【アクセルマーク決算説明会】『ワクサガ』の大規模プロモーションで第4四半期は赤字…ユーザー数高水準に推移し17年9月期は収益化フェーズへ



アクセルマーク<3624>は、11月8日、2016年9月期の連結決算を発表するとともに、東京都内で証券アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。発表した決算は、売上高32億万円(前の期比4.2%減)、営業損益3億7700万円の赤字(前の期400万円の黒字)、経常損益3億8500万円の赤字(同100万円の赤字)、四半期純損益4億5800万円の赤字(同1億3000万円の赤字)となった。

また、第4四半期(7~9月期)をみると、売上高9億4200万円(前四半期比QonQ5.8%減)、営業損益3億8700万円の赤字(前四半期は9200万円の黒字)、経常損益3億9000万円の赤字(同8900万円の黒字)、最終損益4億4700万円の赤字(同7300万円の黒字)となり、減収・赤字転落となった。主力モバイルゲーム『ワールドクロスサーガ(以下、ワクサガ)』のプロモーションコストが重しとなった。
 

決算説明会に臨んだ尾下順治社長(写真)は、「『ワクサガ』の大規模プロモーションを実施したことで、400万ダウンロードを突破するなどユーザー数が大幅に増加した」と先行投資の効果に満足の意を示しつつ、今後は改修フェーズに入るとし収益化局面に移行していく考えを示した。並行してアップデートやイベントなど運営強化と、継続的なプロモーション活動を展開することで、引き続きユーザー数の拡大も図っていく(「」内は尾下社長の発言)。

以下、第4四半期の状況を中心に見ていこう。


 
■第4四半期は大規模プロモーション費用で赤字に

まず、第3四半期(4~6月期)の状況から振り返っていこう。4~6月期の業績は、売上高が前四半期比58.2%増の10億円、営業利益が9200万円(前四半期6400万円の赤字)となり、四半期ベースとしては過去最高水準の売上高、営業利益を記録した。4月15日に正式リリースとなった『ワクサガ』が好調な出足となったためだ。広告宣伝費などの先行費用も発生したが、増収効果で吸収した。

続く第4半期の状況をみよう。売上高は、QonQで5.8%減の9億4200万円だった。9月1日付でコンテンツ事業を売却したことに加え、プロモーションを開始する前にあたる7月と8月の『ワクサガ』の売上が低下していたことが主な要因だった。プロモーションを開始した9月に売上が大きく伸びたほか、ディー・エヌ・エー(DeNA)との共同タイトル『キングダム -英雄の系譜-』も過去最高を記録するなど好調だった。
 


営業損益は、3億8700万円の赤字となり、前四半期は9200万円の黒字から赤字転落となった。『ワクサガ』について、同社オリジナルモバイルゲームとして初のテレビCMを中心とする大規模プロモーションを行ったことが影響した。また、同社では現在、3タイトルの新作を開発しているが、その開発費用も収益を押し下げることになった。このほか、コンテンツ事業の売却や、広告サービスでの広告枠の単価上昇なども影響した。
 


最終損益は、4億4700万円の赤字(同7300万円の黒字)となり、営業損益、経常損益に比べて赤字幅が大きくなったが、これは「彗星のアルナディア」に係る固定資産の減損損失として1億7600万円を計上したことによる。「当初想定していた収益が見込めなくなった。サービス提供を継続しており、引き続き改善を進めることで投資を回収したい」。他方、コンテンツ事業の譲渡益として5800万円を計上したが、減損はカバーできなかった。
 


 
■第1四半期は『ワクサガ』の好調続くも新作開発費が圧迫

続く2017年9月期の第1四半期(10~12月)の業績は、売上高10億円(前四半期比6.1%増)、営業損益1500万円の赤字(前四半期3億8700万円の赤字)、経常損益1800万円の赤字(同3億9000万円の赤字)、最終損益1900万円の赤字(同4億4700万円の赤字)と増収・赤字幅縮小となる見通し。売上高は前期の第3四半期に記録した最高水準に並ぶ。
 


『ワクサガ』の売り上げが引き続き高水準に推移し、コンテンツ事業の売却による減収分をカバーする見通しだ。『ワクサガ』については、テレビCM実施後も、アクティブユーザー数が高水準で推移するなどプロモーション効果が持続しており、売上にも引き続き寄与するという。「ADroute」と「BRAND SCREEN」も引き続き伸びる。
 


赤字が継続するのは、開発中の3タイトルの開発費と人員の強化など先行投資を行うためだ。さらに前の四半期で大規模プロモーションを実施した『ワクサガ』については、前の四半期ほどではないが、引き続きプロモーションを行うとのこと。10月からYoutubeを使ったプロモーション展開を実施している。また広告事業についても人員を強化する方針。
 


 
(編集部 木村英彦)
アクセルマーク株式会社
http://www.axelmark.co.jp/

会社情報

会社名
アクセルマーク株式会社
設立
1994年3月
代表者
代表取締役社長 松川 裕史
決算期
9月
直近業績
売上高21億4400万円、営業損益9800万円の赤字、経常損益1億円の赤字、最終損益1億200万円の赤字(2023年9月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3624
企業データを見る