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【連載】ゲーム業界 -活人研 KATSUNINKEN- 第二十九回「そもそも、企画の仕事って…」

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株式会社ファリアー 代表取締役 社長の馬場保仁氏が、ゲーム業界の人材・採用に関して語っていく連載記事「ゲーム業界 -活人研 KATSUNINKEN-」。同氏は、セガで家庭用ゲームの開発を、DeNAではスマホアプリ開発のプロデューサーを担うほか、人事・採用担当も兼任していた。ファリアー社を創業し、“人は人に活かされる”をモットーにゲーム開発、人材発掘・育成にこれまで以上に注力していく。開発現場・採用担当、双方の視点からゲーム業界における“人”に対してスポットをあてた連載記事。 
 
 

■第二十九回「そもそも、企画の仕事って…」




 
ここ2回続けて、転職の話について書いてきました。事実上、終身雇用の時代はもう今は昔となっていくと思います。あ、誤解なきように話しておきますが、各企業の経営陣は、正社員として迎え入れる以上は仲間としてこの会社で勤め上げてほしいと思っておられますし、幸せになってほしいと思っておられるはずです。

ただ、技術の移り変わりの速さや、事業の変動にともない1社でクリエイター人生を終える人はこの先少なくなってくるのではないでしょうか?転職は決して悪ではないですし、自身のキャリアを高めるためには必要な時もあると思います。ただ、辞め方、だけは気をつけたいところがあります。やはり、この業界狭い、本当に狭い、そう感じます。知り合いの知り合いの知り合い、つまりは、2人向こうには、かなりなところまでつながるわけです。

ましてや、人材流動がまずまずある業界なので、立場が逆転することもあると思います。お付き合いの仕方や、辞め方1つ間違えると、先々のキャリアで誰も助けてくれなくなります。ゲームは1人ではつくれません。大勢の協力あって成り立つことが多いです。

そうなったときに、一番大事なのは「信用」です。
もちろん、技術も必要ですが、やはり、大前提として一緒に働きたいか、どうか?は、信用できる人かどうか、というところが大きいです。またこの信用というやつが厄介で、築き上げるのは時間もかかるし大変なのに対して、なくすのは、一瞬でできてしまうことなんです。

この連載でも何度か言っていますが、大切なことにして、誰でも意識すればできること「誠実」であることはとても大事なことだと思います。
 
なので、辞める時もどこかできりをつけないといけませんが、引継ぎ含めて、じっくり付き合って辞めていくことも視野にいれての転職活動をしていきましょう。
 
では本題です。
 
今回は、最近質問をうける「企画の仕事とは」ということに関して全部ではないですが語ろうと思います。これは、就職活動する際にもですし、そもそも、高校から大学や専門学校を選択する際にも考えることのようです。まず、
 
プログラムできない、絵が描けない、だから企画なら僕にもできるかもしれないので、企画
 
という選択をして学校を選ぶ、就職活動をする、ですと、かなり厳しい結果がまっていると言わざるを得ません。なぜならば、そんな消極的選択でなんとかなるほど企画の仕事は甘くないからです。が、なぜそのように「誰でもできちゃいそう」と思うのかといえば、そもそも、企画の仕事の内容が明確にされていないうえに、必要な技術もあまり講じられていないからです。また、
 
・アイデアを出す人
・言葉を使って伝える人(母国語を使うことになりますね)
・企画書を書く
・仕様書を書く
・プレゼンする

などなど
 
なんとなく、イメージされるものでとらえられているものの、それ以上に掘り下げて考えたり、実際に世に出ている情報から得られるものも、これ以上のものがあるかといえば、それほど多くありません。
なので、学校などでも、
 
・企画書の書き方
・仕様書の書き方

など
 
のテクニカルなことが教えられていることが多いようです。でも、書式だけを学んでも企画を立案することはできませんよね?アイデアの出し方、企画のたて方、仕様の設計の仕方、などを学ぶ機会は実はあまり多くないのではないでしょうか?

