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【連載】ゲーム業界 -活人研 KATSUNINKEN- 第二十六回「リーダーシップとは…」

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株式会社ファリアー 代表取締役 社長の馬場保仁氏が、ゲーム業界の人材・採用に関して語っていく連載記事「ゲーム業界 -活人研 KATSUNINKEN-」。同氏は、セガで家庭用ゲームの開発を、DeNAではスマホアプリ開発のプロデューサーを担うほか、人事・採用担当も兼任していた。ファリアー社を創業し、“人は人に活かされる”をモットーにゲーム開発、人材発掘・育成にこれまで以上に注力していく。開発現場・採用担当、双方の視点からゲーム業界における“人”に対してスポットをあてた連載記事。 


 

■第二十六回「リーダーシップとは…」



 
今回の活人研は、学生、社会人共通の課題、リーダーシップについて語りたいと思います。
と、いうことは大前提として「個人制作」ではなく「チーム制作」における、という意味になります。
 
古今東西リーダーシップに関しては研究がなされてきましたし、ある程度の体系が構築されています。軍隊、有事におけるリーダーシップもあれば、企業における社長はじめとする決定権をもつ方々のリーダーシップや、スポーツの監督などに求められるリーダーシップなどなど・・・。書店にいっても1つコーナーがあるほどですし、スポーツで目覚しい活躍をしたチームの監督の語録をまとめたものなどがすぐに発売されたりもします。
それくらいに、この日本においては優れたリーダー」「巧みなリーダーシップのようなものが求められているように思います。
 
ここでは、ゲーム開発におけるリーダーシップを主に扱っていきますが、
 
軍隊
スポーツ
会社の経営

など
 
とは、やや趣を異にするといいますか、わかりやすい目的、GOALの設定が難しいために、混乱することも多いのではないかと思います。
軍隊やスポーツであれば、負けない、勝利、生き残る、拠点の占拠など、目的がはっきりとしています。

会社の経営でいえば、理念やヴィジョンさえしっかりしていれば、そこにどう向かうのか?を現場は考えて行動すればいいだけなので、やはり比較的はっきりしていると思います。基本、「営利追求」という目的はあるわけですから・・・ただ、この場を借りてわたしの意見を述べさせていただくとすると、会社の経営に関する目的には以下の3つがなければいけないと思っています。
 
①企業理念、ヴィジョンにのっとって設定されたGOAL
②営利追求
③社会貢献

 
です。①は、その会社ごとに定められていると思いますので、お任せいたします。逆にこれが希薄である場合、勢いがあるうちは大丈夫なのですが(②に向かって爆走してますし、結果もでているので誰も不安に思わないので)少しでも勢いに陰りが見えたり、企業として黎明期を終え、成長・安定期を迎えてくると各自に余裕が生まれるために、様々な方向性が模索されます。が、その時にこの理念やヴィジョンが希薄であったり、合意ができていないと迷走しやすくなります。一番悲しいのが、設定されているにも関わらず、周知徹底やイメージ共有、合意が形成されていないがために効果を発揮しないということも、繰り返されてきたと思います。

なので、中では「クレド」のようなものを設計・設定して、それを理念+アルファとして会社の方針、バイブルとして仲間を募り、前に進んでいこうという企業も見られます。そして、①②を履行した上で、その企業の存在意義を明らかにするためにも、③が実行されていて欲しいと思います。やはり、企業は、存在する以上は、雇用以外にも社会貢献をどのように実行するか?も大切なことだと思います。個人ではなく、企業でないとできないこと、というのがあるからですね。
 
さて、次にこのコラムらしくゲーム開発におけるリーダーシップについて言及したいと思います。そもそも、ゲーム開発におけるリーダーとは誰なのでしょうか?チームの構造上、
 
・プロデューサー 売上の責任者(ただし、これはプロの場合。学生には不在)
・ディレクター  品質、面白さの責任者

 
が、その任を担うことが多いでしょう。ただ、チームは大きな1つのものだけでなく、その中に、
 
・セクション(企画、デザイン、プログラマ、サウンドなど)
・パート  (イベント班、バトル班、フィールド班、アイテム班など)

 
小さなチームがいくつも存在していることでしょう。
(あくまでもプロの場合ですね。学生さんたちのチームでチームがあまりに細分化されることはそもそも、人数の関係上少ないでしょうし、チーム開発経験が少ないうちに下手にパートやセクションをわけることは、責任の隙間が発生したり、互いのタスクが不明瞭になることもままあるので、できるだけ3~6人ほどの人数でチームを構成し「1つのチーム」で推進していくことをオススメします)


