ゲーム会社のユニークな福利厚生を紹介(5) ガンホーのサンバカーニバルへの参加…団結力やモチベーションの向上と風通しの良い組織に貢献



ゲーム会社各社は、様々な特色ある福利厚生制度を導入しているが、今回、不定期連載としてゲーム会社のユニークな福利厚生制度を紹介していく。第5回目となる今回は、ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>で行っている「浅草サンバカーニバルへの参加」を取り上げる。同社社長室 室長の橋本裕之氏に制度の概要や導入の経緯、効果について話を聞いた。


――:よろしくお願いします。福利厚生の内容を教えて下さい。

当社は、浅草サンバカーニバルにおいて、企業スポンサー枠での出場権を持っているので、社員は「ガンホーアミーゴス」の一員として参加することができます。当社に勤務しているスタッフであれば誰でも参加できますが、グループ会社社員や取引先、当社を退職された方でも希望されれば特例でご参加いただいています。

浅草サンバカーニバルは、イベントとしても規模がかなり大きく、全体のレベルが高いものですし、気軽にチームを作って参加できるようなものではありません。当社の社員であれば、事前に練習に参加していただく必要はありますが、他の手段に比べてかなり気軽に参加できるものとなっています。



――:参加は自由ですか。

もちろんです。希望者のみで行っています。今年はサンバ隊列への参加が250人弱ありました。メインとなるダンサーが120人以上、楽器を演奏するバテリア隊も50人以上でした。さらに当日、参加者の誘導やドリンクの配布、メイク、メディア対応などを行う裏方もすべて社員が行い、裏方だけでも70人ほどの参加があります。


――:他の隊列を見ましたが、かなり人数が多いですよね。

はい。初めて参加した時は、200人弱の規模でした。その後、やるからには本気でやろうということになり、徐々に本格的なサンバのパートを追加していくようになり、現在では300人近い隊列にすることができました。企業チームでこれだけのパートと規模を持ったチームは他に例がないと思います。話を聞きつけた社外の参加希望者も毎年増えている状況ですね 。
 


――:練習や本番は勤務外の扱いになるのでしょうか。

いえ、会社として出場していますので、練習や本番日については、出勤もしくは残業扱いとしています。


――:終えてみての感想はいかがでしたか? 当日は残念ながら雨でしたが、かなり良かったように思うのですが。

ありがとうございます。社長の森下が話していましたが、今年はダンサーのステップや歌、音楽など新しい要素を取り入れたのですが、例年に比べて練習量が少なかったです。少し不安な気持ちで本番を迎えましたが、パフォーマンスは良好で、充実感もありました。


――:なんと。練習が少なかったのですか。

はい。今年はサンバプロジェクトを開始した時期が遅れたことや、『パズドラクロス』の発売などが重なったことと、本番前のリハーサルとして行う予定だった全体練習が台風でできなかったこともあり、全体の練習量としては少なかったです。しかし、練習量の少なさは各自が自主練をやってカバーしてくれたようです。
 


――:なるほど。導入した目的と期待したとおりの効果が出ているのでしょうか。

社内の団結力を上げることが目的でしたが、確実に効果が出ていると思います。通常の業務では、ゲームの開発・運営を行う開発部門と、マーケティング・総務・経営企画を行う管理部門が一緒に何かを作ることはなかなかありませんので、とてもいい機会になっていると思います。開発部門でもプロジェクト間のつながりを強めるのに役立っているようです。部署に関係なく、一緒にひとつのことに取り組むことでお互いに仲良くなることができますし、会社内の風通しはとてもよくなっていると感じます。本番前の社員の会話はサンバの話で持ちきりです(笑)。

また、社員にとってはモチベーションのアップにもつながっているようです。当社は、ガンホーフェスティバルなどのイベントもやっていますが、基本的にはデジタルコンテンツを作って提供しています。自分たちの提供するゲームをモチーフにしたダンスや音楽を自分の身体で表現できるというのは、ゲーム作りとは違った楽しさがあります。そして、なにより沿道に50万人もの観客がいるなかをパフォーマンスするのは普段では味わえない気持ちよさがありますよね。

 


――:そもそものお話ですが、サンバを始めた経緯を教えて下さい。

最初は当社が創立10周年のとき、何か面白いことに挑戦しよう、ということで始めたことが最初です。参加するイベントにはいくつか候補があり、必ずしもサンバでなくてはいけない、というわけではありませんでしたが、他のイベントよりも自由度が高く、ゲーム要素を取り入れることができるためです。ゲーム会社として出場するわけですから、ゲーム会社ならではのものが必要ですよね。

森下が最初にアナウンスしたときは、社員も本当に面白いのか半信半疑でしたが、実際に参加してみたところ、とても楽しく充実感がありました。普段、身体を動かさない社員たちからも「とても良かった」と反応があり、打ち上げも非常に盛り上がりました。そして、その場で森下が社員から来年もやりたいと詰め寄られ、「来年もやります」と言わされ、以後、毎年出場するようになりました。

ただ、毎年出場しているとはいうものの、継続的に出場しようと決めているわけではありません。去年も「今年で終わり」と話していましたが、結果として出場している状況です。というのは、他のサンバに変わるイベント企画も考えましたが、サンバほど社員が参加できるものではなかったからです。

 


――:課題と思うようなポイントはありますか。

毎年参加するイベントなので仕方ない部分もありますが、どうしても定番化・マンネリ化しがちです。毎年、衣装が変わるだけで同じことをやっている、ということになりかねません。今年はガラリと変えましたが、来年以降も参加するようであれば、何か新しい要素を入れて、常に変化させていく必要があります。仮にサンバに出なかったとしたら、大人数が参加できて、ゲーム要素が入れられて、そして何十万人単位の来場者の見込めるイベントを探すことですね。

また、社内の参加率を上げることも課題といえるでしょう。現状でもかなりの参加率があるとはいえ、全然参加していない社員もいるので、福利厚生という意味では、社員皆で楽しめるようなものにできたら、と考えています。とはいえ、練習が大変ですし、土曜日に出ることにもなりますので、義務化するようなことはありません。隊列に参加するだけでなく、裏方として参加することも十分楽しいので、イベントの楽しさや充実感を伝えていきたいですね。



――:来年はどういったことをされるのでしょうか。

本当に何をするか決定していません。来年はガンホーの創立15周年ですので、次の5年につながるようなものをやっていきたいと考えています。サンバにこだわらず、ガンホーらしいイベントをやりたいですね。今の段階では、森下も色々とぶっ飛んだことを話しています(笑)。決まった時にまたお伝えいたしますので、楽しみにしていただければと思います。


――:期待しています。ありがとうございました。

 
(編集部 木村英彦)


 
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ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
http://www.gungho.co.jp/

会社情報

会社名
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
設立
1998年7月
代表者
代表取締役社長CEO 森下 一喜
決算期
12月
直近業績
売上高1253億1500万円、営業利益278億8000万円、経常利益293億800万円、最終利益164億3300万円(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3765
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