ここは、日本のゲーム業界がこれまで情報やスキルを公開してこなかったところに課題が多いと思います。つまり、プログラムやアートというのは、ある種、他業種からも学べるエッセンスは結構あるのです。もちろんプランニングに関してもあるのですが、かなりそれは、本質にたどり着かないといけないので、そこにまだ至れていない学生さんや、初心者にとってはそれは難しいことになりますし、現実的ではありません。

と、なると、いま求められることは、教科書、勉強会、ワークショップなどでもっと基礎的なことや、方法論を学べる機会を先人たちはつくらないといけないですし、学生たちは、それをどん欲に獲得していく意思が必要です。そのために、わたしは1年以上前に、
 
「座・芸夢」若手ゲームプランナー育成塾~未来を担う人に伝えたいこと~
 
を立ち上げて、現在も継続開催しています。(2016年11月現在で、17回開催)

やはり、プロが経験知として体得しているものをいかに「業界の後輩」たちに伝えていくか?つないでいくか?が大切だと思っています。もちろん、我々先人の経験と知恵がすぐにそのまま使えるほどゲームの技術、情報は、待っていてくれません。

先日たちから知識やメソッドを得たら、そこから今の状況に照らし合わせて、自分たちで最終的に昇華させていってほしいです。座・芸夢では単なる座学だけでなく、演習も同時におこない、なにか「持ち帰ってもらえるもの」を常に意識しています。良きものは、広がり、浸透していくことが大事だからですね。反復しないことには、最終的に体得することは難しいです。

今後にむけて、座・芸夢とは別のブランドをさらに立ち上げて、全国をまわりたいと考えています。これまで東京と大阪で開催をしましたが、やはり、参加できる学生や大人も一部しかいないからです。一度体験していただければ非常に意味あることを提供している自負はありますが、やはり、交通費と時間をかけて、沖縄や札幌からくるのは、ちょっと勇気が必要ですし、学生さんはそこまでお金はありませんからね。で、あるならば、自ら地方にむかおう!というわけです。年明けから動き出したいと思います。また告知いたしますので、お待ちください。
 
さて、話がずれました。
 
では、「企画職」の仕事は実際問題どういうものなのでしょうか?あまりディテイルにふれると会社によって異なるでしょうから、学生のうちにチーム制作するうえでも必要な企画の仕事、かなり、基本中の基本にのっとってお話ししたいと思います。
 
①アイデアだし
②コンセプトメイキング
③企画の立案
④企画書の作成
⑤ゲームの概要イメージの設計
⑥タスクの洗い出し~仕様リストの作成
⑦仕様書の作成
⑧実装発注(と同時にその説明)~実装内容の確認
⑨進捗管理(PM的仕事)
⑩バランス調整
⑪バグチェックとその管理

 
 
非常にざっくりではありますが、洗い出すとこんな感じです。まだまだありますが、あくまでも、ざっくりベースでは、です。でも、案外この流れの中で、学校で習えることは、④⑦くらいではないでしょうか?でも、④⑦は手法やテンプレートにすぎず中身を構成する要素である、①②③⑤などをつくれないと、中身が埋まりません。そもそも、企画は埋めるものではないですが(笑)。1つ1つの中身を全部しっかり書くと、おそらくそれだけで本が1冊かけるようにおもうので、ここでは1つピックアップして語りたいと思います。
 
その前に、アイデア出しに関しては、座・芸夢の講師もお願いしている、中村隆之さん考案のEMS Frameworkを使うと誰でも、アイデアの原型を量産することができます。中村さんがいずれは書籍化していただけると思うので、お待ちください。

ただ、EMS Frameworkで量産したアイデアのカケラから、とりまとめて、コンセプトにまで昇華するところは、もう少し手間がかかりますしここは訓練を要するところです。これはどこかで中村さんと対談してでもお話ししようと思います。
 
以前の連載でも書きましたが、学生さんが思考のスタミナ不足で、一回企画書を指摘すると、次に会った時には別物になっていることが多いという話をしました。これがなぜ起こってしまうのか?をよくよく考えたのですが、実は⑤のプロセスをあまり皆さんふんでいないからではないか?というのが最近の仮説です。
つまり、この
 
⑤ゲームの概要イメージの設計
 
とは何をさすか? わたしは、2つのことを実際にイメージできるか?だと思っています。
1つめは、
 
「このゲームの一番かっこいい、素敵な、感情が動く場面を想像して、絵で描き起こす」
 
ことだと思います。これは、絵の巧拙は問いません。なぜなら、自分だけがわかればいいことなので。なので、極論、棒人間でもいいので描くことです。これを、なんとなく、あいまいな言葉ですませてしまい、脳内で補完してしまっていることないでしょうか?

