三笠で『VR戦艦大和』竣工記念式典開催! イベントレポと横須賀グルメ、軍港巡りなどをフォトレポートでお届け!

10月29日から11月13日にかけて、横須賀は記念艦三笠にて開催されている「VR戦艦大和 竣工記念式典」は、発売間近のVRコンテンツ『VR戦艦大和』をいち早く体験できるイベントだ。事前インタビュー(前回の記事リンク)でも少し触れたが過去にも記念艦三笠で体験会を開催しており、横須賀という立地ながら遠方からの来場者も多い。

これはTwitterで支援者が広めてくれたおかげでもあるだろう。晴天とはいかなかったが秋雨も降らぬ曇天の下、多くの体験希望者が戦艦三笠に訪れた。当記事では、前半にイベントや三笠の紹介、後半には軍港巡りや横須賀での食レポをお届けする。
 

■「VR戦艦大和 竣工記念式典」開催

コンクリートなどで公園に固定されているとは言えど、現存する唯一の前弩級戦艦としての姿は美しく、来艦者の年齢層も様々。ちなみにお船のゲームで有名な「ヴィッカース社製」である。三笠の全長は約130mで、大和の大きさはほぼその倍だ。VRで観る事のできるその威容は、見る者にある種の感動すら起こさせる。
 

艦内に展開されたプレイルームでは、当日を楽しみにしていたファンや偶然三笠に来ていた客も集まり賑わいを見せる。年齢層も性別もまちまちで、若い男性かもしくは壮年中年が見に来るだけではないのだ。今回のプレイは、すでに桟橋を出て大和へ向かう船に乗っている状態からスタート。製品版だと乗船するのにも動作があるのだが、「竣工記念式典」ではそのまま大和甲板上にて艦長と対面する。

紹介と説明を受けた後、主砲の射撃訓練へと移行、という流れ。プレイ時間は短く物足りないという声も聞かれ、自分で移動できないものであったが、VRの体験は装着から説明まで時間がかかるので、この対処は仕方ないのだろう。TGSでの各ブースの混乱を経験していると、それが実感として蘇ってくる。何せ、プレスでさえ数時間待ちだったのだから……。
 
 

それとは違い、今回の竣工記念式典は驚くほどスムーズ。やはりVRは体験しないと「実感」できないため、より多くの人に触れてもらいたいという気持ちがあるのだろう。自分で大和艦内を探索する楽しみは、発売まで待つしかなさそうだった。
 

■体験者へインタビュー

男性(20代):大和を見た時に、大きくて迫力がありました! 46cm砲がもの凄く大きいという前知識は持っていましたが、実際に見てみるととにかく迫力が桁違い。主砲発射の時にも本当に迫力があって驚きました。今回がVR初体験で、VR機器はまだ未購入です。

現状購入は考えていませんね。金額の安いものが出れば考えますが、やはりまだちょっと高い。基本装備だけで10万くらいしますもんね……ほら、現状買っても遊ぶゲームが少ないじゃないですか。今後は欲しいソフトが出てくると思うので、それらが出揃ってきたら買うと思います。元提督ではありますが、今回のVR体験で改めて思ったのは、やはり「戦艦と言うものは本当にカッコいいな!!」という事でした。

男性(40代):視界がぐるっと360度あって、見たい方向を見ると見たい景色が広がっているところに魅力を感じました。また、乗組員の所作からは、生活感や職場の雰囲気のような息遣いがあった。そこには匂いすら感じるような実存性がありました。

視覚から得られる快感と言いますか、楽しさには「制作陣よくやった!」と拍手を贈りたいです。頭が下がりますよ。体験版だけでこれだったならば、製品版になって自分で動かせたらたまらないんじゃないかと思います。自由になる資金があったら、年末は『VR戦艦大和』で遊びたいですね。やはり現状、機器を揃えるのが大変ですし……。

『VR戦艦大和』をプレイするだけじゃなくて、歴史的な価値があるものだと思います。それを体験できたのは、本当に「ありがとう」と言いたい。昔の人でも極一部の人だけが体験できた事を、誰でも楽しめるという幸せがありました。

パパさん:Oculus Riftを初めて体験したんですが、凄く楽しかったです! HMDを着けて後ろを見たら、艦橋が見えたりレーダーが回ってたりして興奮しました。体験で観る事ができた主砲の射撃は「その部分だけ」が見えるのかと思ったんですが、下を覗き込んだら下の方も見えてびっくり。

伝声管や測距儀なんかも見えて、細かい作りこみにも驚きました。今回のイベントを知るきっかけは、実は子供がTwitterを見て教えてくれたんです。この子、戦艦好きでして。VR機器はまだまだ高価なので簡単には買えませんが、今後手の届く範囲に入ってきたら是非購入してプレイしたいですね。欲しいんですが、やっぱり高い。

少女A:今日は三笠を見に来ました。そこでイベントをやっている事に気が付いて、体験してみました。だからこのイベント自体を知らなかったんです。VR自体が初めての体験で、やってみて凄くリアリティがあってカッコ良かった。やっぱり大和が主砲を撃ったところが一番良かったです! 次は実際に戦ってるシーンなんかも見てみたいなあって思いました。

とある姉弟

姉:弟がこの事を知っていて、それでここに来ました。
弟:Twitterでやる事を知って、行ってみたいなと。

姉:大和は大きいし、見て感動しました。もっと長く見ていたかったです。ご飯を作るところとかも見たかったなあ。
弟:甲板に上がって、後ろを見てもどこを見ても再現されていて、再現度が凄く高いなあと感動しました。実は大和に近付くところで「大きいなあ」と、その時点でもう感動(笑)

