アプリストアの決済手段の拘束や不透明な返金処理は「優越的な地位の濫用」の可能性も…経済産業省が研究会報告書を公開

経済産業省は、9月15日、同省サイト上で「第四次産業革命に向けた横断的制度研究会 報告書」を掲載した。スマートフォンのOSのシェアにおいて、AppleとGoogleによる寡占状態になっており、プラットフォーマーの競争優位が固定され、支配的地位となっている可能性が懸念されるとした。そこで、同省は、第四次産業革命に対応する「競争政策」、「データ利活用・保護」、「知的財産」という業界横断的な制度のあり方について検討を行ってきたという。

報告書では、まず、GAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)といったプラットフォーマーの特性を分析した上で、公正取引委員会と共同で行った「オンライン関連事業に関する共同ヒアリング調査」によって判明したスマートフォンアプリなどのコンテンツを含む電子商取引等の実態を紹介した。そこで以下のような実態が明らかになったという。

・決済手段に対する拘束
・硬直的な価格体系
・アプリ間で共通の仮想通貨の禁止
・自らの提供するアプリと競合するアプリの排除
・販売や返金処理等に関する情報提供の少なさ
・不透明な審査基準とその運用
・アプリストアを経由しないサービス提供の制限
・秘密保持契約の締結

こうした実態が独占禁止法等の法令違反に当たるかは、詳細かつ精緻な検討が必要としたものの、研究会での議論では、決済手段の拘束や不透明な返金処理については、独占禁止法の定める「優越的な地位の濫用等」にあたり得るという指摘があったとのこと。また、秘密保持契約があることにより、任意の調査で得られる情報には限界が生じており、公正取引委員会による強制力を伴った調査が必要との指摘も出たそうだ。

そこで、当面の取組として、①適切に状況を注視していくこと、②公正取引委員会が独占禁止法に違反する事実を認めた場合には、厳正・的確な法執行を行うという。その一方、第四次産業革命の下では、既存の独占禁止法等の法令や、競争法理論では対応できない状況が生じ得ることを踏まえ、産業振興の観点から独占禁止法にとらわれない新たな制度の導入について、今後広く検討するとした。

このほか、データ利活用・保護と知的財産に関する調査も掲載されているので、興味のある方は下記サイトを参照のこと。


 
■関連サイト

第四次産業革命に向けた横断的制度研究会報告書を取りまとめました
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