【DeNA決算説明会③】任天堂との協業タイトル寄与などで国内アプリゲームが大幅伸長 GWのCM効果で『逆転オセロニア』は新規ユーザが増加中


ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、5月11日、2017年3月期の決算発表を行うとともに、東京都内で決算説明会を開催した。説明会に先立ち発表された2017年3月期の連結決算(IFRS)は、売上収益1438億円(前々期比0.1%増)、営業利益231億円(同17.0%増)、最終利益308億円(同172.2%増)となった。

説明会では、同社の守安功代表取締役社長兼CEO(写真)が説明を行い、その後質疑応答が行われた。今回はその質疑応答の内容なども踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。


■『ファイアーエムブレムヒーローズ』など任天堂との協業タイトルが寄与


まずは業績を四半期推移で見てみると、第4四半期期間(1~3月)の売上収益は前四半期比9.0%増の351億円、営業利益は同31.7%増の44億円となった。売上収益、利益ともにゲーム事業の貢献が大きかったが、これは2月に『ファイアーエムブレムヒーローズ』を配信開始するなど任天堂<7974>との協業タイトルが寄与したほか、「『逆転オセロニア』の施策も好調だった」(守安社長)とのこと。
 

続いて費用面を見てみると、この第4四半期は販促費・広告費の数字がやや抑えめとなっている。「ゲームのところの広告宣伝費が少なかった」(同)としており、この四半期は効率的な運用を実現できていたとみることができそうだ。
 
 

■国内アプリゲームによる事業収益の改善が鮮明化


続いてセグメントごとの状況に目を移すと、ゲーム事業は特に国内アプリゲームの伸びが顕著であったことが見て取れる。「ブラウザゲームは基本的に緩やかな減少傾向が続くとみている」(同)としており、アプリゲームによる事業収益の改善が鮮明化してきたことは今後に向けても明るい材料と言えるだろう。
 

任天堂との協業については、この第4四半期期間に『ファイアーエムブレムヒーローズ』とAndroid版の『スーパーマリオラン』を配信開始した。特に『ファイアーエムブレムヒーローズ』は、「日本・米国でビジネス面で満足のいく結果になった」(同)としていた。

今後については、今回の説明会では新たな発表はなく、2018年3月期中に『どうぶつの森』を配信予定であることが明らかになっているほか、それに続くタイトルも開発中としている。
 


任天堂との協業以外のタイトルでは、足元は『逆転オセロニア』が累計900万ダウンロードを突破するなど順調に成長している。『逆転オセロニア』は、「ゴールデンウイークもCMを打ったが順調に新しいユーザが増えている」(同)とのこと。

新作としては、3月30日に『デュエル エクス マキナ』、4月20日にはKADOKAWAとの協業タイトルとなる『天華百剣 -斬-』の配信を開始した。いずれも足元2018年3月期の第1四半期からの寄与ということになる。
 

次にEC事業は、2016年12月にDeNAショッピングとauショッピングモールの譲渡を行った影響もあり、前々期比で減収減益となったが、DeNAトラベルの取扱高が前々期比で20%増加するなどおおむね順調な成長となっている。
 

そして、懸念される新規事業のキュレーションプラットフォーム事業だが、昨年12月にすべての媒体を停止しており、第4四半期は売り上げが立たない状況となっている。3月13日には、第三者委員会の調査報告書を公表しているが、結論を出す具体的なめどをもまだついていないという。

なお、4月20日には小学館と新たなデジタルメディアのあり方の検討に関する基本合意も行っている。
 


■1Qはゲーム事業がQonQで落ち込む予想も「出だしは悪くない」(守安社長)


なお、同社は2018年3月期通期の業績予想は開示しておらず、第1四半期(4~6月)の業績予想のみを開示している。第1四半期の連結業績予想は、売上収益364億円(前年同期比4.9%減)、営業利益75億円(同2.0%増)、最終利益74億円(同43.2%増)の見込み。
 

第1四半期のゲーム事業が前四半期比で落ち込む予想となっているが、これは前四半期が好調だった反動によるものと、第1四半期がイベントの谷間にあたるためだという。なお、「1Qの出だしは悪くない」(同)と足元の状況に一定の手応えをつかんでいるもようだ。
 
(編集部:柴田正之)

 
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1349億1400万円、営業利益42億0200万円、税引前利益135億9500万円、最終利益88億5700万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
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