姉:あれだよね、もっと見たかったし、艦の全体を見たかったよね。
弟:ぐるーっと艦尾から艦首まで周りを回ってね。自由に動きたかった。 ……昔、呉の大和ミュージアムにも行ったんですが、あそこにあるモデルを見て「凄く綺麗な船だなあ」って思ったんです。そして今日、ここで大和を見る事ができました。こういうのってVRでしか見られないですよね。実際にも作れませんし。

姉:VRは初めての体験だったので、楽しかったです。
弟:私は秋葉原で体験しました。ただ、まだちょっと金額が高くて、手が届かないのが残念。まだ工学部の学生なので。

驚きのコメントがほとんどの中で気になったのは、「VRは高い」という言葉。これはコンテンツではなく機器の問題だが、確かにまだまだ高価なものが大半だ。今後ブレイクスルーが起きるか量産体制が進みコストダウンにつながるかで、手の出しやすい金額になる事を期待したい。
 

 

■ちなみに三笠はこんなところ
 











歴代の艦船の模型展示である「艦隊コレクション」も、平成30年3月31日までと大幅に期間が延長されていた。
 

■折角の横須賀だから、美味いものでも食いに行こう
 

 
竣工記念式典を楽しんだ後は、記念艦三笠のすぐ近く、歩いて数分の距離にある「よこすかポートマーケット」(火曜定休)が便利だろう。地場で採れた野菜や三崎港で水揚げされた魚介など、三浦半島の山海の幸を味わえるここは、ただ買うだけではなくイートスペースも完備。海軍カレーはもちろんの事、横須賀中央駅近くにも居を構える「興慶丸」の鉄火丼(メバチ・610円)
 

や、ベジシェフの「佐島しらすと地元野菜のアンチョビソースピッツァ・ワンプレート」(サラダ付き500円)、
 

「第1回日本全国ご当地パン祭り」で人気投票第一位に選ばれた「よこすか海軍カレーパン」(210円)
 

など、魅力的な食べものが選り取りみどり。ちなみにこの海軍カレーパンは、酒造好適米である山田錦を用いてもっちり仕上げた一品だ。なるほど一位に選ばれるのも分かる。この他、網元が経営する舟盛りや横須賀ジェラートファクトリーの「チェリーチーズケーキのジェラート」(320円)も味わう事ができるので、ほんの少しだけ三笠から足を伸ばしてみる事をおすすめしたい。
 

また、イートインを内に備え、外側にも面しているベジシェフのクランベリーパン(500円)
 

 
も必見。頭ほどもあるサイズのこのパンは、ピッツァ同様当地で焼いているので、地元の人も買いに来るそう。もし手荷物に余裕があるならば購入しよう!


■三笠からの帰り道、提督業ならここにも寄りたい

三笠から横須賀中央までの帰路中にあるのが、常設コラボカフェである「酒保伊良湖」。毎月アイテムとメニューが入れ替わるので、月初めは混雑が予想される。とは言え竣工記念式典参加者は提督も多いと思われるため、電車に乗る前にほっと一息、という場面に利用したい。
 












■またはこんな楽しみ方:軍港巡り編

事前の予約は必要になるが、折角横須賀に来たのならば、三笠からすぐの「軍港巡り」も視野に入れたい。こちらの最寄り駅は汐入駅か横須賀駅となるが、海上自衛隊の護衛艦を数多く見る事ができるツアーとして非常に人気が高い。筆者は今年の夏に行ったが、その時には「ヘリ搭載護衛艦いずも」も見る事ができた。(撮影・画像貸与:提督M氏)
 



このいずもの全長は248mであり、国内最大。改めてその大きさを間近で実感できた。なお、JR横須賀駅を出てすぐのところにあるため、マンション越しにその巨体を実感できるところもポイントだ。
 

こちらの潜水艦は、第二潜水隊群所属のおやしお型潜水艦。公園からも視認できるがやや距離が離れているため、やはり船上からのツアーで楽しむ方がいい。そうりゅう型も同じ場所で見る事ができるが、今回は見当たらなかった。また、「軍港巡り」は米海軍横須賀基地に隣接した港から出るので、米軍所属の艦艇も多く見る事が可能。フェーズドアレイレーダーを備えたイージス艦や、タイミングが良ければ横須賀基地を母港とする第5空母打撃群旗艦ロナルド・レーガンを見る事もできる。
 

かつて「トモダチ作戦」にも参加したこの空母は、なんと全長333m。どこの東京タワーだお前はといった感じである。ニミッツ級は名実共に世界最大の空母で、移動基地兼要塞という風情。生憎と艦載機は厚木に行っているのだが、近くのイージスと比べてもそのサイズはずば抜けていた。大和やいずも、そしてこのロナルド・レーガンを見ていると、こんなでかいものがどうやって水の上に浮いているのかと考えてしまうが、An-225のようなものが空を飛ぶのだから、こちらが海に浮いてもおかしくはないのだろう。感覚が狂う話である。

いかがだろうか。横須賀へ行き、三笠を見て、『VR戦艦大和』を体験した後には、様々な楽しみ方ができるのだ。もちろん普通に海軍カレー本舗や魚藍亭のよこすか海軍カレー館でカレーを食べに行ってもいいし、『艦これ』だけではなく『ハイスクール・フリート』のコラボを追いかけてもいいだろう。『VR戦艦大和』は11月13日まで開催しているので、興味のある方やタイミングの合う方は、是非大和乗艦の感動と横須賀グルメを楽しんでいただきたい。

 
(取材・文:ライター  平工泰久)