【イベント】『キングダム ハーツ』がシリーズ15周年の節目にオフィシャルコンサート「KINGDOM HEARTS Ocrhestra –World Tour-」を開催


3月10日、東京国際フォーラム ホールAにて、「KINGDOM HEARTS Ocrhestra –World Tour-」が開催された。本稿では、その模様をレポートしていく。

 

公式サイト


【イベント概要】
KINGDOM HEARTS Ocrhestra –World Tour-

指揮:和田薫
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
コーラス:洗足フレッシュマン・シンガーズ
ピアニスト:ベンヤミン・ヌス
主催:La Fee Sauvage
主管:Disney Concerts/The Walt Disney Company(Japan) Ltd.
協力:SQUARE ENIX

 

■1作目のオープニング「Hikari」からシリーズの歴史を辿る


「KINGDOM HEARTS Orchestra -World Tour-」は、フルオーケストラによる『キングダム ハーツ』シリーズのオフィシャルコンサート。大迫力の画面に投影されたゲーム映像とともに、オーケストラアレンジされた「キングダム ハーツ」シリーズの楽曲を演奏する。本コンサートは、シリーズ生誕15周年を迎える2017年より、日本公演(東京)を皮切りに、欧州、アジア、北米とワールドツアーを展開する。



▲開場前には、展示コーナーで写真撮影を行うファンの姿が数多く見られた。




▲本公演のパンフレットを始め、オーケストラアレンジアルバムやコンダクターのキーブレードなど、オリジナルグッズの販売も。
 

本公演の幕開けを飾ったのは、シリーズの中でも複数のタイトルで主題歌として起用されている、宇多田ヒカルさんの「光」をオーケストラアレンジした「Hikari –KINGDOM Orchestra Instrumental Version-」。野村哲也氏が編集を行ったという迫力ある映像と、オーケストラの美しい音色がピッタリと重なり合い、会場は一瞬にして『キングダム ハーツ』への世界へと引き込まれた。




2曲目の「Dearly Beloved –KINGDOM HEARTS II Ver.- 」では、シリーズで二人のヒロイン(カイリ役、シオン役)を務める声優の内田莉紗さんが冒頭に登壇。カイリとしての台詞を読み上げ、一層と空気を引き締めた。シリーズでは、タイトル画面に起用されていた馴染みの曲で、その物悲しい旋律に内田さんの台詞が重なり、早くも心打たれて涙していたファンもいたのではないだろうか。




さらに「Destati」では、ベンヤミン・ヌス氏のピアノと、洗足フレッシュマン・シンガーズのコーラスが入ったことで、演奏に会場を圧倒するほどの迫力が生まれた。



▲コンダクターを務めた和田薫氏の躍動的な指揮も非常に印象深い。


▲シリーズの作曲を手掛ける下村陽子氏からは、奏者の紹介と、スタッフやファンの方々へのお礼が述べられた。「『キングダム ハーツ』シリーズの懐かしいシーンや音楽を楽しんでいただけていますか?」との問いかけには、観客も大満足といった様子の拍手で応えた。








そして、「ピノキオ」や「美女と野獣」「ピターパン」といった懐かしの面々の映像と共に、各世界のフィールドやバトル音楽のメドレーが演奏されたところで第一部は終了となり、一旦、休憩を挟んだ。

 

■幕間にはスマホ向け新タイトル『KINGDOM HEARTS Union χ[Cross]』の発表も!


