【KLab決算説明会】『スクフェス』『ブレソル』好調で営業益は8倍増と急拡大 コスト削減の下地が増益効果を引き出す



KLab<3656>は、11月8日、第3四半期累計(1~9月)の連結決算を発表するとともに、東京都内で証券アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。決算短信で開示した数字は、売上高145億9000万円(前年同期比11.9%減)、営業利益10億3100万円(同54.6%減)、経常利益1億2300万円(同94.2%減)、四半期純損益8億100万円の赤字(同9億3400万円の黒字)となった。

7~9月期の業績を見ると、売上高57億1100万円(前四半期比QonQ40.6%増)、営業利益9億8000万円(同705.7%増)、経常利益8億6900万円(前四半期3億1000万円の赤字)、最終利益5億4100万円(同9億2800万円の赤字)と、大幅な増収・営業増益を達成するとともに、経常損益と最終損益も黒字転換に成功した。

決算説明会に臨んだ真田哲弥社長(写真)は、「新作を発表しない中、既存タイトルの運用で耐えていくという我慢の期だったが、地道な運用努力で売上を出すことができた」と振り返った。そして、「来期(2017年12月期)は逆襲の時期に入れるという自信を固めつつある。現在開発中の新作は着実に進捗している。内容は良いので期待してほしい」と述べた。

以下、第2四半期の状況を振り返ったうえで、第3四半期の状況、そして最後に第4四半期の見通しを見ていこう。

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■『スクフェス』と『ブレソル』が好調

まず、第2四半期(4~6月)を振り返っておこう。売上高がQonQで15.8%減の40億5900万円、営業損益は前四半期の7000万円の赤字から1億2100万円の黒字に転換した。主力の『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル(以下、スクフェス)』と『BLEACH Brave Souls(ブレソル)』の売上が落ち込んだものの、広告宣伝費を中心とする販売管理費を大幅に抑制したことが主な要因だった。前四半期のコスト削減が次の四半期の大幅な営業増益の下地となったといえる。

続く第3四半期の業績をあらためて見ていくと、売上高がQonQで40.6%増の57億1100万円だった。主力タイトル『スクフェス』が大幅に売上を伸ばしたという。7月5日の大型アップデート以降、TVアニメに連動したキャンペーンや、ユーザー数全世界3000万人突破に伴うセット商品が好調に推移した。また、『ブレソル』もリリース1周年キャンペーンと人気キャラの提供で、日本語版だけでなく、グローバル版も売り上げが伸び、リリース直後に記録した最高売上に次ぐ数字になったという。
 
 
▲海外売上高の比率は15.8%に低下した。これは海外売上が落ち込んだわけではない。むしろ、前四半期比で増加したのだが、国内売上高の増加がそれ以上に大きかったためだという。


営業利益は、同705.7%増の9億8000万円だった。まさに急拡大といえるものだが、これまでのコスト低減の下地がある中で、売上高を大きく伸ばせたことが大きい。売上高に連動して増減する費用である「使用料/支払手数料」が大きく伸びたが、その他の費用の伸びは抑制した。『パズルワンダーランド』と『Age of Empires: World Dominations』の減損を行ったことによる減価償却費の減少も利益を押し上げる要因となった。
 
 
▲貸借対照表の状況。売上高の増加に伴い、売掛金が増加したという。また、新規事業関連の投資、新規開発ゲームに係るソフトウェア仮勘定が増加した。負債の部では、買掛金が増加したとのこと。


 
■第4四半期は減収減益だが、「決して不調ではない」

続く第4四半期(10~12月)は、売上高47億円(QonQで17.7%減)、営業利益3億5000万円(同64.3%減)、経常利益4億円(同54.0%減)、最終利益1億4500万円(同73.1%減)と一転して減収減益となる見通しだ。真田社長は、「第3四半期は色々な要素が重なったもので、良すぎた結果。アクセルをいったん緩めるという程度で、第4四半期が不調というわけでは決してない」とコメントした。
 


同社では、『スクフェス』日本語版と、『ブレソル』日本語版とグローバル版の売上減少を見込んでいるという。『スクフェス』については、年内はTVアニメの効果がある程度持続すると見込んでいるが、足元の状況を鑑み、売上は緩やかに低下していくイメージを持っているそうだ。

また、『ブレソル』の減収は、リリース1周年キャンペーンと人気キャラの提供が終了したことによる。「1周年キャンペーンに力を入れたが、その反動が少し出る」との想定だ。第3四半期に比べると落ちるが、第1四半期、第2四半期よりは良い数字になる見込みだ。

このほか、費用については、売上高の減少に伴い、使用料/支払手数料が減る。またゲーム開発に係る業務委託費も減少する見通し。その一方で、年末年始に向けて広告宣伝費を若干増やす予定。

 
▲パイプラインの状況。前回の説明会では8タイトル開発中とのことだったが、7タイトルに減少した。内訳は、自社開発のオリジナルが2本減り1本になった一方で、外部開発のオリジナルが1本増えて2本となった。それ以外は変化はない。スライドの但し書きにもあるように、プロト開発とそれ以降のフェーズにあるゲームタイトルであり、必ずリリース本数をコミットするものではない。

 
▲ブロッコリーと共同開発中の『うたの☆プリンスさまっ♪Shining Live』は、ティザーサイトをオープン。リリース時期などは開示されなかったが、「開発が着実に進行している」。


 
(編集部 木村英彦)
KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
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