【モバイルファクトリー決算説明会】1-3月期は営業益52%増の2.27億円と大幅増益 広宣費抑制しつつDAU拡大に成功 新作は順調な立ち上がり



モバイルファクトリー<3912>は、4月21日、2017年12月期の第1四半期(1~3月)の連結決算を発表するとともに、東京都内で証券アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。同社の発表した決算は、売上高5億8600万円(前年同期比21.6%増)、営業利益2億2700万円(同50.4%増)、経常利益2億2700万円(同50.4%増)、四半期純利益1億5700万円(同62.6%増)となり、四半期ベースで営業利益は過去最高となるなど好調な内容だった。
 


決算説明会に臨んだ宮嶌裕二社長(写真)は、引き続き看板タイトルである『ステーションメモリーズ!(駅メモ!)』を中心とする位置情報ゲームの売上好調を維持しつつ、広告宣伝費を大きく抑えたことにある、と振り返った。冬場ということで、人々の旅行や移動などが減る時期にあるが、DAU(日次アクティブユーザー数)が過去最高を達成したという。4月1日時点でのDAUはさらに伸びているそうだ。前の四半期の決算を振り返りつつ、発表した四半期決算をまとめていく。
 


 
■広告宣伝費を抑えつつDAUを拡大

まず、前期の第4四半期から振り替えそう。第4四半期(16年10~12月)の連結は、売上高が前の四半期比(QonQ)で18.4%増の5億9000万円と四半期ベースで過去最高を更新した。営業利益は8.0%減の1億4900万円、経常利益が7.9%減の1億4900万円、最終利益が1.3%減の1億0600万円だった。減益となったのは、広告宣伝費と売上原価を増やしたことが要因。大ヒット映画『君の名は。』コラボに加え、あわせて交通広告などこれまで試していなかったプロモーション手法を実施したという。
 


続くこの第1四半期は、売上高はQonQで0.7%減と横ばいだったが、営業利益は同52.3%増、経常利益は同52.3%増、四半期純利益は同48.1%増と一転して増益となった。広告宣伝費を「1億2800万円使った広告宣伝費を7100万円まで下げた」(宮嶌社長)一方で、重要指標として重視するDAUを伸ばしたことで売上を前四半期並を維持することに成功した。この四半期決算の最大のトピックスになるとした。
 


DAUが伸びた要因として「継続率」の向上が背景にあるという。日本郵便やKITTEとのコラボを行ったことに加え、『SHOW BY ROCK!!』とのコラボイベントでギルドやレイドといった既存のソーシャルゲームで導入されている要素を取り入れたことが奏功したと分析。「KITTEとのコラボはお金をいただいている。リアル連携で送り込めるユーザー数が多くなり、収益化の難しかったO2Oイベントでもお金が取れるようになってきた」。
 


宮嶌社長は、IPコラボの意義を認めつつも、「その内容について新しいユーザー体験といえるのか疑問だった。『こんなことしたことがない!』という体験を提供してこそエンターテインメントだ。その点、コロプラさんの位置情報ゲームで展開する『コロカ』の仕組みは素晴らしい。IPコラボやスタンプラリーは継続するが、日本郵便やKITTEとのコラボのようなリアルとバーチャルの融合にもっと力を入れたい」とし、ゲーム会社としてユーザーに新しい体験の提供に注力する考えを示した。

このほか、新作『レキシトコネクト』を3月15日にリリースしたが、「想定通りの立ち上がり」という。『ステーションメモリーズ!』(駅メモ!)などで培った位置情報ゲームのノウハウを全て注ぎ込んだタイトルでもあり、初動の継続率は『駅メモ!』のリリース時よりも「当然良い」とのこと。ただし、いまの『駅メモ!』には及ばない。『駅メモ!』はリリース後、改善を繰り返して時間をかけてじっくり数字を伸ばしていったが、それよりも早く伸びることになりそうだ。
 


4月からWebを中心に運営指標を見ながらプロモーション活動を開始したとのこと。リアル連携や、有名IPとのコラボの可能性について聞かれると、当面、実施は考えておらず、まずは同社の『駅メモ!』との連携を行い、数字を伸ばしていく考えを示した。今後、アプリのバージョンアップを行い、ユーザー数が増えた段階で、徐々にIPコラボやリアル連携を行っていくという。


 
■通期に対する進捗は「非常に良い」

なお、2017年12月通期の連結業績予想については、従来予想から変更なく、売上高24億8600万円(前期比20.0%増)、営業利益7億6100万円(同24.6%増)、経常利益7億4700万円(同22.2%増)、当期純利益5億1600万円(同25.4%増)を見込む。通期計画に対する第1四半期の進捗率は、営業利益は30%となっており、「進捗として非常に良い」とのこと。これから気温が上がり、旅行や外出など移動することが多くなる春・夏で、DAUや売上高をさらに伸ばしていくことになりそうだ。
 


第2四半期以降の取り組みとしては、『駅メモ!』の運営に注力する。機能改善を行うとともに、アニメ作品やゲームなど「IP」とのコラボも強化していく。すでにDeNA<2432>のニュースアプリ『ハッカドール』とのコラボ第2弾の開催も決定したという。また地方創生やO2Oイベントとして、京都市交通局とのコラボ第2弾も開催する予定。『レキシトコネクト』については機能追加と、プロモーションを強化し、継続率向上とDAUの拡大に力を入れる。
 


 
(編集部 木村英彦)
株式会社モバイルファクトリー
http://www.mobilefactory.jp/

会社情報

会社名
株式会社モバイルファクトリー
設立
2001年10月
代表者
代表取締役 宮嶌 裕二
決算期
12月
直近業績
売上高33億7000万円、営業利益9億4500万円、経常利益9億4000万円、最終利益ゼロ(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3912
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