第二部開演前には、シリーズのディレクターを務める野村哲也氏からのサプライズ発表も。スマートフォンアプリとして運営中の『KINGDOM HEARTS Unchained χ(キングダム ハーツ アンチェインド キー)』において、マルチプレイの追加といった大幅バージョンアップを行い、新タイトル『KINGDOM HEARTS Union χ[Cross](キングダム ハーツ ユニオン クロス)』としてリニューアルすることが明かされた。会場では、現在公開されているトレーラーを先行で上映。ファンから歓声が上がる場面も見受けられた。さらに、野村氏より、『キングダム ハーツIII』の続報についても、本ツアーのどこかで発表したいという意向が語られた。

【KINGDOM HEARTS Union χ 】トレーラー


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第二部では、シオンやアクア、ソラなど、第一部に比べてキャラの歴史にスポットライトを当てた映像で音楽が紡がれていたのが印象的だった。

その後、再び登壇した内田さんが今度はシオンとして演奏に合わせて朗読劇を披露した。演奏と映像が重なっているだけでもかなりの心地良さを感じられたが、そこに朗読劇が加わり、ひとつのアートとしてこれまでに見たことない領域へ。演奏・朗読・映像の見事な融合に、会場は感動の渦で包まれた。




▲シオン​をイメージした衣装にチェンジした内田さんの朗読劇も。

また、声優の豊口めぐみさんも登壇し、アクアとして朗読劇を披露した。
 


そうして、「Passion – KINGDOM Orchestra Instrumental Version」、さらにアンコール曲を含む演奏を経て本公演は大盛況のうちに幕を下ろした。さらに、今回は本公演に出演した下村さん、和田さん、内田さん、豊口さんの4人にインタビューを実施したので、引き続き本記事にてお届けしていく。


▲アンコールでは下村さん自らピアノ演奏を披露した。
 

【セットリスト】
<第一部>
1.Hikari –KINGDOM Orchestra Instrumental Version-(編曲:和田薫)
2.Dearly Beloved –KINGDOM HEARTS II Ver.- (編曲:和田薫)
3.Destati(編曲:亀岡夏海)
4.Organization XIII(編曲:亀岡夏海)
5.Twinkle Twinkle Holidays(編曲:亀岡夏海)
6.Treasured Memories(編曲:宮野幸子)
7.The World of KINGDOM HEARTS(編曲:和田薫)
8.Fate of the Unknown(編曲:和田薫)
9.Threats of the Land:KINGDOM HEARTS Battle Medley(編曲:亀岡夏海)  

<第二部>
10.Medley(編曲:鹿野草平)
11.Lazy Afternoons~At Dusk, I Will Think of You…(編曲:鹿野草平)
12.Vector to the Heavens(編曲:宮野幸子)
13.Wave of Darkness(編曲:亀岡夏海)
14.Daybreak Town: The Heart of χ(編曲:和田薫)
15.The Other Promise(編曲:亀岡夏海)
16.Let Darkness Assemble: Final Boss Battle Medley(編曲:宮野幸子)
17.Passion – KINGDOM Orchestra Instrumental Version(編曲:和田薫)

 

■「公演を通してゲームを一本クリアしたように感じられるドラマ性を持たせたかった」




――:本日の公演を終えられた感想をお願いします。

豊口さん:とても緊張しました。リハーサルを行ったときから、演奏を聴くたび、映像を見るたびに涙が出そうだったので、今日は自分の出番まで泣かないことを心掛けました。オーケストラの一員になれたことを嬉しく思いました。

内田さん:実は、私も緊張して今日、物凄く早く起きてしまったんですけど、オーケストラの皆様とコーラスの皆様の演奏によって、みんなの大好きな『キングダム ハーツ』の世界が広がり、心震える幸せな時間を過ごすことができました。参加させていただけたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。

和田氏:今日が世界初演ということで、私も肩が潰れるほどの重責を背負っておりましたが、なんとか初日を終えられて充実した気持ちでいっぱいです。

下村氏:緊張しました(笑)。お喋りは大好きなのでトーク自体には抵抗がなかったのですが、MCとなると「ここでこれを言わなきゃ」「これを抜かしちゃいけない」という重責がありました。ここで私が失敗したらファンの皆様をガッカリさせてしまうから、という想いを奮い立たせて頑張りました。ファンの方々の涙ぐんでいる姿や、笑顔を見ると、本当にここにたどり着けて良かったと思っています。本当に幸せな、最高の一日でした。


