VR市場の現状と今後の展望は? 「緊急課題!?コンテンツビジネスとVRの近未来像」レポート1


10月24日月曜日~27日木曜日にかけて、「JapanContentShowcase2016(JCS2016)」が東京・お台場及び渋谷で開催された。
VR元年と呼ばれる2016年も、残すところあと2ヶ月。日本国内の事業者が続々とVRコンテンツへの対応が進めていく今、3Dテレビやセカンドライフといった遺物の影に怯え、一時の盛り上がりだけなのでは?と不安に思っている方も多いのではないだろうか。

そんな中、JCS2016では、「緊急課題!?コンテンツビジネスとVRの近未来像」と題したセミナーが行われた。内容は、VRコンソーシアムの藤井直敬氏がモデレーターとして、レコチョクの稲荷幹夫氏、NHKエンタープライズ神部恭久氏、日本アイ・ビー・エムの山口有希子氏がパネリストをつとめ、VRの過去、現在、今後の展望をなどを話し合うというもの。

本稿では、まずVRコンソーシアムの藤井直敬氏が、VRについての現状と今後の展開について語ってくれたVRの現状と展望をレポートする。


■昔からあるVRの技術。そして現在と、今後の展望は
 

バーチャルリアリティ(VR)はエンターテイメントのツールではなく、人の認知境界を拡張し進化させる環境技術。簡単に言うと、人間の感覚を拡張する、進化させる技術だと考えています、と藤井氏はまず語った。

過去を見るとVRは随分前からある技術で、一番最初に世に出たのは50年前ほどになる。今あるのは1980年代にNASAが作ったHMDが元であり、今のHTCViveやOxulus Riftといったものと仕組みとしては変わらない。ただ、今まで技術として存在していたものの、マーケットが存在しなかったので、VRは何度も失敗しているという。
 

だが、VR元年の名の通り、各メディアでの注目は非常に高い。過去からある同じ技術を、現在で再発明したのが「Oculus Rift」だ。300$程度と値段の安さが際立っており、KickStaterで大好評を得たデバイスだ。性能も良く、FACEBOOKに2500億円で買収されている。その後、HTCViveやPlayStationVR、OSVRやGearVRといったハイエンドからミドルエンドのVR製品が本年度に全て登場していると紹介した。
 

各々の機器はまだ高額であり、マーケットを作るにはまだ高いと思っているが、幸いPlayStationVRのローンチは非常に順調であり、ハイエンド寄りのVRを引っ張っていくだろう。その一方でスマートフォンを使ったVRもある。おそらくこちらの方がマーケットは大きいと考えられているとのこと。
 
さらにGoogleはDayDreamというスマートフォンに特化したサービスを提供しようとしていることや、藤井氏が代表をつとめるハコスコの製品、スマートフォンにただレンズつけた製品なども紹介。こういった製品でもかなりの没入感が出ると同氏は語った。
 
 
 
では今後の展開はどうだろう。同氏は、今回いままでのVRマーケットに比べてシュリンクはしないのではないか、と見解を述べた。これは、過去の状況とは異なり、GoogleやFACEBOOKには非常に大きなお金が動いていることを上げ、そのインパクトがどこにも残らないということはあり得ず、VRは新しいマーケットを作っていく、これは当たり前のこととして考えてよいだろう、と強くアピールした。
 

SocialVRInfoの国内VR俯瞰マップ(8月のもの)。マップはこちらから
 
日本でも各事業者が様々な領域ごとに、得意な分野でVR関連サービスをはじめようとしている。マップは夏の段階もので、2ヶ月経った今ではもっと多くの事業者がおり、これから半年、1年ではスライド1枚では書ききれない数の人たちがビジネスを始めると今後の展望を述べた。
 

最後に藤井氏は、新しいテクノロジーが社会に実装される際の図を用いて、現在のVRの状況と今後の見解について語った。

現在の市場はまだ一番最初の登り始めた段階で、半年か1年以内に、1回シュリンクし、そのあと地道に大きくマーケットが育っていく。これから半年の間に大きく盛り上がっていき、がっかりするフェーズがきても、そこで諦めないこと。そこが、新しいマーケットを作りあげるチャンスがあると考えていると、強くアピールした。

その上で、事業の参入を検討している方や、興味のある方は、この流れを読む。そしてこのパネルを通じて、自分たちのリソースと、これから何ができるか、どういう新しいサービスできるのか、を考えていただけるとありがたいと締めくくった。