている学生さんは幸せです。

ゲームにおいても似たようなことが言えます。

企画を出すと、プロにボロボロに指摘されることは、ままあることだと思います。

ひとつには、本当にクオリティが不足していることです。必要な項目が書かれていない、項目は満たしていても、あまりにも伝わらないことしか書かれていない……など。

もちろん、これといったフォーマットがあるわけではありません。自分のイメージをいかに「シンプルに」伝えるか? だけです。PERACON(※CEDECで実施されているA4用紙1枚<提出形式>で行われる企画コンテスト)のような、A4用紙1枚で見て15秒で内容を理解して、評価できるものという制限がかかれば、おのずと「読ませないもの」=「文字が多すぎずに意図を伝えるもの」にならないといけません。

ただ、ともすれば、自信がない場合は、免責のようにたくさんの文字、ゴテゴテした修飾で「読ませる」方向にやってきます。目的を間違えないこと、この連載では何度もいってきましたが、なんのためにやっているのか? の目的をはっきりさせて、間違えないようにしたいところです。
 

これまでは、指摘される方のことばかりを書いてきました。でも、指摘する側の問題もないわけではありません。上述した先生などは、指摘をする目的を間違えないようにしておられるわけです。指摘することは決して、

・先達のストレス解消ではない
・つめるだけで、NEXTにつながないことではない
・相手に受け入れがたいものであってはいけない
 

です。なので、なにが大事か? となると、やはり、「ロジカルである」と同時に「相手の立場にたっていること」が大事になってきます。正論を真正面から言われても、「わかってるけど、それじゃ今の自分の実力では解決できない」ということもあると思います。正しければいいというわけではないんです。ことの本質を見極めつつも、その人が、やりきれるか? の線を理解した上で、言葉を発しないといけないということですね。

「俺は指摘したからね!ちゃんとやってよ!」ではありません。先人であるならば、こんな免責みたいなことをせずに指摘したならばケツもって、その人と一緒にやりきりましょう!
 
あとは、感情の発露的な指摘として、これまでにも事例でだしましたが、
 
「なんで」これくらいできないの?
 
という指摘という名の詰めがあります。「なんで」こう考えたの?はOKなんです。相手と対話して、意図、意識の向こう側をさぐったうえで、効果的な事例やアイデアをコメントしようとしているからです。ですが、なんでこれくらいできないの?は、議論の余地もなく、何かを示唆されるわけでもない。言われる方からすると、逃げ道のない言葉です。

繰り返しますが、指摘する側も、指摘してなにを達成したかったのか?の目的を間違えてはいけないということです。

そのためには、相手に対する指摘に気遣いが必要です。たとえ先輩や先生であっても頭ごなしに言っていいということはありません。人間と人間の付き合いです。成長を促すのは間違いなく、実のある指摘、です。そして、実のある指摘をすることは、先日の責務です。あとは達成すべき事象を間違えずに、思いやり、気遣いをもって実施したいですね。

・指摘していただける挑戦をする
・指摘は謙虚に受け止める
・指摘する側も、相手を思いやる

 
この3つを守って「指摘」を繰り広げていってほしいと思います。

今回はこれまで!
 


■著者 : 馬場保仁
株式会社ファリアー 代表取締役 社長。過去、セガ(当時 セガ・エンタープライゼス)で『プロ野球チームをつくろう!』『Jリーグプロサッカークラブをつくろう!』など多数のゲーム開発に従事。その後DeNAにてスマホアプリ開発のプロデューサーを担うほか、人事・採用担当も兼任。現在は、ファリアー社を創業し、“人は人に活かされる”をモットーにゲーム開発、人材発掘・育成にこれまで以上に尽力している。著書に「ゲームの教科書」(ちくまプリマー新書)がある。
 



■ゲーム業界 -活人研 KATSUNINKEN- バックナンバー

第二十一回「どこを見るか? どう採るか?」

第二十回「100%の力を発揮するために……」

第十九回「まずは、”伝える”ことから始めよう!」

第十八回「カード少なく勝負に挑まない」

第二回「学校トーク!!」…三者鼎談【後編】(第十七回)

第二回「学校トーク!!」…三者鼎談【前編】(第十七回)

第十六回「新人事始」

第十五回「就職活動にみられる地方格差」

第十四回「【思いやり】の向こう側

第十三回「仕事選び 〜成長・夢・時間〜

第十二回「本当にそれは、ゲームに必要か?」

第十一回「ハッカソンの功罪」

第十回「会社選びと成長(プロ、アマ問わず)」

「学校トーク!」 東京工芸大学 『パックマン』生みの親 岩谷徹氏に訊く【後編】(第九回)

「学校トーク!」 東京工芸大学 『パックマン』生みの親 岩谷徹氏に訊く【前編】(第八回)

第七回「学生さんにやっていただきたいこと~前編~」

第六回「学生さんにやっていただきたいこと~前編~」

「社長トーク!」第1弾 コロプラ 馬場功淳 社長【後編】(第五回)

「社長トーク!」第1弾 コロプラ 馬場功淳 社長【前編】(第四回)

第三回「若手のチャンスとキャリアパス」

第二回「企業×学校×学生」

第一回「ゲーム業界って本当に人手不足なの?」
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