【TGS2016】『アナザーエデン』加藤正人氏&『消滅都市』下田翔大氏、2大シナリオライターの熱い対談が実現した「アナデンまつり」3時間目


グリー<3632>は、9月15日から9月18日までの期間、千葉幕張メッセにて開催されている「東京ゲームショウ2016(以下 TGS2016)」において、9月17日11時より、実施していた「『アナデンまつり』アナザーエデン超大盛感謝祭6時間生放送」。

本稿では、13時より放送された「シナリオ」パートについてのレポートをお届けしていく。本パートには、シナリオ・脚本・演出を手掛ける加藤正人氏、『消滅都市』リードゲームデザイナーの下田翔大氏を招き、「シナリオライター対談」を実施。なお、プロデューサー兼ディレクターの高 大輔氏も前コーナーに引き続き登壇し、司会進行を務めた。


▲『アナザーエデン 時空を超える猫』のシナリオ・脚本・演出を手掛ける加藤正人氏(写真左)と、『消滅都市』リードゲームデザイナーの下田翔大氏(写真右)。

本作では、シナリオだけでなくイベント演出まで自身で担当しているという加藤氏に、下田氏が「制作において、演出とシナリオどちらが好きですか?」と質問。加藤氏は「どちらもですね。自分で書いた話は自分で形にしたくなります」と返答。下田氏もこれに同調し、早くも同じシナリオライターである二人が意気投合する場面が見られた。

二人によれば、指示をト書きにして伝える作業にも時間がかかるのだという。『アナザーエデン 時空を超える猫』(以下、『アナザーエデン』)に関しては、加藤氏がひとりで担当しているため、セリフのみを書き出して作業を進めているのだとか。


▲ちなみに、加藤氏と下田氏が場を設けてがっつりと話す機会は今回が初とのこと。

また、今度は逆に加藤氏が下田氏に聞きたいことを質問。「ゲームシナリオをディレクションしてご自身で書かれているときに、何を1番大事にされていますか?」と問われた下田氏は、「細かいところはいろいろありますが、本当に1番大事だと思っているのは"キャラクターの動機"です」と答えた。この意識は、下田氏自身がキャラクター造詣という分野が得意でないという自覚から来ているのだという。「苦手だからこそ気を遣わなければ、どんどんペラペラになっていってしまう」と語った。

加藤氏の描くシナリオについて下田氏は「加藤さんのシナリオは、テキストだけに収まっていないところが魅力的だと思います」と話す。これに加藤氏は、ゲームでシナリオを書く際は「システムとしての遊びが先にあって、それに基づいて今回の話がどうあるべきか。ゲームとしてストーリがあるというのはどういうことなのかというのが毎回、自分の中にあります」と、自身が最も大切にしているポイントを明かした。加藤氏には"ゲームでしか書けない話を書きたい"という想いがあるとのこと。また、如何にプレイヤーを騙して、新しい体験をさせるかということを考えながら制作に取り組んでいるという話を展開した。

しかし、昨今は制作の際にネット検索が多用されるため、全員が同じものを目にすることからイメージが収束してしまい、同じものが出来上がってしまうと、便利さの裏にあるデメリットを指摘。オリジナリティが如何に重要かという点が議論された。下田氏は、「例えば、剣をネットで調べたとして、見た目は分かるものの、それでは実際手にしたときの重さが感じられない」と語る。加藤氏は、こういった現象は仮想がリアルに伴っていないことから起こるため、現場で実際にその動きをしてモーションを確認するといった対策を取っているのだとか。

そのほか、1年ほど前から本プロジェクトに参加したという加藤氏は「最初に入ったときは20人ほどの規模でした。コンシューマーでは、50人以上で2~3年かけて制作するのが当たり前になっている時代なので、この規模で1年ほどかけてゲームを制作できることに懐かしさと嬉しさがありましたね」と当時の想いを吐露した。制作を近くで見ていた下田氏は、加藤氏のシナリオによって人が集まり、他の要素が出来上がっていった結果が現在の形であると分析する。また、本プロジェクトに参加するまで10年以上フリーランスとして活動してきたという加藤氏は、新たな若手と仕事を共にできる環境であることが新鮮だと話す。

続いて話題は、『アナザーエデン』で最初に登場する街の話へ。下田氏は初めてこの街を見た瞬間から「生きている街の感じが凄く加藤さんらしいと思った」という。どれだけ時間を費やしたら全てを体験できるんだ、と感じるほどの作り込みになっているとのこと。しかし、加藤氏によれば「最初はスマホで遊ぶゲームということを考えて、それほど作り込むつもりはなかった」とコメント。短時間で遊ぶ人が多いとの予想から、話の展開も短めにして次々と進んでいくようなものにしようとしたが、スタッフから「もっとキャラを書き込んでください」「最初の街にもっといろいろ要素を入れてください」といった要望があったと当時を振り返る。「いつもは始めに詰め込みすぎて「事件が起きない」「スロースターターだ」と言われるので、ガンガン飛ばすぞと意気込んで書いていたところに指摘が入って注文に応じていたら、いつも通りの自分の話になってしまいました(笑)」と制作時のエピソードを語った。

また、下田氏はそれと同時に「加藤さんが作るテキストにしては町人の台詞が異様に短い」ということも感じたという。これは、始めこそ短めに設定されているが、物語が先に進むにつれひとつひとつのイベントが長くなっていると加藤氏は明かす。これに下田氏は自身が制作する『消滅都市』に照らし合わせ「確かに、『消滅都市』も始めはユーザーを引き込むために5タップ~8タップで終わる分かりやすい物語にしているのですが、ゲームの進行に合わせて複雑で奥深いものを用意するようにしています」と話した。こういった構造の部分は、『アナザーエデン』にも共通するところがあるという。ただし、ただ長いものではなく、無駄なものを一切排除したうえで必要最適減のものとして用意しているので、質の問題だと思いますと続けた。下田氏も「ひとつのゲームである以上、このゲームでなければ味わえない体験ができないとクリエイターとして負けになる」と熱い想いを語った。

ここで本コーナーは終了となったのだが、最後の挨拶直前に加藤氏が発した「カエル」というワードに突如、慌てる高氏。詳細については明かされなかったが、今後、『アナザーエデン』において、この「カエル」というワードに関する仕掛けがどのように用意されているのかに期待したい。


▼「『アナデンまつり』アナザーエデン超大盛感謝祭6時間生放送」タイムシフト視聴はこちら
http://live.nicovideo.jp/watch/lv274384969


 

■『アナザーエデン 時空を超える猫』

 

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会社情報

会社名
グリー株式会社
設立
2004年12月
代表者
代表取締役会長兼社長 田中 良和
決算期
6月
直近業績
売上高754億4000万円、営業利益124億9800万円、経常利益130億8600万円、最終利益92億7800万円(2023年6月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3632
企業データを見る
株式会社WFS
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会社情報

会社名
株式会社WFS
設立
2014年2月
代表者
代表取締役社長 柳原 陽太
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