しかも、その脳内補完した部分が、のちのち、あやふやになってくるので、ぶれてきてしまう。それ以前に、言葉の定義もあいまいなので、そもそもが、あやふやであった、ということです。この一番かっこいい場面を描き起こしたら、それがコンセプトにリンクしているか?を確認してください。してないとおかしいです(笑)。

次に、この一番かっこいいシーンを中央に置いて、そこに至るまでと、そこから先、できれば、サイクルするところまでを何枚かのカット、紙芝居で流れを同じく棒人間でいいので、描くとよいと思います。そうすることで、画面の遷移や流れというものが自分でも可視化でき、抜けや大事な部分を確認することができます。

こうすることで、ゲームの全容がなんとなくつかめるわけです。この際に、破綻していれば気づくことができます。そうすれば、あとは修正するだけですし、そもそも、思考することで、簡単に捨てるというようなことは起きなくなると思います。もっとも、最初に考えたものがあまりにも、間違いや抜けが多かった場合は、捨てることになりますけどね(笑)。 でも、それをプロトタイプをつくってみなくてもわかるというのは、いいことです。

また、一番かっこいいところを除けば、比較的「作業的」にできるところです。これらを習慣づけることで、抜けのない、そもそも、破綻のない企画を検討することができると思います。ぜひ、学生の皆さん、取り組んでみてください!
 
企画の仕事はアイデアを考えることではありません。
アイデアを考えることくらいは、職種を問わずすることができます。問題は、それをコンセプトにまとめ、且つゲームの全容をイメージしきり、且つ、それをデザイナー、プログラマに伝えることができること、ここまでできて、ようやく企画の仕事をしていることになります。企画職を志す皆さん、ぜひ、企画書、仕様書といった書類書式を細かく上手にやろうとおもうのではなく、中身で勝負するためにも、コンセプトの作成と、ゲームの全容、特に「一番かっこいいところを描き出す」ことを習慣づけてください!
 
今回は以上で!
 
 
 
 


■著者 : 馬場保仁
株式会社ファリアー 代表取締役社長。過去、セガ(当時 セガ・エンタープライゼス)で『プロ野球チームをつくろう!』『Jリーグプロサッカークラブをつくろう!』など多数のゲーム開発に従事。その後DeNAにてスマホアプリ開発のプロデューサーを担うほか、人事・採用担当も兼任。現在は、ファリアー社を創業し、“人は人に活かされる”をモットーにゲーム開発、人材発掘・育成にこれまで以上に尽力している。著書に「ゲームの教科書」(ちくまプリマー新書)がある。
 
 
 
  



■ゲーム業界 -活人研 KATSUNINKEN- バックナンバー

第二十八回「転職〜中級編・自分の価値を知る〜」

第二十七回「転職〜入門編〜」

第二十六回「リーダーシップとは」

第二十五回「思考のスタミナ」

第二十四回「出て行く勇気」

第二十三回「個人でつくる・集団でつくる」

第二十二回「指摘される勇気、指摘する気遣い」

第二十一回「どこを見るか? どう採るか?」

第二十回「100%の力を発揮するために……」

第十九回「まずは、”伝える”ことから始めよう!」

第十八回「カード少なく勝負に挑まない」

第二回「学校トーク!!」…三者鼎談【後編】(第十七回)

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第十六回「新人事始」

第十五回「就職活動にみられる地方格差」

第十四回「【思いやり】の向こう側

第十三回「仕事選び 〜成長・夢・時間〜

第十二回「本当にそれは、ゲームに必要か?」

第十一回「ハッカソンの功罪」

第十回「会社選びと成長(プロ、アマ問わず)」

「学校トーク!」 東京工芸大学 『パックマン』生みの親 岩谷徹氏に訊く【後編】(第九回)

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第七回「学生さんにやっていただきたいこと~前編~」

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「社長トーク!」第1弾 コロプラ 馬場功淳 社長【後編】(第五回)

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第三回「若手のチャンスとキャリアパス」

第二回「企業×学校×学生」

第一回「ゲーム業界って本当に人手不足なの?」
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