​【決算分析】LINEの決算説明資料より…4Qは売上収益に占める広告サービスの比率が42%に拡大 既存タイトル堅調でコンテンツサービスは横ばい

1月25日に発表したLINE<3938>の2016年12月期の連結決算(IFRS)は、売上収益1407億円(前年同期比16.9%増)、営業利益198億円(前年同期19億円の黒字)、最終利益75億円(同75億円の赤字)となり、最終黒字転換を達成した。

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今回はLINEが開示した決算説明資料から、その決算内容の詳細を分析してみたい。
 

■広告サービスをけん引役にQonQでの増収トレンドが続く


まずは月次アクティブユーザー数(MAU)の推移を見ると、同社が事業を展開する主要4ヶ国(日本、台湾、タイ、インドネシア)において、右肩上がりの成長トレンドが続いている。また、これを日本だけに限定してみても右肩上がりの傾向となっている。
 

売上収益についても、そうしたバックボーンがあって、四半期推移(QonQ)での増収トレンドとなっている。ただし、サービス別に見ると、大きく成長する広告サービスに対し、コミュニケーションサービスやコンテンツサービスは横ばい、もしくはやや縮小する形となっている。
 

利益面については、第3四半期に続き、第4四半期も最終利益で20億円強の黒字を確保。第2四半期に一時収益を計上した影響分を除いて考慮しても通年で黒字化している。なお、QonQで減益となっているが、これはマーケティング費用が前四半期の28億円から43億円に増加している影響などと思われる。
 

 

■パフォーマンス型広告が急成長 コンテンツサービスは新作の戦略に注目か


続いて各サービス別の状況を見てみると、まずは広告サービスは、特にLINE広告が前年同期比で59%増、前四半期比でも9%増と順調に成長している。2016年6月にリリースしたLINE Ads PlatformによるタイムラインやLINE NEWSなどのパフォーマンス型広告が大きく寄与しており、これは今期も通年で寄与することを踏まえると、広告サービスは2017年も年間で増収に向かう可能性が高いと言えそうだ。
 

次にコンテンツサービスは、『LINEブラウンファーム』や既存カジュアルゲームが堅調に推移したということで、前四半期比ではほぼ横ばいの数値となった。ただ、これは言い換えると、新たに売り上げを押し上げるような新作をリリースすることができなかったとも言え、今後の新作タイトル戦略がどうなっていくのかがあらためて注目されるところだろう。
 

コミュニケーションサービスは、前年同期比で9%減、前四半期比で3%減と緩やかな減少トレンドが続いている。これはある意味サービスとして成熟期に入っているためとも言えるが、スタンプ決済高は回復しているという。
 

LINE FRIENDSやLINEバイト、LINE Pay、LINEモバイルなどその他サービスは、前年同期比で72%増、前四半期比で17%増と順調に売り上げを伸ばした。直近では9月にMVNOサービスとしてLINEモバイルを開始したことが寄与しているようだ。
 



■コミュニケーションとコンテンツの合計収益は全体の半分以下に


この四半期では、広告サービスのさらなる成長で、コミュニケーションサービスとコンテンツサービスの合計収益が全体の48%と半分以下となり、全体の42%と大きく成長した広告サービスの比重がさらに高まる結果となった。

また、AIエンジンと友人チャットを組み合わせた顧客応対サービス「LINE Customer Connect」の試験運用が開始となるなど、コミュニケーションアプリ「LINE」の可能性を広げる取り組みを進めていることは今後に向けた動きとして注目しておきたい。
 


(編集部:柴田正之)

 
LINE株式会社
http://linecorp.com/

会社情報

会社名
LINE株式会社
設立
2019年12月
代表者
代表取締役社長 出澤 剛/代表取締役 慎 ジュンホ
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