【グリー決算説明会②】QonQで各利益項目とも増益を達成　『SAOメモリー・デフラグ』など新作寄与で国内ネイティブゲームのコイン消費が急回復　

グリー<3632>は、11月1日、東京都内で決算説明会を開催した。同日発表した2017年6月期の第1四半期（6～9月）の連結決算は、売上高149億円（前年同期比22.8％減）、営業利益25億円（同42.0％減）、経常利益25億円（同35.6％減）、最終利益108億円（同352.0％増）となった。

9月21日に発表した修正予想対比で見ると、売上高はほぼ予想通りながら、各利益項目は上ブレしての着地となっている。

同社の田中良和社長（写真）と取締役執行役員常務の秋山仁氏が決算概要や事業概要などの説明を行った後、質疑応答が行われた。その質疑応答の内容なども踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■QonQで増益を達成　前四半期の一時費用発生の反動で利益率改善

まずは業績を四半期推移（QonQ）で見てみると、第1四半期は売上高が前四半期比7.3％減ながら営業利益は同3.3％増、経常利益は同31.3％増、最終利益は同87.9％増とQonQで増益を達成した。前四半期は広告宣伝費や、サーバー費用削減に向けた先行投資、のれんの一括償却など一時費用の発生で利益率が大きく低下していたこともあって、営業利益率が前四半期の14.2％から17.1％に改善したことなどが、その要因となっている。
 
実際に第1四半期の費用構成の詳細を見ると、広告宣伝費はQonQで5億8000万円の減少、賃貸料は3億3000万円の減少、のれん償却額は4億1000万円の減少とはっきりと数字になって表れている。なお、広告宣伝費は北米の減少分も加味されているとのことだ。
   

■2Q以降に6タイトルのリリースを予定　VRはパートナー企業との事業展開が拡大

続いて各事業の状況に目を移すと、ゲーム事業は国内ネイティブゲームのコイン消費が前四半期の37億コインから46億コインに急回復した。これは新作ゲーム2タイトル『追憶の青』と『ソードアート・オンライン メモリー・デフラグ』（配信はバンダイナムコエンターテインメント）が好調な立ち上がりを見せたことが大きい。
 
なお、今期は第2四半期以降に6タイトルのリリースが予定されている。

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一方、海外ネイティブゲームについては、「古くなった一部タイトルを売却してきた」（田中社長）が、10月6日にミッドコア層向けのRPG『DragonSoul』を取得した（関連記事）。

また、2016年8月には、『NARUTO－ナルト－ 疾風伝 ナルティメットブレイジング』を北米と欧州で配信開始するなど、ライセンスタイトルのグローバル配信も進めている。
 
子会社ファンプレックスによるゲーム運営事業は、10月20日にジークレストから『ぐるぐる召喚マジカルギア』を譲り受け、スマートフォン向けゲームアプリ運営事業に本格参入することを発表した。
 
新領域事業と位置付けている「住まいPF事業」「ヘルスケアPF事業」「広告メディア事業」などは、トータルで売上高が前年同期比1.5倍に伸長した。また、この新領域事業の中で注目されるのはVR事業で、アドアーズとの業務提携によるVR常設型の専門店舗の開設や、スクウェア・エニックスとの『乖離性ミリオンアーサーVR』の共同開発など、パートナー企業との事業展開が拡大している。
   

■2Qは既存タイトル、新作とも保守的に見込む

なお、2017年6月期の第2四半期期間（10～12月）の業績予想は売上高が151億円、営業利益が15億円、経常利益が14億円、当期純利益が7億円の見込み。業績予想の前提は、国内ネイティブゲームの既存タイトルの成長、新規タイトルの寄与ともに保守的に設定した数字になっているという。

なお、営業利益と経常利益が減益の見込みとなっているのは、コストとして有力タイトルへの広告宣伝費の投下や、複数タイトルのリリースに伴う賃貸料の増加、『DragonSoul』取得に伴うのれん償却費を織り込んでいるため。

なお、田中社長は「今期は業績を反転させ、第3四半期、第4四半期ともトップラインを伸ばしていくことを考えている」としていた。