――:オーケストラアレンジついて、全体的な方向性があれば教えてください。

和田氏:4人それぞれ個性が表れたんじゃないでしょうか。

下村氏:「これは女性的だよね」「男性的だよね」という、いろいろな雑談や分析をしながら、曲があがってくるのが楽しみでした。"こういう方向にしよう"と考えていたわけではないのですが、いざ完成したものを聴くと、『キングダム ハーツ』の世界観を大切にしつつアレンジしてくださっていて、みなさんにお任せして良かったと思いました。それが1番の方向性だったと思います。

――:選曲は下村さんが行われたのでしょうか?

下村氏:こういう感じでやりたいという意向は、昨年のブラスバンドコンサート「KINGDOM HEARTS Concert -First Breath-」と同時に提案させていただきました。被っている曲もあったのですが、それを最終的に野村がブラッシュアップしたという形になります。

――:和田さんにお聞きしたいのですが、映像と生演奏のタイミングを一致させるのは非常に難しかったのではないでしょうか?

和田氏:非常に難しいです。ハリウッドでは、「スター・ウォーズ」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」といった既製の映画作品とオーケストラの生演奏を合わせるという公演があるのですが、そのイメージですね。ただ、初めて見る映像、聴く音楽という意味では練習しようがない部分もありました。なので、いただいた映像とオーケストラの演奏を合わせていくところから始めています。

――:内田さん、豊口さんが、朗読するうえで心掛けたことはございますか?

内田さん:心に響く台詞がたくさんあったので、読みながら泣きそうになりました。今回難しく感じたのは、オーケストラと合わせるという部分です。ここからここまでの間にこの台詞を言うというのが決まっていたのですが、最初は、合わせようとしすぎて気持ちが込められなかったりということもありました。ただ、今日、本番を終えて思ったのは、合わせるのではなく、オーケストラの音に助けていただくことで自然に気持ちが乗ってくるということが分かりました。

豊口さん:ゲームとしては久しぶりという感覚はないのですが、私自身、元気にしすぎてしまうところもあり、アクアの感覚を取り戻すのが難しかったですね。朗読の部分では、内田さんと対照的にシーンと静まり返った中で喋らなければなからなかったので、それはそれで凄く緊張してしまいました。大変でしたが、中々このような経験をさせていただけることもありませんし、『キングダム ハーツ』という作品は本当に細かく演技指導してくださるので、緊張と同時に演出されることが楽しい作品でもあります。そういった点から、思い入れが強い作品でもあるので、今日、この場に立たせていただけて、終わったときには物凄く楽しい気持ちが強かったです。


――:最後に、特にこだわったポイントを教えてください。

和田氏:もう全部じゃないでしょうか。映像とオーケストラ、ひとつひとつの楽曲のためにアレンジを加え、これだけの規模でワールドツアーを敢行するというのはかつてない試みだと思います。そういう意味では、パイオニア的なイベントになるのではないかなと思います。

下村氏:最初から意識していたのは、"ドラマ性を持たせたかった"ということです。各曲にもドラマ性はあるのですが、アップダウンがあり、公演全体を通して一本ゲームをクリアした感覚になるような物語性を演出したいと思っていました。今回、MCが少なかったのは、曲紹介をしてしまうとそこで素の自分に戻ってしまうというのがあります。ずっと音楽の世界の中に居られるので、物語性という意味ではMCが少なかったことが後押しになったと思います。なので、みなさんも大きな物語みたいなものをコンサートで感じてもらえたら嬉しいなと思います。

――:本日はありがとうございました。
 



■「KINGDOM HEARTS Ocrhestra –World Tour-」

 

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会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス
設立
2008年10月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高2428億2400万円、営業利益275億4800万円、経常利益389億4300万円、最終利益280億9600万円(2023年3月期)
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