つまりリーダーは、チームの人数が多くなれば、1人でなく、その組織単位で存在するということになります。リーダーというのは、組織上の役割だ、ということですね。
 
また、ゲーム開発におけるリーダーシップは、フェイズによって求められる質が異なるように思います。
 
①企画立案期
②プロト施策期
③αにむけて、クオリティのベースライン策定&仕様確定期
④βにむけて、量産期
⑤マスターアップにむけて、デバッグ、調整、ラストスパート期

 
ざっくりわけると、このような工程にわかれると思いますが、
 
・①②③ のように…
 →もやもやした中から、目指すべきGOALを構築している時期
・④⑤  のように…
 →定めたGOALに向かって、必死に且つ、効率よく突っ走っている時期
 
では、やや求められるものが異なる部分があるかと思います。
前者は、どんどん案をださせて(もしくは、自身が皆をときめかせるようなアイデアや提案をだすことですが、これは、なかなか難しいのと、せっかくチームでやっているのでもったいないと思います。良きチームというのは、チーム全体でクリエイティヴですし、それは、風通しよく、さまざまな意見、アイデアが溢れ出るチームであることをさすと思いますので)数ある中から、トライアルをスピーディに行い、期間を定めて一定の答えを出す、ことに向けて発揮されなくてはなりません。
つまりは、単に「引っ張る」とかでなく、
 
・積極的にアイデアや意見がでる仕組みを提示、運営する
 →それが難しければ自身からGOALに向けてのロードマップをすべて提示すること。(苦しい)
 
・トライアルやブレストの際に妙な「足かせ」をつくらない
 →自由な発想、モチベーション高い開発の妨げになる、実現可能性を前面に押し出した枠組みや条件などはかえってものごとを進ませません。(もちろん、期限をみてはありますが)
 
・とにかく、決める
 →溢れ出たアイデアやタスクも決めないと実行できません。とにかく、進めるために、決めることが大事です。
 
・ただし、1つ1つのトライアルはスピードもって実行する
 →早ければ、やり直せる。スクラップ&ビルドを何度出来るか?が正解なき旅路のGOALを見つけやすくする。
 
・コンセプトのような「軸」の設定、共有、伝達、浸透に腐心する
 →ここがズレ始めると疑問がチームにうまれ、GOALが遠ざかります。ただし、最初の設定がそもそも曖昧だとあとで必ずブレが発生するので、最初にしっかりと、言語、イメージ、動き、流れなどすべて合意する必要があります。
 
といったようなことを、率先して、自身がまずそのことに真摯に向き合い、誠実に実行していくことが大切です。もちろん、頑張って、一生懸命やるだけが正解ではありません。頑張ってもこの軸やアイデアがすんなり生まれるとは限らないからです。(ただ、軸や課題、アイデアのかけらがまったくない段階で、4人以上のチームを組んでなにか始めるのはかなり時間がもったいないと思いますので、まずは少人数で軸の枠組を固めてから、アイデアを大量に生み出すフェイズにはいると良いのではないかと思います。そうでなければ、テーマだけ設定して、最初から大勢で、活気あふれるブレーンストーミングをして、良きアイデアのカテゴリー、集合体ごとに意見をまとめて、コンセプトメイクして、コンペする!とかもありかもしれません)

ただ、良きアイデアを出すためには、
 
「大量にアイデアをだすこと」
 
は、かなり近道の1つであることは間違いないと思います。しかもそのアイデアの海が可視化されることで、別の人間が見て、次なるイメージ、アイデアに昇華、発火することが可能だからです。
これら生み出すフェイズにおいてリーダーシップというものは、
 
・たくさんアイデアが出る環境とその運営
・とにかく、いったん「決める」こと
・時間を区切って、トライアルの回数を増やしてGOALを策定する
・とにかくモチベーション高く行くためにも、つまらない枠や制限をかけない
→以上、これらの責任を担い、自らも率先してこれらを誠実に実行すること

 
にあると思います。もちろん、これだけではなく、売ることが優先のタイトルであったり、技術的なものへの挑戦のタイトルもあるかと思います。ただ、そうであったとしても上の3つに関してはリーダーが重要視してチームに浸透させていきたいところ、です。新たなことへの挑戦は、「ゲームとしてのアイデア」であっても「技術的な挑戦」であっても、「プロデュースワーク的見地からの挑戦」であったとしても、変わらずイノベーティヴでなくてはならないからです。
 
