【決算分析】ボルテージの決算説明資料より…4Qは『ダウト』減速や横断施策の中止で減収減益に 国内向け新作は現時点で2タイトルの準備進行中

8月15日に発表されたボルテージ<3639>の2016年6月期の連結決算は売上高112億1900万円(前々期比5.8%増)、営業利益5億3000万円(同13.6%増)、経常利益4億8800万円(同0.6%増)、当期純利益2億0800万円(同9.5%減)となった。

【関連記事】
ボルテージ、16年6月期は売上高5%増、営業利益13%増に 『ダウト~嘘つきオトコは誰?~』が計画を上回るなど日本語版恋愛ドラマアプリが好調(グラフ追加・追記)

今回はボルテージが開示した決算説明資料から、その決算内容の詳細を分析してみたい。


■『ダウト~嘘つきオトコは誰?~』はCMで伸びるも4Qに減速


まずは業績を四半期推移で見てみると、第4四半期期間(4~6月)の売上高は前四半期比9.3%減の26億4800万円、営業利益は同62.2%減の8700万円と減収減益となった。これは、横断施策の中止によって、日本語版恋愛ドラマアプリ全体が軟調に推移したことが大きな要因となっている。さらに、『ダウト~嘘つきオトコは誰?~』が前四半期にCM効果で大きく伸びた反動で減速したことなども影響している。
 

続いて、同社のコンテンツ別の期初計画対比の状況を見てみたい。最も好調だったのは『天下統一恋の乱 Love Ballad』で、1周年イベントやボイス実装が好評を得たことで年間を通して堅調に推移したという。これに続いて好調だったのが『ダウト~嘘つきオトコは誰?~』で、2月に実施したCMで新規ユーザーを大量獲得することに成功した。ただし、前述のとおり、第4四半期はその反動で減速する形となっており、獲得したユーザーの継続率を高めるような施策が今後の課題となっている。
 

日本語版恋愛ドラマアプリで苦戦したのは、『花より男子~F4とファーストキス~』と『悪魔と恋する10日間 Heaven's Kiss』の2タイトルだ。特に『悪魔と恋する10日間 Heaven's Kiss』は、LINE GAMEユーザーとの親和性、運用面の難点が影響したとしており、減損損失の計上を余儀なくされた。
 

英語版恋愛ドラマアプリは、L10Nシリーズは第4四半期にローンチした『Samurai Love Ballad:PARTY』はヒットしたものの、全体としては通期でほぼ横ばいの推移となった。また、DRAGON P2Pシリーズは、2作をローンチし、ユニークユーザー数を着実に伸ばしたという。
 

サスペンスアプリの『六本木サディスティックナイト』は、売上高・営業利益ともに目標未達となった。ただし、継続的なベース改善により、7日後継続率などのKPIは向上したとしている。また、新ジャンルとなる同社初のパズルアクションゲーム『LOVE☆スクランブル』を4月にリリースしたが、ローンチが後ろ倒しとなったため、目標に対しては未達に終わった。
 
 

■国内向けは現時点で2タイトルのリリースを予定


続く今期は、客層・技術の新規性の度合により、事業の区分を3区分で再整理する。また、2つ目の戦略子会社ボルモを設立し、アニメーションタイプのコンテンツを制作する。
 


なお、新規アプリのローンチスケジュールを見ると、国内向けではF2Pの「略称:王子Ⅱ」が9月、P2Pの「略称:Y」が10月と2タイトルのリリースが現時点で予定されているもようだ。
 

(編集部:柴田正之)

 
株式会社ボルテージ
http://www.voltage.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ボルテージ
設立
1999年9月
代表者
代表取締役社長 津谷 祐司
決算期
6月
直近業績
売上高42億5700万円、営業損益8400万円の赤字、経常損益6300万円の赤字、最終損益3900万円の赤字(2023年6月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3639
企業データを見る