【エイチーム決算説明会②】エンタメ、ライフ両事業とも過去最高業績を達成 4Qより『ヴァルキリーコネクト』も貢献 今期は先行投資で下期偏重の予算に


エイチーム<3662>は、9月9日、東京都内で2016年7月期の決算説明会を開催した。説明会に先駆けて発表された2016年7月期の連結決算は、売上高229億6700万円(前々期比45.1%増)、営業利益22億1200万円(同6.0%増)、経常利益20億9400万円(同3.2%減)、当期純利益12億9200万円(同5.1%減)となった。

説明会では、同社の林高生社長が通期の決算概要や第4四半期の事業別の状況、足元2017年7月期の第1四半期の進捗などの説明を行った後、質疑応答が行われた。その内容を踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■エンタメ事業、ライフ事業ともに過去最高の売上高・利益を達成


まずは2017年7月期通期の業績だが、売上高と営業利益は過去最高を更新した。さらにこれをセグメント別で見ても、エンターテインメント事業、ライフスタイルサポート事業ともに過去最高のセグメント売上高・利益を達成している。なお、売上高の伸びに対し、利益の伸びが小さくなっているが、これは「前期は先行投資の1年だった」(林社長)ためとなる。主な先行投資としては、「東京のゲームスタジオに1億円、本社移転に5億円、『ヴァルキリーコネクト』のプロモーションに3億円」(同)を行ったという。
 

続いて売上実績の内訳を表したのが以下のグラフとなる。全体の規模が大きくなっている中で、さらにエンタメ事業が大きく比率を伸ばしたほか、自転車Eコマースが順調に成長していることが見て取れる。なお、同社は2017年7月期より、Eコマース(EC)を新たなセグメント区分としている。
 

次に四半期ごとの推移に目を移してみると、第4四半期期間(5~7月)の売上高は前四半期比9.4%増の67億5700万円、営業利益は同6.4%減の7億4800万円、経常利益は同2.1%減の7億3600万円、四半期純利益は同5.0%減の5億400万円とQonQでは増収減益となった。売上高は四半期ベースで過去最高を更新したが、前述の『ヴァルキリーコネクト』のプロモーション費用3億円など、エンタメ事業の広告宣伝費が増加したことが利益率が低下する要因となっている。
 

 

■QonQではエンタメ事業が業績けん引 『ヴァルキリーコネクト』が貢献


第4四半期期間のセグメントごとの状況を見てみると、まずはエンタメ事業は6月9日からサービスを開始し、同23日から課金を開始した『ヴァルキリーコネクト』の売り上げが「1ヶ月強含まれている」(同)こともあって、前四半期比で20.7%の増収を達成した。
 

その一方で、海外売上比率は前四半期の21%から16%に低下した。これは『ヴァルキリーコネクト』の売上高が国内分だけに寄与した結果、相対的に比率が低下した形になる。なお、『ヴァルキリーコネクト』は海外展開も予定されており、今後は再び海外の比率が上昇することになりそうだ。
 

リリース年度別のネイティブアプリゲームの売上高の推移をまとめたのが以下のグラフとなる。今期については2015年度リリース物の『ユニゾンリーグ』と『三国大戦スマッシュ!』が伸びたことが最大の成長要因で、ここに第4四半期から『ヴァルキリーコネクト』がオンしてきた形になっている。
 

ライフ事業については、QonQでは2.8の減収となっている。これは例年第3四半期期間(2~4月)が引越し関連、自動車関連などの繁忙期で、その反動が第4四半期に出るため。しかし、この四半期はブライダル関連や金融メディア関連が伸び、例年に比べると落ち込みが小さくなっている。
 


■今期は下期偏重の予想 1Qは7億円の追加投資を実施


足元の2017年の第1四半期の進捗状況は、エンタメ事業は『ユニゾンリーグ』で「エヴァンゲリオン」「初音ミク」と大型コラボを実施しているほか、『ヴァルキリーコネクト』は9月6日に累計300万ダウンロードを突破した。

一方、ライフ事業は、ブライダル関連で東海地区最大級のブライダルイベントを開催しており、話題のVRの一般公開も実施している。
 

なお、2017年7月期通期の連結業績予想は、売上高320億円(前期比39.3%増)、営業利益33億円(同49.1%増)、経常利益32億5000万円(同55.2%増)、当期純利益21億5000万円(同66.3%増)となっているが、上期は売上高148億円、営業利益3億円、経常利益3億円、四半期純利益1億8000万円の予想としており、特に利益面で下期偏重の予算となっている。

これは第1四半期にエンタメ事業で大型プロモーションを実施するなど7億円の追加投資を実施することや、本社の増床を行い人材の獲得・強化を進めること、業績予想に『放課後ガールズトライブ』など新作のリリースに向けた先行投資を織り込んでいること、第2四半期も年末年始の商戦期に向けて、エンタメ事業で広告投資を行う予定であることなどが影響している。
 
 
(編集部:柴田正之)

 
株式会社エイチーム
https://www.a-tm.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社エイチーム
設立
2000年2月
代表者
代表取締役社長 林 高生
決算期
7月
直近業績
売上高275億5200万円、営業利益5億4300万円、経常利益7億1100万円、最終利益1億4300万円(2023年7月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3662
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