次に④⑤のGOALに向かっているときに求められることは、、、
 
・無駄なく効率よく、定めたものに対して遂行されているか?の確認
・①②③で定めた「軸」は守られて開発が遂行されているか?の確認
・「軸」を達成するために実装されているものに漏れはないか?の確認
・チームメンバーは心身ともに健やかにことにあたっているか?の確認
など

 
というように、GOALが見え、道筋がはっきりしたあとは、クオリティと人員に関する確認、管理の業務がウエイトが増します。もちろん、これらの管理確認は①②③の時期にもないわけではないですし、ゲームを更によくするためのアイデアがうまれやすい環境は、④⑤の時になっても、同様に必要ではあります。あくまでも、ウエイトがかわるということですね。
 
ここまで書いてくると、「あれ?リーダーシップじゃなくて、マネジメント業務について書いてませんか?」と思う方もいらっしゃると思います。わたしは、リーダーシップとマネジメントはイコールではないと思っています。が、同時にリーダーシップが先天的なものだとも、精神的なものだとも思っていません。
 
・ぐいぐい圧倒的なパワーで皆を「巻き込んで」導いていくリーダー
・とにかく自分が率先して動いて「背中を見せ」導いていくリーダー
・何かをするわけではないが、「とにかく風通しよく、ケツをもつ」ことでうまく担がれるリーダー
 
ただ、これは、その人のスタイルもありますし、その時構成されているチームの人員のパーソナリティとの相性もあります。なので、このリーダーの示すスタイルに加えて、開発の前半と後半でウエイトを変えて全うしていかなくてはいけない事象、項目を洗い出すことで、
 
ゲーム開発におけるリーダーに必要なこと
 
というのが、明らかになるのではないか?と考えたということです。
5人のチームと、30人のチームと、100人を超えるチームでは、自ずとかわるところもあるとおもいますが、リーダーたるもの、誠実に率先して、責任をもち、各種管理しながらも、キツキツにせず、風通し良い組織でいけるか?がとても大事なことだということです。
 
今回はこれまで。
 


■著者 : 馬場保仁
株式会社ファリアー 代表取締役社長。過去、セガ(当時 セガ・エンタープライゼス)で『プロ野球チームをつくろう!』『Jリーグプロサッカークラブをつくろう!』など多数のゲーム開発に従事。その後DeNAにてスマホアプリ開発のプロデューサーを担うほか、人事・採用担当も兼任。現在は、ファリアー社を創業し、“人は人に活かされる”をモットーにゲーム開発、人材発掘・育成にこれまで以上に尽力している。著書に「ゲームの教科書」(ちくまプリマー新書)がある。
 



■ゲーム業界 -活人研 KATSUNINKEN- バックナンバー

第二十五回「思考のスタミナ」

第二十四回「出て行く勇気」

第二十三回「個人でつくる・集団でつくる」

第二十二回「指摘される勇気、指摘する気遣い」

第二十一回「どこを見るか? どう採るか?」

第二十回「100%の力を発揮するために……」

第十九回「まずは、”伝える”ことから始めよう!」

第十八回「カード少なく勝負に挑まない」

第二回「学校トーク!!」…三者鼎談【後編】(第十七回)

第二回「学校トーク!!」…三者鼎談【前編】(第十七回)

第十六回「新人事始」

第十五回「就職活動にみられる地方格差」

第十四回「【思いやり】の向こう側

第十三回「仕事選び 〜成長・夢・時間〜

第十二回「本当にそれは、ゲームに必要か?」

第十一回「ハッカソンの功罪」

第十回「会社選びと成長(プロ、アマ問わず)」

「学校トーク!」 東京工芸大学 『パックマン』生みの親 岩谷徹氏に訊く【後編】(第九回)

「学校トーク!」 東京工芸大学 『パックマン』生みの親 岩谷徹氏に訊く【前編】(第八回)

第七回「学生さんにやっていただきたいこと~前編~」

第六回「学生さんにやっていただきたいこと~前編~」

「社長トーク!」第1弾 コロプラ 馬場功淳 社長【後編】(第五回)

「社長トーク!」第1弾 コロプラ 馬場功淳 社長【前編】(第四回)

第三回「若手のチャンスとキャリアパス」

第二回「企業×学校×学生」

第一回「ゲーム業界って本当に人手不足なの?」
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