『マインクラフト』で作る夏休みの自由研究 ゲームの教育的な価値が見直される時代に


『マインクラフト』で作る夏の自由研究実行委員会は、8月21日(日)に開催された『MCEdu2016』にて、スペシャルワークショップ 「『マインクラフト』で作る夏休みの自由研究」を実施した。

MCEdu2016 は、『マインクラフト』を遊ぶことで得られる様々な知識を教育や学習に活用するというテーマのもと行われており、今回で3 回目を迎える。本日行われたスペシャルワークショップでは、『マインクラフト』で遊びながら夏休みの自由研究の制作に挑戦するというテーマで、合計2回のワークショップを実施し、小学生20人が参加した。

講師には、ICT教育に詳しく、新たな教育のあり方を実践する小金井市立前原小学校 校長の松田 孝氏と、プログラミングスク ール TENTO の代表を務める竹林 暁氏が登場し、宮沢賢治の詩「やまなし」の世界を『マインクラフト』で表現する国語の授業と、 コンピュータの計算原理(2 進法)を『マインクラフト』で学ぶ算数の2つの授業が行われた。

国語のワークショップでは、人気子役タレントの豊嶋花さんが登場し、一般の参加者に混ざってワークショップを体験。自分の作品を発表するプレゼンテーションの時間では、詩の中に登場する「クラムボン」の存在を、豊嶋さんは本の中の主人公であると発表。

豊嶋さんをはじめとした参加者の様々な「やまなし」の世界の受け取り方に対して、竹林講師は驚きの様子で、「通常の授業では想像することが難しい『やまなし』を、『マインクラフト』でわかりやすくビジュアル化することができるので、丁寧に深く考えるきっ かけになったのではないか。」と、『マインクラフト』で学ぶことの効果を実感していた。

また、2つのワークショップを通して松田校長は、「『マインクラフト』の良いところとして、1人1人が自分の能力にあわせたことを学ぶアダプティブラーニングを自然に実践することができる。」と話し、「これからの教育にとても大事な要素である。」と『マインクラフト』を使 った教育に大きな可能性を感じていた。

また、「これからの教育の概念はこどもが主体であるべきで、インターネットで情報が転がっているこれからの時代の教育は、先生が 生徒にものを教える時代ではなく、むしろ先生も一緒に学ぶことが必要である。」として、「今回のワークショップは、新しい先生のあり方についても考えさせられる。」と話した。

 


 

■『マインクラフト』で作る夏の自由研究 詳細レポート


■様々な解釈がある、宮沢賢治の「やまなし」の世界をマインクラフトで表現



1回目のワークショップで参加者は、言葉で理解することが難しい詩の世界を、『マインクラフト』で表現するという自由研究に挑戦。宮沢賢治の詩「やまなし」の中に出てくる、「クラムボン」の存在を、豊嶋花さんは本の中の主人公と解釈した。その他、 参加した小学生たちも、太陽、魚、亀と、様々な理解で「クラムボン」を捉え、「やまなし」の世界を表現。




■松田校長、竹林講師が国語の授業で感じたゲーミフィケーションの魅力



松田校長は、通常授業では絶対に見ることができないような集中力 を見せる参加者の子供達に驚きながら、ゲーミフィケーションの効果を紹介した。「物語は見えない為、集中して想像するのが難しいが、『マ インクラフト』だと楽しみながら、信じられないほどの集中力を持続させて 深い学びを得ることができている。これこそがゲーミフィケーションの魅力であり、教育の新しい可能性である。」と話し、今後の教育に活かしていきたいと話した。

竹林講師も「学校の授業ではやらされていると感じることが多いが、 自分たちの意思で自分のやりたいことをやり、それが学びになることが本来の学びのあり方である。」と『マインクラフト』で得られる学びの効果を実感していた。

また、ワークショップ中わからないことをスタッフに聞く参加者の姿を見た松田校長は、「互いに教えあったりといった、援助要請することはとてもいい。援助要請が出来ない子が多い中、ゲームを通して自然と出来ることがとてもいい。」と話した。


■「1+1=10 ってなんだろう?」コンピュータの計算世界を『マインクラフト』で学ぶ



コンピュータの世界は、0 と 1 だけですべての計算が行われており、 今回のワークショップではコンピュータの世界の計算を、『マインクラフト』 を使って学んだ。参加者達は、『マインクラフト』で画面上に作った様々な種類のレッドストーン回路に実際にスイッチを入れてみることで、 「1+1=10」という 2 進法の世界を学んだ。
 
松田校長は、「色々なところでコンピュータが関わってくる時代の中で、 本日、一番ベーシックなコンピュータの学びを『マインクラフト』で得ること ができたのは、大きな収穫である。」と本日のテーマについて語り、「それを活かして、生活とのつながりを考えることができたら、大変素晴らしいこ とにつながっていく。」と生活と学びを切り離さないことの大切さを参加者達に伝えた。


■自由研究シートと学び



今までは紙だけで表現していたものが、今回の自由研究では3Dの中で表現し、それを印刷して貼るというものであった。松田校長は、「3Dの世界で自分の気になったところを切り取るのに、なぜそこを選んだのか、どのような切り取り方をするのか、裏側はどうなっているかなど、いろいろな 視点で物事を見ることが出来る。そこにクリエイティブがある。」と、新しい 自由研究の形について語った。

 
 
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