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【CEDEC2016】内外で大反響を読んだ『自衛隊コレクション』の内幕…政府広報ゲームの受注を目指す時のポイントはどこか?

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東京電機大学理工学部情報システムデザイン学系の蔵原大氏(写真)とゲームジャーナリストの小野憲史氏が「行政、広報、ゲームの『今』―無料ゲームアプリ『自衛隊コレクション』はどのように企画・開発されたか?―」と題するセッションを8月25日開催の「CEDEC2016」で行ったので、その模様をレポートしておこう。2015年に公開された防衛省の広報ゲームアプリ『自衛隊コレクション』の企画・制作過程を取材した成果と、日本の省庁におけるアドバ(広告)ゲームの近況を解説する内容だった。プレゼンテーションは、蔵原氏が行った。

『自衛隊コレクション』とは、どういったゲームアプリなのか。政府機関が広報として2015年にリリースしたゲームアプリであり、自衛隊公式サイトから配信されている。横スクロールのアクションで、ゲーム内容はいたってシンプルだ。政府広報のゲームのなかでも注目度が高く、反響にレスポンスするなど稀有なゲームアプリになっているという。今年の後半に続編もしくは追加バージョンをリリースする予定だという。
 


さて、そんな大成功を収めた『自衛隊コレクション』の制作費は、わずか1485万6000円だったとのこと。しかもこの金額は、ゲームアプリの制作費だけでなく、付随する公式サイトの制作費も含まれているそうだ。近年のゲームアプリの制作費は高騰している状況にあることは、読者ならご存知だろうが、 それらと比較してもかなり圧縮されているという。かなり安いという印象を受ける。
 


それでは、両氏はどういった調査を行ったのか。まず、関連の文書を情報公開で取得し、これをもとにして対象を絞り込み、発注した陸上幕僚監部、受注した大広、そして開発したBBmediaに取材したとのこと。類似調査をする場合の注意点として、蔵原氏は、文書の保存期間の短さや人事異動などを考慮してリリースから1年以内に全てを完了させることが必要と指摘した。
 


以下、各プレイヤーへのヒアリング結果を明らかにしていったが、まず、防衛省から。防衛省に限ったことではないが、政府にとって、ゲームというものはあくまで広報の付属にすぎないという点が重要だ。官公庁は、ゲーム会社に広報を依頼するのではなく、ゲームを作れる広報のプロに依頼をしたいというのが本音だそうだ。また、ゲームアプリについても楽しすぎるのも困るという。人が傷ついたり負傷したりするイメージも付きまとうため、真面目に広報活動をやっていると演出できるようなものが望ましい。
 


また、ゲーム開発を受注した会社へのお願いとしては、「技術の話は勘弁してほしい」との回答もあったそうだ。テクニカルなことよりも、ゲームの全体像や、これによって何が達成されるのか、数値目標や具体的な宣伝内容などの話を求めている。そして、より重要なこととして、ゲームを出すことでどれだけ話題性が獲得できるか、どれだけ拡散できるか、そして、それらの論拠やデータを出すと、発注側の評価が上がり、受注につながりやすくなる傾向にあるという。
 


続いて受注側である大広側の取材結果として、「みんなが簡単にできるゲーム」を目指したが、すぐに遊びつくしてしまうコンテンツは避けたいと考えた。また、防衛省に限らず官公庁内の稟議を通すため、巡回させやすい企画書を用意したことだった。政府の内部事情を考慮しないで企画書を作ると稟議に通りづらくなるため、よく理解したうえで作ることの重要性を強調した。また政府機関から受注することのメリットとして、未収金の発生や提示額の引き下げといったトラブルが発生しないことがある。
 


最後に、開発を担当したBBmediaは、ゲームのコンセプトとしては可愛くしすぎず、丸くて普遍的なデザインを心がけたとのこと。政府側からは、可愛すぎるものは「馬鹿にされている」と受け止められるという。また、政府側の出す資料が少なく、自力で資料を集めるのにも苦労したそうだ。発注側からすると、ゲーム制作の経験がないため、どういう資料を出したらいいのかわからず、開発会社が自前で集めてくれると考えている。資料が比較的公開されている自衛隊はともかく、それ以外の官庁では、事前に打ち合わせを行わないと資料が集まりづらく、納期までにゲームが作れなくなる恐れがある。
 


こうして苦労して開発された『自衛隊コレクション』だが、非常に反響が良かったため、発注元からも好評だったそうだ。「発注側も開発側も非常に鼻が高い」。Twitterでの反響が大きく、各種メディアでの取材も行われた。こうした反響は、政府側もチェックしており、政府機関は「ありがたいこと」と受け止めているという。計画外の2016年の追加リリースとなったのは、こうした事情が背景にある。
 


政府広報ゲームの開発を受注する要件としては、「マメで真面目な企業がいい」とのこと。きちんとリサーチして政府側にも説明して、最後まできちんと作れることが大事だ。政府側の求める要件さえクリアしていれば、ゲーム開発で豊富な実績を持っていなくても受注するチャンスはあることがわかったという。政府側の内部事情や組織文化を尊重したうえで、抱えている課題をクリアする企画を考えると有利になる。
 


最後に「政府広報ゲームは、ゲームというよりもいわばプロの集合知だ。政府側は公共や社会インフラのプロで、WEBメディアはメディアコンテンツの企画・制作のプロ、そして、ユーザーも情報拡散と二次創作のプロ。そういうプロが連携した結果、『自衛隊コレクション』の評判が高まった。つまり、こうした連携が取れるかを企画書に盛り込めるかどうかが重要。どういうゲームをつくるかのビジョンを行政に示しておくと、失注しても後にチャンスをくれることがある」と述べて講演を終えた。
 

 
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